はじめに
脇汗の悩みは、決して珍しいものではありません。日本皮膚科学会の調査によれば、日本人の約5.75%、つまり18人に1人が原発性腋窩多汗症に悩まされているといわれています。
「白いシャツが黄ばんでしまう」「グレーの服に汗染みができて恥ずかしい」「人前で腕を上げられない」――こうした悩みを抱えながら、誰にも相談できずに過ごしている方は少なくありません。
しかし、現代医学では、脇汗を止める様々な治療法が確立されています。保険適用の手術から、最新の切らない治療まで、選択肢は多岐にわたります。本記事では、アイシークリニック上野院の医師監修のもと、脇汗を止める手術の種類、メリット・デメリット、費用、適応について詳しく解説します。

脇汗が多くなる原因とメカニズム
汗腺の種類と役割
人間の皮膚には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類の汗腺が存在します。
エクリン汗腺は全身に分布しており、体温調節のために水分を主成分とする汗を分泌します。この汗は基本的に無臭で、サラサラとしているのが特徴です。
一方、アポクリン汗腺は脇の下、乳輪、外陰部など限られた部位に存在し、タンパク質や脂質を含む粘り気のある汗を分泌します。この汗自体は無臭ですが、皮膚の常在菌によって分解されることで、独特の臭いを発生させることがあります。
原発性腋窩多汗症とは
原発性腋窩多汗症は、明らかな原因がないにもかかわらず、脇の下から過剰な量の汗が出てしまう状態を指します。日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」では、以下の診断基準が定められています。
診断基準:
明らかな原因がないまま、6か月以上にわたり局所的に過剰な発汗が認められ、以下の6項目のうち2項目以上が当てはまる場合、原発性腋窩多汗症と診断されます。
- 最初に症状が出るのが25歳以下である
- 左右両方で同じような発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 1週間に1回以上、多汗のエピソードがある
- 家族歴がみられる
- わき汗によって日常生活に支障をきたす
重症度の分類
原発性腋窩多汗症の重症度は、HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)という指標で評価されます。
- レベル1:発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- レベル2:発汗は我慢できるが、日常生活にたまに支障がある
- レベル3:発汗はほぼ我慢できず、日常生活にしばしば支障がある
- レベル4:発汗は耐えがたく、日常生活に常に支障がある
HDSSレベル2以上の場合、治療の対象となります。
脇汗を止める治療法の全体像
脇汗を止める治療法は、大きく分けて以下のカテゴリーに分類されます。
1. 保存的治療
- 外用薬(塩化アルミニウム、エクロックゲル、ラピフォートワイプなど)
- 内服薬(抗コリン薬)
- イオントフォレーシス(電流を用いた治療)
2. 注射治療
- ボトックス注射(A型ボツリヌス毒素製剤)
3. 機器治療
- ミラドライ(マイクロ波治療)
- その他のエネルギーデバイス
4. 手術治療
- 剪除法(皮弁法)
- 交感神経遮断術(ETS)
本記事では、主に手術治療と機器治療に焦点を当てて解説します。
手術1:剪除法(皮弁法)— 保険適用の確実な治療
剪除法とは
剪除法(せんじょほう)は、皮弁法とも呼ばれ、日本国内で最も広く行われている脇汗・わきがの手術治療です。この手術は保険適用が認められており、汗腺を直接目で見ながら確実に除去できるため、高い治療効果が期待できます。
手術の方法
剪除法では、脇の中央部を約3~5cm程度切開し、皮膚を裏返すようにして、皮膚の裏側に付着しているアポクリン汗腺を目視で一つずつ丁寧に切除していきます。同時に、エクリン汗腺も部分的に除去されるため、多汗症にも効果があります。
手術の流れ:
- 麻酔:局所麻酔を実施(場合によっては静脈麻酔を併用)
- 切開:脇のしわに沿って3~5cm程度切開
- 皮膚剥離:皮膚を翻転させ、皮下組織から剥離
- 汗腺除去:アポクリン汗腺を直視下でハサミなどを用いて丁寧に除去
- 止血:確実な止血処置を実施
- 縫合:皮膚を元の位置に戻して縫合
- 固定:ガーゼやスポンジで圧迫固定(タイオーバー固定)
手術時間は片側で約30分~1時間程度、両側で1時間半~2時間程度です。
メリット
- 保険適用:3割負担の場合、両脇で約4万~5万円程度
- 高い治療効果:直視下で汗腺を確実に除去できるため、治療効果が高い
- 持続性:一度除去した汗腺は再生しないため、効果は半永久的
- わきがにも効果:臭いの原因となるアポクリン汗腺を直接除去できる
デメリット
- ダウンタイムが長い:3~5日間の圧迫固定が必要で、腕を上げる動作が制限される
- 傷跡が残る:3~5cmの切開跡が残る(ただし、脇のしわに沿って切開するため、時間とともに目立たなくなることが多い)
- 術後の痛み:圧迫固定中は痛みや違和感を感じることがある
- 合併症のリスク:血腫、感染、皮膚壊死などのリスクが少なからず存在する
- 運動制限:本格的な運動ができるようになるまで2週間程度かかる
術後の経過と注意点
剪除法の術後は、以下のような経過をたどります。
術後当日~3日目:
- 圧迫固定を継続
- 腕を肩より上に上げることは禁止
- 洗顔は可能だが、洗髪は困難(家族に手伝ってもらうか、美容院で洗髪してもらう)
- 入浴は腰から下のシャワー浴のみ
術後3~5日目:
- 圧迫固定を解除
- シャワー浴が可能になる(患部は優しく洗う)
術後1~2週間:
- 抜糸を実施
- 徐々に日常生活に戻る
- 激しい運動はまだ控える
術後1か月以降:
- 傷跡が徐々に目立たなくなる
- 本格的な運動が可能になる
費用
保険適用の場合(3割負担):
- 両脇:約40,000~50,000円
- その他、初診料、再診料、術前検査費用などが別途必要
適応
剪除法は、以下のような方に適しています。
- わきがや多汗症の症状が重度で、日常生活に著しい支障がある方
- 保険適用で治療を受けたい方
- 確実な効果を求める方
- ダウンタイムを確保できる方
- 傷跡が残ることを了承できる方
手術2:交感神経遮断術(ETS)— 手の多汗症に特に有効
交感神経遮断術とは
交感神経遮断術(ETS:Endoscopic Thoracic Sympathectomy)は、内視鏡を用いて胸部の交感神経を遮断する手術です。主に手のひらの多汗症に対して行われる治療法ですが、脇の多汗症にも効果があります。
手術の方法
全身麻酔下で、脇の下に数mmの小さな穴を開け、内視鏡を挿入します。胸腔内の交感神経を確認し、クリップで遮断するか、焼灼して機能を停止させます。
メリット
- 手のひらの多汗症に高い効果:約95~98%の成功率
- 傷跡が小さい:数mm程度の傷跡
- 即効性がある:手術直後から効果が現れる
デメリット
- 代償性発汗:最も深刻な副作用で、手術後に背中、腰、太もも、胸などから発汗が増加する現象(発生率は30~80%と報告により幅がある)
- 不可逆的:一度遮断した交感神経は元に戻せない
- 脇の多汗症への効果は限定的:主に手のひらの多汗症に適応
- 全身麻酔が必要:手術のリスクが高くなる
- 再発の可能性:1~5%程度
注意点
交感神経遮断術は、代償性発汗という重大な副作用のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。特に、脇の多汗症のみを目的とする場合は、他の治療法を優先的に検討すべきです。
日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」においても、原発性腋窩多汗症に対する交感神経遮断術は推奨度が低く設定されています。
費用
保険適用の場合(3割負担):
- 約15万~20万円程度
適応
交感神経遮断術は、以下のような方に検討されます。
- 手のひらの多汗症が重度で、他の治療法で効果が得られなかった方
- 代償性発汗のリスクを十分に理解し、受け入れられる方
- 40歳未満の方(40歳以上では胸部内に癒着がある可能性が高く、手術が困難)
脇の多汗症に対しては、剪除法やミラドライなど、他の治療法を優先的に検討することをお勧めします。
最新治療:ミラドライ — 切らない脇汗・わきが治療
ミラドライとは
ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺を破壊する、メスを使わない脇汗・わきが治療です。2018年6月に厚生労働省から「マイクロ波による腋窩多汗症治療機器」として正式に承認を受けており、安全性と有効性が認められています。また、米国FDA(食品医薬品局)でも腋窩多汗症・腋臭症治療機器として承認されています。
ミラドライの仕組み
ミラドライは、電子レンジと同じ原理のマイクロ波を皮膚表面から照射します。マイクロ波は水分に反応して熱を発生させるため、水分を多く含む汗腺(エクリン汗腺とアポクリン汗腺)を選択的に加熱し、60~70度の熱で破壊します。
冷却システム:
ミラドライには独自の冷却システムが搭載されており、皮膚表面から真皮層を冷却しながら照射します。これにより、皮膚へのダメージを最小限に抑えながら、汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層を効果的に加熱できます。
施術の流れ
- 麻酔:局所麻酔を実施(ツーメセント法という大量の麻酔液を注入する方法)
- マーキング:転写シートを使用して照射範囲をマーキング
- 照射:ミラドライのハンドピースを当てて照射(片脇20~30分、両脇で約60分)
- 冷却:アイスパックで15~20分程度冷却
メリット
- 切らない治療:メスを使わないため、傷跡が残らない
- ダウンタイムが短い:当日からシャワー浴が可能で、日常生活への影響が少ない
- 持続効果:一度破壊された汗腺は再生しないため、効果は半永久的
- 両方の汗腺に効果:エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方を破壊できる
- わきがにも効果:アポクリン汗腺を破壊することで、臭いも軽減
- 厚生労働省承認:安全性と有効性が認められている
- 脱毛効果:毛根も同時に破壊されるため、脱毛効果も期待できる
デメリット
- 保険適用外:自費診療のため、費用が高額(20万~40万円程度)
- 完全に汗が止まるわけではない:70~80%程度の汗腺を破壊し、汗の量が20~30%程度に減少する
- 一時的な副作用:腫れ、痛み、内出血、しびれ、硬結などが数日~数週間続くことがある
- 複数回の治療が必要な場合も:効果に満足できない場合、2回目の照射を検討することがある
術後の経過
当日~3日目:
- 腫れや内出血が目立つ(ピークは2~3日目)
- 痛みがある場合は、処方された鎮痛剤を服用
- シャワー浴は可能(患部は優しく洗う)
- 長時間の入浴や激しい運動は控える
1週間後:
- 腫れや内出血が徐々に落ち着く
- 日常生活はほぼ通常通り
1か月後:
- 一部に硬結(皮膚の硬さやひきつれ)が残ることがあるが、徐々に改善
- 破壊しきれなかった汗腺が活動を再開し、効果が若干減少することがある
半年~1年後:
- 硬結が完全に改善
- 安定した効果が得られる
費用
自費診療(保険適用外):
- 両脇:約200,000~400,000円
- クリニックによって価格は異なる
- モニター価格や割引キャンペーンを実施しているクリニックもある
適応
ミラドライは、以下のような方に適しています。
- わきがや多汗症に悩んでいるが、メスを使った手術には抵抗がある方
- ダウンタイムを最小限に抑えたい方
- 傷跡を残したくない方
- 長期的な効果を求める方
- 費用負担を了承できる方
ミラドライの効果に関する注意点
ミラドライは「100%汗が止まる治療」ではありません。施術直後は汗腺の80~90%が破壊されますが、数か月経過すると、破壊しきれなかった汗腺の一部が活動を再開し、最終的には汗の量が施術前の20~30%程度に落ち着きます。
これは「再発」ではなく、通常の経過です。完全に汗を止めることは困難ですが、一般的には日常生活で困らない程度にまで改善します。
その他の治療法:ボトックス注射
ボトックス注射とは
ボトックス注射は、A型ボツリヌス毒素製剤を脇に注射することで、汗腺の神経伝達を遮断し、発汗を抑える治療法です。
メリット
- 手軽:注射のみで完了し、施術時間は10~15分程度
- ダウンタイムがほぼない:注射後すぐに日常生活に戻れる
- 痛みが少ない:極細の針を使用するため、痛みは最小限
デメリット
- 効果の持続期間が短い:約4~6か月(個人差あり)
- 定期的な施術が必要:効果を維持するには、年に2~3回の施術が必要
- 保険適用に条件がある:原発性腋窩多汗症で、重症度が高い場合のみ保険適用
- わきがへの効果は限定的:多汗症には効果があるが、臭いの改善効果は限定的
費用
- 保険適用の場合(3割負担):両脇で約30,000円
- 自費診療の場合:両脇で約50,000~100,000円
外用薬による治療
近年、原発性腋窩多汗症の治療において、外用抗コリン薬が注目されています。
エクロックゲル®(ソフピロニウム臭化物)
2020年11月に発売された塗り薬で、12歳から使用可能です。1日1回、脇に塗布することで発汗を抑えます。臨床試験では、80%の方で発汗が抑えられ、60%の方で日常生活に支障がない程度まで改善したという結果が報告されています。
ラピフォートワイプ®(グリコピロニウムトシル酸塩水和物)
1包にシート1枚が封入されている使い切りタイプのワイプ製剤です。簡便かつ衛生的に使用でき、1日1回、両脇に塗布します。
メリット
- 手軽に始められる:塗るだけで効果が得られる
- 保険適用:医療機関で処方してもらえる
- 副作用が少ない:重大な副作用はほとんど報告されていない
- 小児にも使用可能:12歳から使用できる
デメリット
- 毎日の使用が必要:効果を維持するには毎日塗布する必要がある
- 効果に個人差:すべての人に効果があるわけではない
- 副作用:塗布部位の乾燥、かゆみ、刺激感などが起こることがある
治療法の選び方:あなたに最適な方法は?
脇汗を止める治療法は多岐にわたりますが、どの治療法が最適かは、症状の重症度、ライフスタイル、費用、ダウンタイムの許容度などによって異なります。
軽度の多汗症の場合
推奨治療:
- 外用薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)
- 塩化アルミニウム外用
まずは手軽に始められる外用薬を試してみることをお勧めします。多くの方が外用薬で日常生活に支障がない程度まで改善します。
中等度の多汗症の場合
推奨治療:
- ボトックス注射
- 外用薬(効果が不十分な場合)
外用薬で効果が不十分な場合は、ボトックス注射を検討しましょう。ダウンタイムがほとんどなく、手軽に受けられます。ただし、効果は4~6か月程度のため、定期的な施術が必要です。
重度の多汗症・わきがの場合
推奨治療:
- ミラドライ(切らない治療を希望する場合)
- 剪除法(保険適用で確実な効果を求める場合)
重度の症状で日常生活に著しい支障がある場合は、長期的な効果が期待できるミラドライや剪除法を検討しましょう。
ミラドライと剪除法の比較:
| 項目 | ミラドライ | 剪除法 |
|---|---|---|
| 保険適用 | × | ○ |
| 費用 | 20~40万円 | 4~5万円(3割負担) |
| 傷跡 | なし | あり(3~5cm) |
| ダウンタイム | 短い(当日~1週間) | 長い(2~4週間) |
| 効果 | 70~80%減少 | 80~90%減少 |
| 持続性 | 半永久的 | 半永久的 |
| わきがへの効果 | あり | あり |
手のひらの多汗症が主な悩みの場合
推奨治療:
- イオントフォレーシス
- ボトックス注射
- 交感神経遮断術(他の治療で効果が得られない場合)
手のひらの多汗症には、まずイオントフォレーシスやボトックス注射を試すことをお勧めします。交感神経遮断術は、代償性発汗のリスクがあるため、慎重に検討しましょう。
アイシークリニック上野院での治療
アイシークリニック上野院では、脇汗や多汗症に悩む患者様に対して、一人ひとりの症状やご希望に合わせた最適な治療をご提案しています。
当院の特徴
- 経験豊富な医師による診療:形成外科専門医が丁寧に診察し、最適な治療法をご提案します
- 保険診療に対応:剪除法など、保険適用の治療を受けることができます
- 充実したカウンセリング:治療のメリット・デメリット、費用、ダウンタイムについて詳しくご説明します
- 術後のフォロー:術後の経過を丁寧にフォローし、合併症の早期発見・対応に努めます
- プライバシーへの配慮:デリケートな悩みを抱える患者様のプライバシーを最大限尊重します
治療の流れ
- 初診・カウンセリング:症状や悩みをお聞きし、診察を行います
- 診断:日本皮膚科学会のガイドラインに基づき、多汗症の診断を行います
- 治療法の提案:患者様の症状やご希望に合わせて、最適な治療法をご提案します
- 治療:十分なご説明とご同意の上で、治療を実施します
- 術後フォロー:定期的に経過を確認し、必要に応じて処置を行います

よくある質問(Q&A)
A. いいえ、完全に汗が出なくなるわけではありません。剪除法やミラドライなどの治療により、汗腺の70~90%程度を除去または破壊できますが、残った汗腺からは汗が出ます。ただし、多くの場合、日常生活で困らない程度にまで改善します。
A. 一度除去または破壊された汗腺は基本的に再生しません。ただし、成長期の方の場合、体の成長とともに新たな汗腺が発達する可能性があるため、成長期の手術は慎重に検討する必要があります。
A. 剪除法やミラドライでは、基本的に代償性発汗は起こりません。ただし、交感神経遮断術(ETS)では、30~80%の方で代償性発汗が発生するため、注意が必要です。
Q4. 手術後、どのくらいで日常生活に戻れますか?
A. 治療法によって異なります。
- 剪除法:本格的な運動ができるようになるまで2~4週間
- ミラドライ:当日~1週間で日常生活に戻れる
- ボトックス注射:当日から通常通りの生活が可能
Q5. 保険適用で治療を受けられますか?
A. 剪除法は保険適用です。ボトックス注射も、原発性腋窩多汗症で重症度が高い場合は保険適用となります。ミラドライは自費診療のみです。
Q6. わきがと多汗症は同じですか?
A. いいえ、異なります。多汗症は汗の量が多い状態で、主にエクリン汗腺が原因です。わきがは独特の臭いを発する状態で、主にアポクリン汗腺が原因です。ただし、両方を合併している方も多くいます。
Q7. 小学生や中学生でも手術を受けられますか?
A. 可能ですが、慎重な判断が必要です。成長期の方は、手術後も汗腺が新たに発達する可能性があるため、まずは外用薬やボトックス注射などの治療を検討することをお勧めします。
Q8. 脇の医療脱毛をすれば、わきがや多汗症は治りますか?
A. いいえ、医療脱毛は主に毛根をターゲットにしており、汗腺を直接破壊するものではありません。ただし、脱毛により毛が少なくなることで、汗の蒸発が促進され、臭いが軽減されることはあります。
Q9. 妊娠中や授乳中でも治療を受けられますか?
A. 妊娠中や授乳中は、基本的に手術やミラドライ、ボトックス注射は推奨されません。外用薬も、医師に相談の上で使用してください。
Q10. 手術後の痛みはどのくらいですか?
A. 痛みには個人差がありますが、剪除法では術後2~3日間は痛みを感じることが多いです。処方された鎮痛剤で対処できる程度のことがほとんどです。ミラドライでは、痛みは軽度で、数日で落ち着くことが多いです。
まとめ
脇汗を止める治療法は、外用薬から手術まで、様々な選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、患者様の症状の重症度、ライフスタイル、ご希望によって最適な治療法は異なります。
軽度の症状の方は、まず外用薬を試してみることをお勧めします。中等度の症状の方は、ボトックス注射が効果的です。重度の症状やわきがを併発している方は、長期的な効果が期待できるミラドライや剪除法を検討しましょう。
大切なのは、一人で悩まず、専門医に相談することです。アイシークリニック上野院では、患者様の悩みに寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。脇汗やわきがでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/133/2/133_157/_article/-char/ja/
- 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版」https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/125/7/125_1379/_article/-char/ja/
- Mindsガイドラインライブラリ「原発性局所多汗症診療ガイドライン」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00330/
- 日本皮膚科学会公式サイト「一般公開ガイドライン」https://www.dermatol.or.jp/modules/guideline/index.php?content_id=2
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務