はじめに
鏡を見るたびに気になる肌の凹凸。「クレーター肌」と呼ばれるこの症状に悩んでいる方は少なくありません。ニキビ跡が月のクレーターのように凹んでしまった肌は、メイクでも隠しにくく、多くの方が「もう治らないのでは」と諦めかけています。
しかし、医療の進歩により、クレーター肌の治療は着実に進化しています。完全に元通りとはいかなくても、目立たなくすることは十分可能です。本コラムでは、クレーター肌の原因から予防法、最新の治療方法まで、皮膚科専門の視点から詳しく解説していきます。

クレーター肌とは
クレーター肌の定義
クレーター肌とは、肌表面に凹凸ができ、月面のクレーターのように見える状態を指します。医学的には「萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)」と呼ばれ、皮膚の一部が陥没して元に戻らなくなった状態です。
最も多い原因はニキビ跡ですが、水痘(水ぼうそう)の跡や外傷による瘢痕なども含まれます。特に思春期に重症なニキビを経験した方に多く見られ、20代以降も長く悩み続けるケースが少なくありません。
一般的なニキビ跡との違い
ニキビ跡には大きく分けて3つのタイプがあります。
1. 赤みや色素沈着 ニキビの炎症後に残る赤みや茶色いシミ。これらは時間とともに薄くなることが多く、適切なスキンケアやビタミンC誘導体などで改善が期待できます。
2. 肥厚性瘢痕・ケロイド ニキビ跡が盛り上がってしまう状態。赤く硬い隆起として残ります。
3. 萎縮性瘢痕(クレーター肌) 本コラムで扱う、肌が凹んでしまった状態です。色素沈着と異なり、皮膚の構造自体が変化しているため、スキンケアだけでの改善は困難です。
クレーター肌は、真皮層のコラーゲンやエラスチンが破壊・変性し、皮膚組織が失われた結果として生じます。そのため、表面的なケアではなく、真皮層へのアプローチが必要となります。
クレーター肌ができる原因
ニキビによる炎症
クレーター肌の原因として最も多いのが、ニキビによる炎症です。特に以下のようなケースでクレーターが形成されやすくなります。
炎症性ニキビの悪化 赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を伴うニキビが長期化・重症化すると、炎症が真皮層にまで達します。真皮層には肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンが存在しますが、強い炎症によってこれらが破壊されてしまいます。
繰り返すニキビ 同じ場所に何度もニキビができると、その部分の皮膚組織がダメージを蓄積し、クレーター化しやすくなります。特にフェイスラインや頬は繰り返しやすい部位です。
ニキビの自己処理 ニキビを潰したり、無理に芯を出そうとしたりすると、周囲の組織にまでダメージが及びます。爪や不衛生な器具での処理は、炎症を悪化させる最大の要因です。
皮膚組織の破壊メカニズム
クレーター肌が形成される過程を詳しく見ていきましょう。
1. 炎症の発生 毛穴に詰まった皮脂や角質を栄養源として、アクネ菌が増殖します。アクネ菌は炎症を引き起こす物質を産生し、周囲の組織に炎症が広がります。
2. 真皮層へのダメージ 炎症が表皮を超えて真皮層に達すると、コラーゲン繊維やエラスチン繊維が破壊されます。同時に、炎症細胞から放出される酵素が組織を溶かしていきます。
3. 異常な治癒過程 通常、傷は線維芽細胞が新しいコラーゲンを作り出すことで治癒します。しかし、広範囲のダメージや繰り返す炎症により、正常な修復が行われず、瘢痕組織として固まってしまいます。
4. 組織の収縮 瘢痕組織は硬く収縮する性質があり、周囲の正常な皮膚を引き込むことで陥没が生じます。これがクレーターの正体です。
その他の原因
水痘(水ぼうそう) 水痘のウイルス感染により、皮膚に水疱ができます。これを掻きむしったり、細菌感染を併発したりすると、クレーター状の瘢痕が残ることがあります。
外傷・熱傷 深い傷や火傷は、真皮層にダメージを与えるため、治癒後にクレーター状の瘢痕を残すことがあります。
毛孔性苔癬の合併症 二の腕や太ももにできやすい毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)を無理に剥がしたり掻いたりすると、クレーター状の跡が残る場合があります。
クレーター肌の種類と特徴
クレーター肌は、その形状によって大きく3つのタイプに分類されます。治療法もタイプによって異なるため、自分のクレーターがどのタイプかを知ることが重要です。
アイスピック型
特徴
- 直径2mm以下の非常に小さな穴
- V字型で深く鋭い陥没
- 針で刺したような見た目
- 顔の中でも特に頬に多い
発生メカニズム 毛穴が深く炎症し、毛包全体が破壊されることで生じます。深さに対して開口部が狭いため、最も治療が難しいタイプです。
治療の難易度 高い。深部まで届く治療が必要となります。
ローリング型
特徴
- 直径4~5mm以上の比較的大きな陥没
- U字型またはM字型で、なだらかな凹み
- 波打つような見た目
- 光の当たり方で目立ち方が変わる
発生メカニズム 真皮深層と皮下組織の間に線維性の癒着(ゆちゃく)が生じ、皮膚を下方に引き込むことで発生します。広範囲のニキビ炎症の結果として生じることが多いです。
治療の難易度 中程度。皮下の癒着を解除することで改善が期待できます。
ボックスカー型
特徴
- 直径1.5~4mm程度
- U字型で、底が平らな箱型の陥没
- 側面がほぼ垂直に切り立っている
- 比較的浅いものから深いものまで様々
発生メカニズム 炎症によって真皮のコラーゲンが広範囲に失われ、陥没部分が瘢痕組織で埋められることで形成されます。
治療の難易度 中程度。深さによって治療法を選択します。
混合型
実際には、これら3つのタイプが混在しているケースが最も多く見られます。同じ顔の中でも、頬にアイスピック型、顎にボックスカー型といった具合に、部位によって異なるタイプが併存します。
治療においては、それぞれのクレーターのタイプを見極め、最適な方法を組み合わせることが重要となります。
クレーター肌を予防するには
クレーター肌は一度できてしまうと完全に元通りにすることは困難です。そのため、予防が何より重要となります。
ニキビを作らない・悪化させない
正しい洗顔
- 1日2回(朝・夜)、泡立てた洗顔料で優しく洗う
- 熱いお湯は避け、ぬるま湯(32~36度)で洗い流す
- タオルでゴシゴシ拭かず、押さえるように水分を取る
適切な保湿 乾燥は皮脂の過剰分泌を招きます。ニキビ肌用のさっぱりした化粧水と乳液で、しっかり保湿しましょう。
生活習慣の改善
- 十分な睡眠(7~8時間)を確保する
- バランスの取れた食事を心がける
- 糖質や脂質の過剰摂取を避ける
- ストレスをため込まない
- 適度な運動で代謝を促進する
ニキビを潰さない・触らない
これが最も重要です。ニキビを潰すことで得られるメリットは何もなく、クレーター化のリスクだけが高まります。
なぜ潰してはいけないのか
- 炎症が周囲に広がる
- 細菌感染のリスクが高まる
- 真皮層へのダメージが深くなる
- 治癒過程で異常な瘢痕が形成される
どうしても気になる場合 皮膚科で適切な処置を受けましょう。医療機関では、滅菌された器具を使い、適切な深さで内容物を排出することができます。
早期の皮膚科受診
受診のタイミング
- ニキビが赤く腫れて痛みがある
- 同じ場所に繰り返しできる
- 市販薬で2週間経っても改善しない
- ニキビが広範囲に広がっている
早期治療のメリット 炎症が軽いうちに適切な治療を受けることで、真皮層へのダメージを最小限に抑えられます。保険診療で受けられる治療も多くあります。
保険適用の治療例
- 抗生物質の内服・外用
- ビタミン剤の処方
- 面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)
- レチノイド外用薬
紫外線対策
紫外線は炎症を悪化させ、色素沈着を引き起こします。
日常的な対策
- 日焼け止め(SPF30以上、PA+++以上)を毎日使用
- 帽子や日傘も併用
- ニキビ肌用のノンコメドジェニック処方を選ぶ
- 2~3時間おきに塗り直す
クレーター肌の治療方法
クレーター肌の治療には、様々な選択肢があります。それぞれの方法には特徴があり、クレーターのタイプや深さ、患者さんの希望によって最適な治療法が異なります。
レーザー治療
レーザー治療は、クレーター肌治療の中心的な役割を果たしています。
フラクショナルレーザー
仕組み 皮膚に微細な穴を無数に開け、創傷治癒反応を利用して新しいコラーゲンの生成を促します。「点状」にレーザーを照射するため、治療していない正常な皮膚が残り、回復が早いのが特徴です。
種類
- 炭酸ガス(CO2)フラクショナルレーザー
- 比較的深くまで作用
- ダウンタイムは7~10日程度
- 効果が実感しやすい
- エルビウムヤグレーザー
- CO2より浅い層に作用
- ダウンタイムが短い(3~5日程度)
- より繊細な治療が可能
適応 アイスピック型以外のすべてのタイプに有効。特にボックスカー型、ローリング型に効果的です。
治療回数 通常3~5回程度。1~2ヶ月間隔で行います。
注意点
- 照射後は赤みや腫れが生じる
- かさぶたができることがある
- 適切なアフターケアが必要
ピコフラクショナルレーザー
仕組み ピコ秒(1兆分の1秒)という超短時間でレーザーを照射します。熱ダメージが少なく、従来のレーザーよりもダウンタイムが短いのが特徴です。
メリット
- ダウンタイムが短い(2~3日程度)
- 痛みが少ない
- 色素沈着のリスクが低い
- クレーター改善と同時に美肌効果も
デメリット
- 従来のフラクショナルレーザーより効果はマイルド
- 複数回の治療が必要(5~10回程度)
- 費用が比較的高額
ダーマペン
仕組み 極細の針で皮膚に無数の微細な穴を開け、創傷治癒反応を促進します。針の深さを調整できるため、クレーターの深さに応じた治療が可能です。
特徴
- 針の深さ:0.2mm~3.0mm
- ダウンタイムは3~7日程度
- 痛みは麻酔クリームで軽減可能
- 成長因子や薬剤を併用することで効果向上
ダーマペン4の進化 最新の「ダーマペン4」は、16本の極細針を搭載し、1秒間に1920個の穴を開けることができます。従来モデルより痛みが少なく、より均一な治療が可能になりました。
適応 すべてのタイプのクレーターに対応可能。特にボックスカー型、ローリング型に効果的です。
併用療法
- 成長因子(グロースファクター):コラーゲン生成を強力に促進
- マッサージピール(PRX-T33):TCA(トリクロロ酢酸)による真皮活性化
- ヒアルロン酸:即効性のある陥没の改善
サブシジョン(皮下剥離術)
仕組み 特殊な針を用いて、皮膚と皮下組織の癒着を剥離します。癒着が解除されることで、引き込まれていた皮膚が持ち上がります。
適応 ローリング型クレーターに最も効果的です。皮下の線維性癒着が原因の陥没に対して根本的な治療となります。
手順
- 局所麻酔を行う
- 特殊な針をクレーターの下に挿入
- 針を前後に動かして癒着を剥離
- 剥離した空間に自然にコラーゲンが満たされる
治療後の経過
- 内出血が生じる(1~2週間で消失)
- 腫れは数日で引く
- 効果は徐々に現れ、3ヶ月後に最大となる
他の治療との併用 サブシジョンで癒着を解除した後、ヒアルロン酸注入やフラクショナルレーザーを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
TCAクロス
仕組み 高濃度のTCA(トリクロロ酢酸)を、アイスピック型クレーターの底に直接塗布します。薬剤の化学的作用で表皮が破壊され、創傷治癒反応により新しい皮膚が再生します。
適応 主にアイスピック型クレーターに使用されます。他の治療では届きにくい、深く狭いクレーターに有効です。
濃度 通常、TCA 50~100%の高濃度を使用します。
治療の流れ
- クレーターの底を清潔にする
- つまようじなどでTCAをクレーター底にのみ塗布
- 薬剤が白く変色する(フロスティング)
- 自然に治癒するのを待つ
注意点
- 施術者の技術が必要
- 周囲の正常な皮膚に付着しないよう注意
- 1回で改善は限定的で、複数回必要
- 2~4週間間隔で繰り返す
ヒアルロン酸注入
仕組み クレーターの陥没部分にヒアルロン酸を直接注入し、物理的に凹みを持ち上げます。
適応 ボックスカー型、ローリング型の比較的浅いクレーターに効果的です。アイスピック型には不向きです。
メリット
- 即効性がある
- ダウンタイムがほとんどない
- 治療時間が短い(15~30分程度)
デメリット
- 効果は一時的(6~12ヶ月程度)
- 深いクレーターには効果が限定的
- 繰り返しの注入が必要
- コストがかかる
使用されるヒアルロン酸 クレーター治療には、比較的硬めで持続期間の長いヒアルロン酸が使用されます。近年では、より長期間持続する製剤も登場しています。
PRP療法(多血小板血漿療法)
仕組み 患者さん自身の血液から血小板を高濃度に濃縮したPRP(多血小板血漿)を取り出し、クレーターに注入します。血小板に含まれる成長因子が組織修復を促進します。
メリット
- 自己血液由来でアレルギーリスクが低い
- 自然な仕上がり
- 他の治療との併用で相乗効果
治療の流れ
- 採血(10~20ml程度)
- 遠心分離でPRPを抽出
- ダーマペンやマイクロニードリングと併用して注入
- または直接注射で注入
効果の発現 徐々に効果が現れ、3~6ヶ月かけて改善していきます。
ケミカルピーリング
仕組み 化学薬剤を用いて古い角質や表皮を剥離し、肌のターンオーバーを促進します。
使用される薬剤
- グリコール酸:比較的マイルド
- サリチル酸:毛穴の奥まで浸透
- TCA(トリクロロ酢酸):深い層まで作用
クレーター肌への効果 ケミカルピーリング単独では、深いクレーターの改善は期待できません。しかし、浅いクレーターや凹凸の境界をなだらかにする効果があります。また、他の治療の補助として有効です。
治療頻度 2~4週間に1回、定期的に継続することが推奨されます。
治療の選び方と組み合わせ
クレーターのタイプ別推奨治療
アイスピック型
- TCAクロス
- レーザーアブレーション(部分的な削皮)
- パンチエクシジョン(切除術)
- フラクショナルレーザー
ローリング型
- サブシジョン
- ヒアルロン酸注入
- フラクショナルレーザー
- ダーマペン
ボックスカー型
- フラクショナルレーザー
- ダーマペン
- TCAクロス(深い場合)
- サブシジョン(深い場合)
併用療法の重要性
クレーター肌の治療では、単一の治療法よりも複数の方法を組み合わせることで、より高い効果が得られることが分かっています。
効果的な組み合わせ例
パターン1:サブシジョン + ヒアルロン酸注入 ローリング型クレーターに対して、まずサブシジョンで癒着を解除し、その直後にヒアルロン酸を注入します。剥離した空間にヒアルロン酸が入り込み、皮膚の持ち上がりが維持されます。
パターン2:フラクショナルレーザー + PRP フラクショナルレーザー照射後、すぐにPRPを塗布または注入します。レーザーで開いた微細な穴からPRPの成長因子が浸透し、コラーゲン生成がより促進されます。
パターン3:ダーマペン + マッサージピール ダーマペンで微細な穴を開けた後、マッサージピール(PRX-T33)を塗布します。TCAが真皮深層まで浸透し、線維芽細胞を強力に刺激します。
パターン4:TCAクロス + フラクショナルレーザー アイスピック型クレーターにTCAクロスを行い、全体的にフラクショナルレーザーを照射します。異なる深さにアプローチすることで、全体的な改善が期待できます。
治療計画の立て方
初回カウンセリングでの確認事項
- クレーターのタイプと深さ
- 範囲と数
- 肌質(脂性、乾燥、混合)
- 過去の治療歴
- ダウンタイムの許容度
- 予算
標準的な治療期間 クレーター肌の改善には、一般的に6ヶ月~2年程度の継続的な治療が必要です。
治療の進め方
- 初期段階(1~3ヶ月)
- 比較的マイルドな治療から開始
- 肌の反応を確認
- ダーマペンやマイルドなフラクショナルレーザー
- 中期段階(4~12ヶ月)
- より積極的な治療へ
- サブシジョンやTCAクロスの導入
- 複数の治療法の組み合わせ
- 維持期(12ヶ月以降)
- 改善状態の維持
- 定期的なメンテナンス治療
- 3~6ヶ月に1回程度
ホームケアと日常生活での注意点
治療後のスキンケア
治療直後(当日~3日)
- 洗顔は優しく行う(擦らない)
- 処方された軟膏を塗布
- 刺激のある化粧品は避ける
- メイクは医師の許可が出てから
回復期(4日~2週間)
- 保湿を徹底する
- 日焼け止めは必須(SPF50+推奨)
- ビタミンC誘導体美容液の使用
- ピーリング作用のある化粧品は避ける
維持期
- 引き続き保湿と紫外線対策
- レチノール製品の使用検討
- 定期的な肌診断
おすすめの成分
ビタミンC誘導体 コラーゲン生成を促進し、色素沈着も予防します。APPS(アプレシエ)やピュアビタミンCがおすすめです。
レチノール(ビタミンA) ターンオーバーを促進し、コラーゲン生成を助けます。ただし、刺激が強いため、治療直後は使用を避けましょう。
ナイアシンアミド(ビタミンB3) バリア機能を強化し、炎症を抑えます。敏感肌にも使いやすい成分です。
ペプチド コラーゲンやエラスチンの生成をサポートします。特にパルミトイルペンタペプチドが有効です。
避けるべき行動
治療期間中
- 喫煙(血流が悪化し、治癒が遅れる)
- 過度な飲酒(炎症を助長)
- 激しい運動(直後1週間は避ける)
- サウナ・温泉(感染リスク)
- プールや海水浴(感染リスク)
日常的に避けるべきこと
- 顔を触る癖
- 頬杖をつく
- うつ伏せで寝る
- 不衛生な枕カバーやタオル
食事と生活習慣
積極的に摂りたい栄養素
タンパク質 コラーゲンの原料となります。肉、魚、卵、大豆製品を毎食取り入れましょう。
ビタミンC コラーゲン合成に必須です。野菜や果物から積極的に摂取しましょう。
- 赤ピーマン、ブロッコリー
- キウイフルーツ、いちご
- レモン、オレンジ
ビタミンE 抗酸化作用があり、肌の老化を防ぎます。
- ナッツ類
- アボカド
- 植物油
亜鉛 皮膚の新陳代謝を促進します。
- 牡蠣、レバー
- 赤身肉
- かぼちゃの種
控えめにしたい食品
- 精製糖質(白米、白パン、お菓子)
- 揚げ物、ファストフード
- 過度な乳製品(個人差あり)
生活習慣の改善
- 質の良い睡眠(22~2時は成長ホルモン分泌のゴールデンタイム)
- ストレス管理
- 適度な運動(週3回、30分程度のウォーキングなど)
- 禁煙

よくある質問
残念ながら、クレーター肌を完全に元通りにすることは現代の医療技術でも困難です。しかし、適切な治療を継続することで、目立たなくすることは十分可能です。
多くの患者さんが、50~80%程度の改善を実感されています。特に浅いクレーターや、ボックスカー型、ローリング型のクレーターは改善しやすい傾向にあります。
Q2. 治療費用はどのくらいかかりますか?
治療法によって大きく異なります。
単回あたりの目安(自由診療)
- ダーマペン:2~5万円
- フラクショナルレーザー:3~10万円
- サブシジョン:5~15万円(範囲による)
- TCAクロス:2~5万円
- ヒアルロン酸注入:5~10万円
総額は、クレーターの範囲や深さ、選択する治療法によって数十万円~数百万円になることもあります。複数回の治療が必要なため、長期的な視点での予算計画が重要です。
Q3. ダウンタイムが短い治療はありますか?
はい、あります。
ダウンタイムが短い治療(3日以内)
- ピコフラクショナルレーザー
- マイルドなダーマペン(針の深さ0.5mm程度)
- ケミカルピーリング
ダウンタイムが長い治療(7~14日)
- 炭酸ガスフラクショナルレーザー
- 深めのダーマペン(2.0mm以上)
- TCAクロス(高濃度)
ダウンタイムが短い治療は、効果も比較的マイルドな傾向があります。即効性を求めるか、少しずつ改善していくかは、ライフスタイルに合わせて選択しましょう。
Q4. 痛みはありますか?
治療法によって異なりますが、多くの場合、麻酔クリームや局所麻酔を使用するため、痛みはコントロール可能です。
痛みの程度(麻酔あり)
- ダーマペン:チクチクする程度
- フラクショナルレーザー:ピリピリとした熱感
- サブシジョン:圧迫感程度
- ヒアルロン酸注入:注射のチクッとした痛み
痛みに敏感な方は、事前に医師に相談しましょう。麻酔の種類や量を調整することができます。
Q5. セルフケアで改善できますか?
深いクレーター肌をセルフケアのみで改善することは、残念ながら困難です。クレーターは真皮層の構造的な変化であるため、表面的なケアでは限界があります。
ただし、以下のセルフケアは有効です:
- 新しいニキビを予防(新たなクレーター形成の防止)
- 肌質の改善(クレーターが目立ちにくくなる)
- 浅い色素沈着の改善
- 治療効果の最大化とメンテナンス
医療機関での治療とホームケアを組み合わせることが、最も効果的なアプローチです。
Q6. どのくらいの期間で効果が出ますか?
治療法によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
即効性のある治療
- ヒアルロン酸注入:施術直後から効果を実感
- サブシジョン:2~4週間で徐々に改善
徐々に効果が現れる治療
- フラクショナルレーザー:1ヶ月後から徐々に、3ヶ月で最大効果
- ダーマペン:2~3週間後から改善、複数回で効果蓄積
- TCAクロス:4~8週間で効果
- PRP:3~6ヶ月かけて徐々に改善
焦らず、長期的な視点で治療に取り組むことが大切です。
Q7. 年齢制限はありますか?
基本的に年齢制限はありませんが、いくつかの考慮点があります。
若年層(10代) ニキビが活発な時期は、まずニキビ治療を優先します。炎症を抑えることが、新たなクレーター形成の予防になります。既存のクレーター治療は、ニキビが落ち着いてから開始するのが一般的です。
成人~中年(20~50代) 最も治療効果が期待できる年齢層です。肌の修復能力も保たれており、治療の選択肢も豊富です。
高齢者(60代以上) 創傷治癒能力がやや低下するため、治療計画を慎重に立てる必要があります。しかし、治療自体は可能です。
Q8. 妊娠中・授乳中でも治療できますか?
基本的に、妊娠中・授乳中の美容治療は推奨されません。
避けるべき理由
- ホルモンバランスの変化で肌が敏感
- 色素沈着のリスクが高い
- 一部の薬剤や麻酔が胎児・乳児に影響を与える可能性
- 治療後の炎症や痛みがストレスになる
妊娠・授乳期間が終了してから、治療を開始することをお勧めします。その間は、保湿や紫外線対策などのスキンケアに専念しましょう。
Q9. ケロイド体質でも治療できますか?
ケロイド体質の方は、治療によって症状が悪化するリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
リスクの高い治療
- 深いフラクショナルレーザー
- サブシジョン
- パンチエクシジョン(切除術)
比較的安全な治療
- マイルドなケミカルピーリング
- ピコフラクショナル(低出力)
- ヒアルロン酸注入
過去にケロイドができたことがある方は、必ず医師に申告してください。テスト照射を行うなど、慎重なアプローチが必要です。
Q10. 治療を中断するとどうなりますか?
クレーター肌の治療を中断しても、既に得られた改善効果がすぐに失われることはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
注意点
- 継続的な治療で得られるはずの追加改善が得られない
- ヒアルロン酸などの一時的な治療は、効果が徐々に減退
- メンテナンス治療を行わないと、加齢による肌質低下で目立ちやすくなる可能性
治療の中断が必要な場合(妊娠、転居、経済的理由など)は、医師に相談し、適切な中断方法やホームケアについてアドバイスを受けましょう。
まとめ
クレーター肌は、多くの方が「もう治らない」と諦めてしまう症状です。しかし、適切な治療と継続的なケアによって、目立たなくすることは十分に可能です。
重要なポイント
- 予防が最重要 ニキビを作らない、悪化させない、潰さないことが、クレーター肌予防の基本です。
- 早期治療が効果的 ニキビの炎症は早めに皮膚科で治療しましょう。炎症が深くなる前に適切な処置を受けることで、クレーター化を防げます。
- クレーターのタイプを知る アイスピック型、ローリング型、ボックスカー型など、自分のクレーターがどのタイプかを知ることが、適切な治療選択につながります。
- 複数の治療法を組み合わせる 単一の治療法よりも、サブシジョン+ヒアルロン酸、フラクショナルレーザー+PRPなど、複数の方法を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
- 長期的な視点を持つ クレーター肌の改善には、6ヶ月~2年程度の継続的な治療が必要です。焦らず、着実に治療を続けることが大切です。
- ホームケアも重要 医療機関での治療だけでなく、日々のスキンケア、紫外線対策、生活習慣の改善が、治療効果を高めます。
- 専門家に相談 クレーター肌の治療には専門的な知識と技術が必要です。自己判断せず、皮膚科専門医に相談しましょう。
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参考文献
本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン」 https://www.dermatol.or.jp/
- 日本美容皮膚科学会 https://www.aestheticderma.org/
- 日本形成外科学会「瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド治療ガイドライン」 https://www.jsprs.or.jp/
- 厚生労働省「eヘルスネット」- ニキビ(にきび) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) https://www.amed.go.jp/
※本記事の内容は、2025年10月時点の医学的知見に基づいています。治療法や推奨事項は変更される可能性がありますので、最新の情報については専門医にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務