皮膚の「できもの」から膿が出る?原因と適切な対処法を医師が解説

皮膚に「できもの」ができて、そこから膿が出てくる経験をしたことはありませんか?このような症状は、日常生活でよく遭遇する皮膚トラブルの一つですが、原因はさまざまで、適切な対処法も異なります。

本記事では、皮膚の「できもの」から膿が出る主な原因と、それぞれの特徴、治療法について詳しく解説します。症状を放置すると悪化する可能性もあるため、正しい知識を持って適切に対処することが重要です。

目次

  1. 皮膚の「できもの」から膿が出る主な原因
  2. 粉瘤(アテローム)について
  3. 毛包炎・せつ・ようについて
  4. 化膿性汗腺炎について
  5. その他の化膿性皮膚疾患
  6. 診断と鑑別のポイント
  7. 治療法の選択
  8. 日常生活での注意点と予防法
  9. 受診のタイミング
  10. まとめ

1. 皮膚の「できもの」から膿が出る主な原因

皮膚に「できもの」ができ、そこから膿が出る症状は、医学的に「化膿性皮膚疾患」と呼ばれます。これらの疾患は、大きく分けて以下のようなものがあります。

感染性の原因

  • 細菌感染:黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などによる感染
  • 毛包の感染:毛包炎、せつ、よう
  • 汗腺の感染:化膿性汗腺炎

非感染性の原因

  • 粉瘤(アテローム):袋状構造物に角質や皮脂が蓄積し、二次感染を起こした状態
  • 表皮嚢腫:皮膚の内部に形成された袋に老廃物が蓄積

これらの疾患は、見た目が似ていることも多く、専門的な診断が必要な場合があります。それぞれの特徴を理解し、適切な治療を受けることが症状の改善には不可欠です。

2. 粉瘤(アテローム)について

粉瘤とは

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂といった老廃物が蓄積する良性腫瘍です。医学的には「表皮嚢腫」とも呼ばれ、皮膚科で最も多く見られる皮下腫瘍の一つです。

粉瘤の特徴

粉瘤には以下のような特徴があります:

外観的特徴

  • 皮膚の下にコロコロとしたしこりが触れる
  • 大きさは数ミリメートルから数センチメートル程度
  • 中央に黒い点(開口部)が見られることが多い
  • 圧迫すると、独特の臭いを伴うドロドロとした内容物が出ることがある

好発部位

  • 顔面(特に頬、額)
  • 背中
  • 耳の後ろ
  • 臀部
  • 鼠径部

実際には全身のどこにでも発生する可能性があります。

粉瘤が化膿する理由

粉瘤自体は良性腫瘍であり、通常は痛みを伴いません。しかし、以下のような理由で炎症を起こすことがあります:

  1. 細菌感染:開口部から細菌が侵入し、感染を起こす
  2. 圧力による破裂:嚢腫が破れ、内容物が周囲組織に漏れ出し、炎症反応を引き起こす
  3. 外的刺激:摩擦や圧迫により炎症が誘発される

最近のアメリカからの報告によると、粉瘤の炎症は細菌感染よりも、嚢腫の破裂による異物反応が原因となることが多いことが分かってきています。

炎症性粉瘤の症状

炎症を起こした粉瘤(炎症性粉瘤)には、以下のような症状が現れます:

初期段階

  • 患部の赤み
  • 腫れ
  • 熱感
  • 圧痛(押すと痛む)

進行期

  • 強い痛み(ズキズキとした拍動性の痛み)
  • 腫れの増大
  • 膿の蓄積によるブヨブヨとした感触
  • 発熱(大きい病変の場合)

破裂期

  • 自然破裂により膿が排出
  • 強い悪臭
  • 一時的な痛みの軽減

粉瘤の治療法

非炎症性粉瘤の治療

炎症を起こしていない粉瘤の場合、以下の治療法が選択されます:

手術的切除

  1. くりぬき法(トレパン法)
    • 直径1~6mmの円筒状メスで粉瘤をくりぬく
    • 傷跡が小さく、縫合不要な場合が多い
    • 手術時間:5~20分程度
    • 適応:5mm~5cm未満の粉瘤
  2. 切除縫縮法
    • 紡錘形に皮膚を切開し、嚢腫を完全に摘出
    • 確実な摘出が可能
    • 手術時間:30分~1時間程度
    • 適応:5cm以上の大きな粉瘤、癒着の強い粉瘤

炎症性粉瘤の治療

炎症を起こした粉瘤の治療は、段階的に行われます:

第1段階:炎症の鎮静化

  • 抗生物質の内服・外用
  • 切開排膿(膿がたまっている場合)
  • 局所麻酔下で切開し、膿を排出
  • 生理食塩水での洗浄
  • 開放創として管理(縫合しない)

第2段階:根治的切除

  • 炎症が落ち着いてから(通常3か月後)
  • 残存する嚢腫の完全摘出
  • 再発防止のため、袋を完全に取り除くことが重要

粉瘤の予後と注意点

  • 自然治癒することはほとんどない
  • 放置すると徐々に大きくなる可能性がある
  • 小さいうちに治療することで、傷跡を最小限に抑えられる
  • 完全に摘出しないと再発する可能性がある

3. 毛包炎・せつ・ようについて

毛包炎とは

毛包炎は、毛穴の奥にある毛根を包んでいる「毛包」に細菌が感染して起こる皮膚疾患です。最も一般的な原因菌は黄色ブドウ球菌ですが、その他の細菌や真菌が原因となることもあります。

毛包炎の特徴と症状

初期症状

  • 毛穴を中心とした赤い丘疹(ぶつぶつ)
  • 軽度の痛みやかゆみ
  • 丘疹の頂点に小さな膿疱を形成

好発部位

  • 顔面(特に男性のひげ部分)
  • 首の後ろ
  • 臀部
  • 太もも
  • 陰部周辺

せつ(癤)について

せつは、毛包炎が進行し、毛包深部まで感染が及んだ状態です。一般的に「おでき」と呼ばれることもあります。

せつの特徴

  • 硬く赤く腫れた結節
  • 強い痛みと圧痛
  • 中心部に膿栓(黄白色の膿の頂点)
  • 熱感を伴う
  • 数日~数週間で自然破裂することもある

特殊な部位のせつ

  • 面疔(めんちょう):顔の中心部(鼻、口周り)にできたせつ
  • 顔面の血管系の特殊性から、まれに重篤な合併症を起こす可能性がある

よう(癰)について

ようは、複数のせつが皮膚の下でつながり、より大きな膿瘍を形成した状態です。

ようの特徴

  • 複数の毛包に及ぶ広範囲の感染
  • 強い痛みと腫れ
  • 多数の排膿孔から膿が排出
  • 全身症状(発熱、倦怠感、リンパ節腫脹)を伴うことが多い

毛包炎・せつ・ようの原因

主な原因菌

  • 黄色ブドウ球菌(最も多い)
  • 表皮ブドウ球菌
  • 緑膿菌(温浴毛包炎の原因)

発症のリスクファクター

  1. 皮膚の損傷
    • ひげ剃りによる小さな傷
    • 摩擦や圧迫
    • 虫刺されや掻き傷
  2. 免疫力の低下
    • 糖尿病
    • 高齢
    • ステロイド使用
    • 免疫抑制剤の使用
  3. 衛生状態
    • 不適切な皮膚の清潔管理
    • 多湿環境での生活
  4. その他の要因
    • 肥満
    • 慢性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)

毛包炎・せつ・ようの治療法

軽症の毛包炎の治療

保存的治療

  • 患部を清潔に保つ
  • 抗菌外用薬の塗布
    • ナジフロキサシン軟膏
    • フシジン酸ナトリウム軟膏
  • 温罨法による排膿促進

せつの治療

薬物療法

  • 抗生物質の内服(第一世代セフェム系が第一選択)
    • セファレキシン
    • セファクロル
  • 鎮痛薬の使用

外科的処置

  • 切開排膿(膿がたまっている場合)
  • 局所麻酔下での処置
  • 排膿後の洗浄と開放創管理

ようの治療

集学的治療が必要

  • 抗生物質の全身投与(静脈内投与が必要な場合もある)
  • 切開排膿(複数箇所の切開が必要な場合もある)
  • 全身管理(発熱、脱水への対応)
  • 入院治療が必要となることもある

再発予防

毛包炎・せつ・ようは再発しやすい疾患です。以下の予防策が重要です:

  1. 皮膚の清潔保持
    • 適切な洗浄(ゴシゴシこすらない)
    • 抗菌石鹸の使用
  2. 鼻腔内の除菌
    • 黄色ブドウ球菌の保菌者では鼻腔内除菌が有効
    • ムピロシン軟膏の鼻腔内塗布
  3. 生活習慣の改善
    • 血糖コントロール(糖尿病患者)
    • 適切な体重管理
    • ストレス管理

4. 化膿性汗腺炎について

化膿性汗腺炎とは

化膿性汗腺炎は、主に思春期以降に発症する慢性的な皮膚疾患で、わきの下、鼠径部、臀部、乳房下部などのアポクリン汗腺が多い部位に、痛みを伴う結節や膿瘍が繰り返しできる病気です。

化膿性汗腺炎の特徴

好発部位

  • わきの下(最も多い)
  • 鼠径部・外陰部
  • 臀部・肛門周囲
  • 乳房下部
  • 首の後ろ

臨床症状

  1. 初期症状
    • 痛みを伴う皮下結節
    • 赤み、腫れ、熱感
  2. 進行期
    • 膿瘍形成
    • 自然破裂による排膿
    • 瘻孔(トンネル)形成
    • 瘢痕形成
  3. 慢性期
    • 広範囲の瘢痕
    • 多発する瘻孔
    • 悪臭を伴う持続的な排膿

化膿性汗腺炎の原因と病態

化膿性汗腺炎の正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています:

病態生理

  1. 毛包の角化異常による閉塞
  2. 毛包の破裂と内容物の皮内への漏出
  3. 炎症反応の惹起
  4. 二次的な細菌感染

リスクファクター

  • 遺伝的素因(家族歴がある場合が約40%)
  • 肥満
  • 喫煙
  • 機械的刺激(きつい下着、摩擦)
  • ホルモンの影響(思春期、月経周期)

化膿性汗腺炎の重症度分類

Hurley分類

  • Stage I:単発または多発する膿瘍形成、瘢痕や瘻孔なし
  • Stage II:反復する膿瘍、瘻孔と瘢痕形成
  • Stage III:広範囲に及ぶ病変、多発する相互に連結した瘻孔と膿瘍

化膿性汗腺炎の治療

保存的治療

軽症例(Hurley Stage I)

  • 抗菌外用薬(クリンダマイシンローション)
  • 抗生物質の内服
  • 生活指導(減量、禁煙)

中等症例(Hurley Stage II)

  • 長期抗生物質療法
    • テトラサイクリン系
    • クリンダマイシン+リファンピシン併用
  • レチノイド内服(イソトレチノイン、アシトレチン)

生物学的製剤

重症例では以下の生物学的製剤が使用されることがあります:

  • アダリムマブ(皮下注射)
  • インフリキシマブ(静脈内注射)
  • セクキヌマブ(皮下注射)

外科的治療

適応

  • 保存的治療に反応しない症例
  • 広範囲の瘢痕形成
  • 瘻孔形成

手術方法

  • 切開排膿(急性期の対症療法)
  • 病変部の広範囲切除
  • 皮膚移植や皮弁形成術

その他の治療

  • レーザー治療(CO2レーザー、Nd:YAGレーザー)
  • 光線力学療法
  • ボツリヌストキシン注射

化膿性汗腺炎の生活指導

  1. 体重管理:肥満の改善は症状軽減に有効
  2. 禁煙:喫煙は最も重要な増悪因子
  3. 衣服の選択:ゆったりとした通気性の良い衣服
  4. 皮膚の清潔:刺激の少ない洗浄剤の使用
  5. ストレス管理:心理的サポートも重要

5. その他の化膿性皮膚疾患

蜂窩織炎(蜂巣炎)

特徴

  • 皮下組織の急性細菌感染症
  • 境界不明瞭な赤み、腫れ、熱感、痛み
  • 全身症状(発熱、悪寒、倦怠感)を伴うことが多い

原因菌

  • A群β溶血性連鎖球菌
  • 黄色ブドウ球菌

治療

  • 抗生物質の全身投与(重症例では入院治療)
  • 安静、患肢挙上

丹毒

特徴

  • 真皮浅層のリンパ管を中心とした感染症
  • 境界明瞭な光沢のある紅斑
  • 顔面や下肢に好発

治療

  • ペニシリン系抗生物質が第一選択

壊疽性膿皮症

特徴

  • 非感染性の炎症性皮膚疾患
  • 痛みを伴う潰瘍形成
  • 炎症性腸疾患、関節リウマチなどと関連

治療

  • ステロイド全身投与
  • 免疫抑制剤
  • 生物学的製剤

6. 診断と鑑別のポイント

問診のポイント

医師の診察を受ける際、以下の情報を伝えることが重要です:

  1. 症状の経過
    • いつから症状があるか
    • 症状の変化(大きさ、痛み、膿の有無)
    • 再発の有無
  2. 随伴症状
    • 発熱の有無
    • 全身倦怠感
    • リンパ節の腫れ
  3. 既往歴・基礎疾患
    • 糖尿病
    • 免疫不全状態
    • アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患
  4. 生活習慣
    • 喫煙歴
    • 肥満の有無
    • 職業(皮膚への刺激が多い仕事か)

視診・触診のポイント

医師が確認する項目

  • 病変の部位、大きさ、数
  • 開口部(黒い点)の有無
  • 発赤、腫脹の程度
  • 波動(膿の貯留)の有無
  • 圧痛の程度
  • 周囲のリンパ節腫脹

検査

細菌培養検査

  • 原因菌の同定
  • 薬剤感受性試験

画像検査

  • 超音波検査(エコー):深部の膿瘍の確認
  • CT・MRI:広範囲の病変、深部進展の評価

血液検査

  • 炎症反応(白血球数、CRP)
  • 血糖値(糖尿病の確認)

鑑別診断のポイント

疾患名特徴的所見痛み膿の性状
粉瘤(非炎症性)中央に黒い点、可動性ありなしドロドロ、悪臭あり
炎症性粉瘤赤く腫れる、熱感あり膿と内容物の混合
毛包炎毛穴中心の小丘疹軽度少量、白色
せつ硬い結節、膿栓強い黄白色の膿
よう広範囲、多発排膿孔強い大量の膿
化膿性汗腺炎特定部位に反復あり悪臭を伴う

7. 治療法の選択

治療選択の基本原則

治療法の選択は、以下の要因を総合的に判断して決定されます:

  1. 疾患の種類と重症度
  2. 患者の全身状態
  3. 基礎疾患の有無
  4. 病変の部位と大きさ
  5. 患者の希望とQOL

保存的治療が選択される場合

適応となる状況

  • 軽症の毛包炎
  • 小さな粉瘤で症状がない場合
  • 全身状態が不良で手術リスクが高い場合
  • 患者が手術を希望しない場合

治療内容

  • 抗菌外用薬の塗布
  • 抗生物質の内服
  • 局所の清潔保持
  • 温罨法

外科的治療が必要な場合

絶対的適応

  • 膿瘍形成があり、保存的治療で改善しない
  • 粉瘤などの腫瘍性病変
  • 瘻孔を形成した化膿性汗腺炎

相対的適応

  • 頻回に再発する毛包炎・せつ
  • 美容的に問題となる病変
  • 日常生活に支障をきたす病変

治療後のフォローアップ

外来通院の目安

  • 切開排膿後:翌日、1週間後
  • 粉瘤摘出術後:翌日、7日後(抜糸)
  • 化膿性汗腺炎:定期的な長期フォロー

再発のサイン

  • 同部位の腫れ、痛みの再燃
  • 新たな部位への病変出現
  • 全身症状の出現

8. 日常生活での注意点と予防法

皮膚の清潔保持

正しい洗浄方法

  1. ぬるま湯で優しく洗う
  2. 刺激の少ない石鹸を使用
  3. ゴシゴシこすらない
  4. 清潔なタオルで水分を拭き取る

避けるべきこと

  • 過度の洗浄
  • アルコール系の消毒薬の頻用
  • 硬いブラシやタオルでの摩擦

生活習慣の改善

食生活

  • バランスの良い食事
  • 糖分、脂質の過剰摂取を避ける
  • 十分な水分摂取
  • ビタミン、ミネラルの適切な摂取

運動と体重管理

  • 適度な運動習慣
  • 肥満の改善
  • 運動後の適切な清潔ケア

ストレス管理

  • 十分な睡眠
  • リラクゼーション
  • 趣味や運動によるストレス発散

衣服と環境

衣服の選択

  • 通気性の良い素材(綿、麻など)
  • ゆったりとしたサイズ
  • 清潔な下着の着用

環境整備

  • 適切な室温、湿度の維持
  • 寝具の定期的な洗濯
  • 浴室、洗面所の清潔保持

皮膚への刺激を避ける

注意すべき行為

  • 無理な毛抜きや剃毛
  • ニキビや吹き出物を潰す
  • 傷や虫刺されを掻く
  • タイトな衣服や下着による圧迫

免疫力の維持

免疫力を高める生活習慣

  1. 規則正しい生活リズム
  2. バランスの取れた栄養摂取
  3. 適度な運動
  4. 十分な睡眠(7-8時間)
  5. 禁煙
  6. 節度ある飲酒

基礎疾患の管理

特に重要な疾患

  • 糖尿病:血糖コントロールの徹底
  • 肥満:体重減少プログラムの実施
  • 免疫不全:主治医との連携

9. 受診のタイミング

早急に受診すべき症状

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください:

緊急性の高い症状

  1. 38度以上の発熱
  2. 強い全身倦怠感
  3. 急速に拡大する発赤、腫脹
  4. 耐え難い痛み
  5. 顔面(特に鼻周囲)の重度の感染

全身への波及を示す症状

  • 悪寒、震え
  • リンパ節の著明な腫大
  • 赤い線状の発赤(リンパ管炎)
  • 関節痛、筋肉痛

計画的に受診すべき状況

受診を検討すべき状況

  1. 市販薬で1週間以上改善しない
  2. 同じ部位に繰り返しできる
  3. 徐々に大きくなる「できもの」
  4. 独特の臭いを伴う分泌物
  5. 日常生活に支障をきたす症状

受診する診療科

皮膚科

  • 第一選択
  • 専門的な診断と治療が可能
  • 手術も含めた総合的な治療

形成外科

  • 美容的な配慮が必要な部位
  • 大きな粉瘤の摘出
  • 瘢痕形成のリスクが高い場合

一般外科

  • 緊急の切開排膿が必要な場合
  • 皮膚科、形成外科が近くにない場合

受診時の準備

持参すべきもの

  • 保険証
  • お薬手帳
  • 紹介状(他院からの紹介の場合)
  • 症状の記録(写真、メモ)

医師に伝えるべき情報

  1. 症状の経過(いつから、どのように変化したか)
  2. 過去の同様の症状
  3. 現在治療中の病気
  4. 服用中の薬
  5. アレルギーの有無
  6. 妊娠、授乳の有無

10. まとめ

皮膚の「できもの」から膿が出る症状は、さまざまな原因によって引き起こされます。最も多い原因として、粉瘤の二次感染、毛包炎とその進行形であるせつ・よう、そして化膿性汗腺炎があります。

これらの疾患は、見た目が似ていることもありますが、それぞれ治療法が異なるため、正確な診断が重要です。特に以下の点に注意が必要です:

重要なポイント

  1. 自己判断での処置は危険
    • 無理に膿を絞り出すと、感染が広がる可能性がある
    • 不適切な処置により瘢痕が残ることがある
  2. 早期受診のメリット
    • 小さいうちに治療すれば、傷跡も最小限
    • 重症化を防ぐことができる
    • 適切な治療により早期回復が期待できる
  3. 再発予防の重要性
    • 原因となる生活習慣の改善
    • 基礎疾患のコントロール
    • 適切なスキンケア
  4. 専門医による診断と治療
    • 似た症状でも原因はさまざま
    • 専門的な検査により正確な診断が可能
    • 個々の状況に応じた最適な治療法の選択

最後に

皮膚の「できもの」から膿が出る症状は、適切な治療により改善が期待できる疾患がほとんどです。しかし、放置すると悪化し、時には全身に影響を及ぼすこともあります。

症状に気づいたら、恥ずかしがらずに早めに皮膚科を受診することをお勧めします。アイシークリニック上野院では、経験豊富な専門医が、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療をご提案いたします。

日常生活でお困りの症状がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 皮膚科診療ガイドライン. https://www.dermatol.or.jp/modules/guideline/
  2. 厚生労働省. 感染症情報. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/
  3. 国立感染症研究所. 病原微生物検出情報(IASR).
  4. MSDマニュアル プロフェッショナル版. 皮膚細菌感染症.
  5. 日本形成外科学会. 形成外科診療ガイドライン.
  6. 日本外科感染症学会. 外科感染症診療ガイドライン.
  7. Hidradenitis Suppurativa: EADV Guidelines 2024.
  8. American Academy of Dermatology. Guidelines of care for the management of atopic dermatitis.
  9. Cochrane Database of Systematic Reviews. Interventions for bacterial folliculitis and boils.
  10. Journal of the American Academy of Dermatology. Management of hidradenitis suppurativa.

本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療の代替となるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診断を受けてください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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