粉瘤が痛むときの対処法と注意点について

粉瘤に痛みが出るのはなぜ?

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできる良性の腫瘍であり、通常は無症状で気づかれにくい存在です。しかし、内部に老廃物が溜まったり細菌感染が生じたりすると、炎症を引き起こし「炎症性粉瘤」となり、痛みを伴うようになります。

炎症性粉瘤の主な原因とは

炎症を引き起こす主な原因は、外部からの細菌の侵入です。特に粉瘤を無理に潰したり、強い摩擦を加えたりすることで内部の袋が破れ、内容物が皮膚内部に漏れると炎症を誘発しやすくなります。

炎症性粉瘤の症状に注意

炎症性粉瘤では、患部に赤みや腫れ、熱感、強い痛みが現れます。進行すると膿がたまり、皮膚の表面から自然に排出されることもあります。痛みが強くなる前に適切な対応が求められます。

放置することで起こるリスク

炎症を伴う粉瘤をそのまま放置すると、膿瘍が形成されて皮膚に穴が開いたり、リンパ節に腫れが出たりすることがあります。放置は症状を悪化させ、日常生活に支障をきたす可能性もあるため、早めの対応が重要です。

市販薬での対処は可能か?

市販されている抗炎症薬や抗菌作用のある軟膏は、一時的に症状を軽減する効果がありますが、根本的な治療にはなりません。特に炎症が進行している場合は、医療機関での診察と処置が必要です。

炎症性粉瘤ができるまでの流れ

粉瘤は、皮膚下に形成された袋状の構造に皮脂や角質が蓄積することでできあがります。この袋が破れたり、細菌が内部に侵入したりすることで、炎症を引き起こし「炎症性粉瘤」へと進行します。

炎症性粉瘤の治療方法

・切開と排膿:膿を取り除き、炎症を一時的に鎮める処置です。

・抗生物質の投与:感染が拡大するのを防ぐために用いられます。

・根治的手術:炎症が落ち着いた段階で、嚢胞(袋)を完全に摘出します。通常は局所麻酔下で10〜20分ほどで行われ、再発防止のためにも推奨されます。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年東京逓信病院勤務
  • 2012年東京警察病院勤務
  • 2012年東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年東京逓信病院勤務
  • 2013年独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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