足の付け根にできもの|押すと痛い原因と受診すべき症状を解説

クリニックでカウンセリングを受ける患者と女性医師

足の付け根に突然できもの・しこりを発見して、不安になっていませんか?

💬 「押すと痛い…これって大丈夫?」「病院に行くべき?」
そのまま放置すると、深刻な病気を見逃すリスクがあります。

🚨 この記事を読まないと…

  • 自己判断で放置 → 症状が悪化・手術が必要になるケースも
  • 「ただの脂肪のかたまり」と思っていたら鼠径ヘルニアや感染症だった…という事例も
  • 受診のタイミングを逃して、治療が長引くことに

✅ この記事でわかること:
📌 足の付け根のしこりが押すと痛い原因4選(リンパ節・鼠径ヘルニア・粉瘤・脂肪腫)
📌 今すぐ受診すべき危険なサインの見分け方
📌 何科に行けばいい?受診先と検査の流れまで丸わかり


💬 こんな方はとくに読んでほしい!

  • 🔸 足の付け根にしこり・ふくらみが突然できた
  • 🔸 押すと痛みや違和感がある
  • 🔸 2週間以上しこりが続いている
  • 🔸 熱っぽい・しこりが急に大きくなっている気がする

目次

  1. 足の付け根(鼠径部)の解剖学的な特徴
  2. 足の付け根にできもの・しこりができる主な原因
  3. リンパ節腫脹(リンパ節炎)について
  4. 鼠径ヘルニア(脱腸)について
  5. 粉瘤(アテローム)について
  6. 脂肪腫について
  7. その他に考えられる原因
  8. 押すと痛い場合に注意すべき症状
  9. 症状別のチェックポイント
  10. 受診すべきタイミングと受診先
  11. 診察・検査の流れ
  12. まとめ

この記事のポイント

足の付け根のできものはリンパ節腫脹・鼠径ヘルニア・粉瘤・脂肪腫が主な原因。急激な痛み・高熱・急速な増大がある場合は速やかに受診が必要で、2週間以上続くしこりも自己判断で放置せず専門医への相談が重要。

💡 足の付け根(鼠径部)の解剖学的な特徴

足の付け根、医学的には「鼠径部(そけいぶ)」と呼ばれる部位は、下腹部と太ももの境目にあたる折り目の部分を指します。この部位は、一見すると単純なように見えますが、実際には非常に複雑な構造をしています。

鼠径部には、大腿動脈や大腿静脈といった太い血管が通っており、下半身全体に血液を送るための重要な通路となっています。また、鼠径リンパ節と呼ばれるリンパ節の集まりも存在しており、下半身や骨盤内からのリンパ液を集めて処理する役割を担っています。さらに、腸管や腹膜が通る「鼠径管」と呼ばれる通路もあり、男性では精索(精巣につながる血管や神経の束)が、女性では子宮円索が通っています。

このように多くの重要な組織が集まっているため、さまざまな原因でできものやしこりが生じやすい部位でもあります。また、立ったり歩いたりするときに常に動く部位であるため、できものができると日常生活に支障をきたしやすいという特徴もあります。

鼠径部のできものは、表面近くにある場合は皮膚疾患由来のもの、もう少し深い層にある場合はリンパ節や脂肪組織由来のもの、さらに深い場合は腹腔内の臓器(腸など)が関わるものと、深さによって原因が異なってきます。この点を踏まえた上で、以降の各原因について理解していきましょう。

Q. 足の付け根にできものができる主な原因は何ですか?

足の付け根(鼠径部)のできものの主な原因は、リンパ節腫脹・鼠径ヘルニア・粉瘤・脂肪腫の4つです。まれに悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大などの悪性疾患が原因となる場合もあるため、症状が続く場合は自己判断せず医療機関を受診することが重要です。

📌 足の付け根にできもの・しこりができる主な原因

足の付け根にできものや硬いしこりができる原因は、大きく分けていくつかのカテゴリーに分類されます。それぞれの原因によって、症状の特徴や対処法が大きく異なります。

最も頻度が高いのは、リンパ節腫脹(リンパ節の腫れ)です。次いで鼠径ヘルニア(脱腸)、粉瘤(アテローム)、脂肪腫なども比較的よく見られます。また、まれではありますが、悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫大といった悪性疾患が原因となることもあるため、注意が必要です。

次のセクションから、各原因について詳しく解説していきます。それぞれの特徴をしっかりと把握しておくことで、自分の症状がどれに近いかを判断する参考にしてください。ただし、最終的な診断は医師が行うものであり、自己判断だけで放置するのは危険です。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

✨ リンパ節腫脹(リンパ節炎)について

足の付け根にできものができる最も一般的な原因のひとつが、鼠径リンパ節の腫れ(リンパ節腫脹)です。鼠径リンパ節は通常、小豆程度の大きさですが、何らかの感染や炎症が起きると腫れて大きくなり、ふくらみとして触れるようになります。

リンパ節が腫れる最も一般的な原因は、細菌やウイルスによる感染症です。足や下半身、股間部(外陰部、肛門周囲など)に傷口、虫刺されの跡、水虫の感染などがあると、そこから侵入した細菌がリンパ節に到達し、炎症を引き起こすことがあります。このような状態を「リンパ節炎」と呼びます。

リンパ節炎によるしこりの特徴としては、押すと明確な痛みがある、触るとやや動く、皮膚が赤くなったり熱感を帯びたりすることがある、などが挙げられます。多くの場合、原因となる感染症が治まるとリンパ節の腫れも徐々に改善していきます。しかし、重症化すると「リンパ節膿瘍」といって、リンパ節の中に膿がたまる状態になることもあり、切開排膿や抗菌薬による治療が必要になることがあります。

また、性感染症(梅毒、クラミジア、淋病、ヘルペスなど)が原因でリンパ節が腫れることも少なくありません。性的接触後にリンパ節の腫れが生じた場合は、性感染症も念頭に置いて受診することが大切です。性感染症によるリンパ節腫脹は、痛みを伴うことも伴わないこともあり、症状は多様です。

さらに、悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病、転移性がんなど)でもリンパ節が腫れることがあります。悪性疾患によるリンパ節腫脹は、一般的に痛みが少なく、硬く、動きにくい傾向がありますが、炎症を伴う場合は押すと痛むこともあります。数週間以上にわたってリンパ節の腫れが続く場合は、必ず医師の診察を受けてください。

Q. 鼠径ヘルニアの特徴的な症状と治療法を教えてください。

鼠径ヘルニア(脱腸)は、立つと鼠径部のふくらみが大きくなり、横になると引っ込む点が特徴です。自然治癒はなく、手術が唯一の根本治療です。腸が戻らなくなる「嵌頓」が起きると緊急手術が必要になるため、診断後は早めの治療検討が推奨されます。

🔍 鼠径ヘルニア(脱腸)について

鼠径ヘルニアは、一般的に「脱腸」とも呼ばれる疾患で、お腹の中の腸などの臓器が、腹壁の弱くなった部分(鼠径管)から飛び出してしまう状態を指します。足の付け根にふくらみが生じる原因として、特に中高年の男性に多く見られます。

鼠径ヘルニアの最も特徴的な症状は、立ったり腹圧がかかったりするとふくらみが大きくなり、横になったり手で押したりすると引っ込む、という点です。ただし、腸が飛び出した状態で戻らなくなってしまった場合(嵌頓ヘルニア)は、強い痛みや吐き気、腸閉塞などが生じ、緊急手術が必要になることがあります。

鼠径ヘルニアの初期段階では痛みがないことも多いですが、病状が進むにつれて鈍い痛みや違和感を感じるようになります。押すと痛みがある場合や、ふくらみが手で押しても戻らない場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、手術が唯一の根本的な治療法です。腹腔鏡を使った手術(腹腔鏡下ヘルニア修復術)や、開腹手術(鼠径部切開法)などが行われます。手術は比較的安全で、多くの場合は日帰りや短期入院で完結します。放置すると嵌頓(かんとん)のリスクが高まるため、診断されたら早めの治療を検討することが重要です。

なお、鼠径ヘルニアは男性に多い疾患ですが、女性にも発症することがあります。女性の場合、大腿ヘルニアという鼠径ヘルニアの一種が多く、嵌頓しやすい特徴があります。女性で足の付け根にふくらみを感じる場合も、早めの受診をおすすめします。

💪 粉瘤(アテローム)について

粉瘤(ふんりゅう)は、アテロームとも呼ばれる良性の皮膚腫瘍の一種です。皮膚の下に袋状の構造物が形成され、その中に角質(垢)や皮脂などが蓄積していくことで、しこりのようになります。足の付け根を含む全身のあらゆる部位に生じる可能性があります。

粉瘤の特徴としては、中心部に小さな黒い点(開口部)が見られることが多い、表面の皮膚と一体化しているように見える、周囲の皮膚を動かすとしこりもついてくる、などが挙げられます。感染していない状態では、押しても強い痛みはなく、やや動く感触があります。

問題なのは、粉瘤に細菌感染が起きて炎症を起こした場合です。炎症性粉瘤になると、しこりの部分が赤くなり、押すと強い痛みを感じるようになります。さらに悪化すると膿がたまり、自然に破れて膿が出ることもあります。このような状態は「炎症性粉瘤」と呼ばれ、感染が起きている場合は切開して膿を排出する処置や抗生剤の投与が必要になることがあります。

粉瘤は自然に消えることはほとんどなく、放置すると徐々に大きくなることが多いです。根本的な治療は手術による摘出ですが、炎症が落ち着いた状態で行うのが一般的です。炎症が強い急性期に手術を行うと、取り残しが生じて再発するリスクが高くなるためです。

手術は通常、局所麻酔下で行われる外来手術で、30分程度で終わることが多いです。袋ごとしっかり摘出することが再発防止のカギとなります。気になるしこりがある場合は、炎症を起こす前に皮膚科や形成外科を受診することをおすすめします。

🎯 脂肪腫について

脂肪腫は、皮膚の下の脂肪組織が異常に増殖してできる良性の腫瘍です。体のあらゆる部位に生じる可能性があり、足の付け根(鼠径部)にもできることがあります。良性腫瘍であることがほとんどで、基本的には健康への悪影響はありませんが、大きくなると周囲の組織を圧迫して痛みを引き起こすことがあります。

脂肪腫の特徴としては、触るとやわらかく弾力があり、押すと少し動く感触がある、皮膚と一体化しておらず皮膚を動かしても一緒には動かない、痛みはないことが多い(ただし大きくなると圧迫痛が生じることがある)、などが挙げられます。

脂肪腫そのものは基本的に痛みを伴いませんが、神経に近い部位にできた場合や、神経を巻き込んでいる場合(神経線維腫との鑑別が必要)は、押すと痛みや神経症状(しびれなど)が出ることがあります。また、急に大きくなった場合は、脂肪肉腫という悪性腫瘍との鑑別が必要になることがあります。

小さくて症状がない場合は経過観察することもありますが、大きい場合や痛みがある場合、見た目が気になる場合は手術で摘出することができます。超音波検査(エコー)やMRI検査で腫瘍の性質を確認してから、適切な治療方針を決定します。脂肪腫の摘出手術は外来で行えることが多く、局所麻酔下で比較的短時間で終わります。

Q. 足の付け根のしこりで緊急受診が必要なのはどんな場合ですか?

足の付け根のしこりで緊急受診が必要なのは、突然の強い痛みや吐き気・嘔吐を伴う場合(鼠径ヘルニア嵌頓の疑い)、38℃以上の高熱、皮膚の赤紫色への変色、足全体のむくみがある場合です。これらは重篤な疾患の可能性があるため、その日のうちに救急外来を受診してください。

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💡 その他に考えられる原因

上記の主な原因以外にも、足の付け根のできものや押すと痛いしこりの原因となる疾患はいくつかあります。

まず、毛嚢炎(毛包炎)が挙げられます。鼠径部は汗をかきやすく、毛が生える部位でもあるため、毛嚢(毛根を包む袋)に細菌が感染して炎症を起こすことがあります。赤みを帯びた小さな丘疹(盛り上がり)が見られ、押すと痛みがあります。通常は軽度の抗生剤外用薬で治療できますが、重症化すると膿がたまってせつ(おでき)になることもあります。

次に、陥入毛(埋没毛)があります。剃毛やワックス脱毛を行う方に多く見られ、毛が皮膚の中に埋没して炎症を起こした状態です。赤みや腫れを伴い、押すと痛みがあります。軽症の場合は消毒と保護で改善することがありますが、感染が強い場合は切開が必要になることがあります。

また、化膿性汗腺炎(毛孔性苔癬の重症型)も鼠径部に好発する疾患のひとつです。汗腺や毛嚢に慢性的な炎症が起き、繰り返し膿が出るという特徴があります。痛みを伴うしこりや膿瘍(のうよう)が鼠径部や腋窩(脇の下)などに生じます。治療は抗生剤の内服や外用、重症例では手術が必要になることもあります。

さらに、大腿ヘルニアも見逃してはいけない疾患です。特に女性に多く、鼠径ヘルニアと似ていますが、ふくらみが大腿部(鼠径靭帯より下)にできます。嵌頓しやすく危険度が高いため、早期の手術が推奨されます。

骨盤内や腹部の疾患が鼠径部のしこりや痛みとして現れることもあります。卵巣嚢腫、子宮筋腫、骨盤内炎症性疾患(PID)などは、女性の鼠径部痛の原因となりえます。また、大腸がん、子宮がん、膀胱がんなどの骨盤内悪性腫瘍が鼠径リンパ節に転移して、リンパ節が腫れる(転移性リンパ節腫大)ことも考えられます。

股関節疾患(変形性股関節症、股関節唇損傷など)も、鼠径部に痛みをきたすことがあります。この場合、はっきりとしたしこりは感じないことが多いですが、鼠径部に押すと痛みがある感覚が生じることがあります。

📌 押すと痛い場合に注意すべき症状

足の付け根のできものや腫れが押すと痛い場合、症状の内容によっては迅速な医療機関への受診が必要なケースがあります。以下のような症状が見られる場合は、特に注意が必要です。

まず、激しい痛みが急に始まった場合は要注意です。鼠径ヘルニアの嵌頓が起きた場合、腸が締め付けられて血流が遮断されるため、急激で強い痛みが生じます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。この状態は医療的緊急事態であり、時間が経つにつれて腸が壊死するリスクがあります。すぐに救急を受診してください。

次に、高熱を伴う場合も緊急性があります。リンパ節炎や粉瘤の感染、化膿性汗腺炎などが重症化した場合、38℃以上の高熱が出ることがあります。敗血症(細菌が血液中に入り込んで全身に広がる状態)に進展する可能性があるため、早急な受診が必要です。

しこりが急速に大きくなっている場合も注意が必要です。数日から数週間の間に急激に増大するしこりは、感染性の疾患か悪性疾患の可能性があります。特に痛みや熱感を伴わずにゆっくりと大きくなっている場合でも、数ヶ月以上続く場合は検査が必要です。

しこりの皮膚が赤紫色に変色している場合も注意が必要です。皮膚の色が変わっている場合は、炎症が強くなっているか、壊死が始まっている可能性があります。

足のむくみや下肢全体の腫れを伴う場合は、静脈血栓症(深部静脈血栓症)や、リンパ管炎・リンパ浮腫の可能性があります。深部静脈血栓症は肺塞栓症(血栓が肺に詰まる状態)を引き起こす危険があるため、早急な対応が必要です。

また、体重減少、寝汗、倦怠感などの全身症状を伴う場合は、悪性リンパ腫や結核、その他の悪性疾患の可能性があります。これらの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

✨ 症状別のチェックポイント

足の付け根のできものがどのような原因によるものかを判断するために、いくつかのチェックポイントがあります。ただし、あくまで参考として捉え、自己判断で放置しないようにしてください。

しこりの固さについては、柔らかくてぶよぶよしている場合は脂肪腫や嚢胞、硬くて弾力がある場合はリンパ節や粉瘤、非常に固い場合は悪性腫瘍(ただし初期の悪性腫瘍は硬くない場合もある)などが考えられます。

しこりの動きについては、指で押すと動く場合は脂肪腫やリンパ節炎の可能性が高く、周囲の組織と癒着して動かない場合は悪性腫瘍の可能性が上がります。鼠径ヘルニアは腹圧をかけると大きくなり、手で押したり横になったりすると小さくなるという特徴的な動きがあります。

痛みの性質についても参考になります。押したときだけ痛む場合は炎症性の疾患(リンパ節炎、炎症性粉瘤など)が多く、安静時にもズキズキと痛む場合は感染や炎症が強い状態、動作時(歩くとき、立ち上がるときなど)に痛みが強くなる場合は鼠径ヘルニアや股関節疾患の可能性があります。

皮膚の変化については、しこりの上の皮膚が赤くなっている、熱感がある場合は炎症(感染)の可能性が高く、皮膚に黒い点がある場合は粉瘤の可能性があります。皮膚の色に変化がない場合は脂肪腫や転移性リンパ節などが考えられます。

しこりの数については、単発(一つ)の場合はヘルニア、脂肪腫、粉瘤などが多く、複数同時に腫れている場合はリンパ節炎(感染症や全身疾患)の可能性があります。両側の足の付け根に同時にしこりがある場合は、全身性の疾患(感染症、悪性リンパ腫など)を疑うことも重要です。

発症の経緯も重要な手がかりになります。足や下半身のケガや感染(虫刺され、水虫の悪化、傷口の化膿など)の後に腫れが生じた場合はリンパ節炎が疑われます。性的接触後に生じた場合は性感染症の可能性も考慮が必要です。重い物を持ち上げた後や力んだ後にふくらみが生じた場合は鼠径ヘルニアが疑われます。

Q. 粉瘤が炎症を起こした場合はどう対処すべきですか?

粉瘤に細菌感染が起きた「炎症性粉瘤」では、しこりが赤く腫れて押すと強い痛みが生じます。この場合、切開して膿を排出する処置や抗生剤の投与が必要です。炎症が強い急性期の手術は取り残しによる再発リスクが高く、炎症が落ち着いてから摘出手術を行うのが一般的です。

🔍 受診すべきタイミングと受診先

足の付け根のできものは、どのタイミングで医療機関を受診すべきでしょうか。以下の状況に該当する場合は、早めの受診を検討してください。

緊急受診が必要な場合としては、突然強い痛みが生じた、吐き気や嘔吐を伴う(鼠径ヘルニアの嵌頓が疑われる)、38℃以上の高熱が出ている、皮膚が赤紫色に変色している、足全体がむくんでいる(深部静脈血栓症の疑い)などが挙げられます。これらに該当する場合は、その日のうちに救急外来を受診してください。

早めの受診(数日以内)が望ましい場合としては、しこりや腫れが2週間以上続いている、少しずつ大きくなっている、痛みや腫れが増している、普段の生活(歩く・座る・立つ)に支障をきたしている、リンパ節の腫れが複数個所にある、などの状況が挙げられます。

受診先については、症状によって適切な診療科が異なります。まずは内科や外科を受診して、状況に応じて適切な専門科に紹介してもらうのが効率的です。アイシークリニック上野院では、皮膚のできもの(粉瘤、脂肪腫など)に関する診察・治療を行っております。できものが皮膚性状のものか、それ以外かの鑑別も含めて、まずは相談されることをおすすめします。

鼠径ヘルニアが疑われる場合は外科(消化器外科、一般外科)を受診します。リンパ節腫脹が主な症状で感染症が疑われる場合は内科や外科、性感染症が疑われる場合は泌尿器科、婦人科、または性病専門クリニックが適しています。悪性疾患が疑われる場合は内科や外科から血液内科・腫瘍内科へ紹介されることになります。股関節疾患が疑われる場合は整形外科を受診します。

💪 診察・検査の流れ

医療機関を受診した場合、どのような診察・検査が行われるのかを事前に知っておくと、安心して受診できます。

まず、問診が行われます。いつからしこりや腫れが生じたか、痛みの有無と性質、発熱などの全身症状、過去の病歴・手術歴、最近の外傷・感染・性的接触の有無、アレルギーの有無などについて質問されます。できるだけ正確に、詳しく答えることが正確な診断につながります。

次に、視診・触診が行われます。医師がしこりの部位、大きさ、形、硬さ、動き、皮膚の色の変化、熱感などを確認します。腹圧をかける(立つ・咳をするなど)と変化するかどうかも確認されることがあります。

超音波検査(エコー検査)は、しこりの性質を非侵襲的(体を傷つけずに)に調べる方法として最もよく使われます。リンパ節の腫脹、脂肪腫、粉瘤、ヘルニア嚢など、さまざまな疾患の鑑別に役立ちます。痛みがなく、比較的短時間で行えます。

血液検査では、炎症の程度(CRP、白血球数)、肝機能、腎機能、腫瘍マーカーなどが調べられます。感染症が疑われる場合は、特定の病原体に対する抗体検査なども行われます。

CT検査やMRI検査は、深部のしこりや腹腔内の異常を調べる際に使われます。悪性疾患が疑われる場合や、超音波検査では診断が難しい場合に追加で行われます。CT検査は比較的短時間で結果が出ますが、放射線被曝があります。MRI検査は放射線被曝がなく、軟部組織の詳細な評価に優れています。

場合によっては、しこりから細胞や組織を採取して調べる「細胞診」や「組織生検」が行われることもあります。これは特に悪性疾患が疑われる場合に、確定診断のために行われます。

これらの検査結果を総合して、医師が診断を下し、適切な治療方針を提案します。治療内容は原因によって大きく異なりますが、薬物療法(抗生剤など)、外来処置(切開排膿など)、手術(粉瘤摘出、ヘルニア修復術など)などがあります。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、足の付け根のしこりを「様子を見ていたけれど心配になって…」とおっしゃってご来院される患者様が多く、実際に診察すると粉瘤や脂肪腫といった良性疾患であるケースが少なくありません。ただし、鼠径ヘルニアの嵌頓や悪性疾患が隠れている場合もあるため、「押すと痛い」「急に大きくなった」「発熱を伴う」といった症状がある場合は、ご自身で判断せずに早めにご相談いただくことを強くお勧めします。どんな小さな不安でも、まず専門医に診ていただくことが、安心と早期回復への確実な一歩になります。」

🎯 よくある質問

足の付け根のしこりは何科を受診すれば良いですか?

症状によって適切な診療科が異なります。まずは内科や外科を受診するのが効率的です。皮膚表面に近いしこり(粉瘤・脂肪腫など)は皮膚科や形成外科、鼠径ヘルニアが疑われる場合は外科、性感染症が疑われる場合は泌尿器科や婦人科が適しています。アイシークリニック上野院でも皮膚のできものに関する診察・治療を行っています。

足の付け根のしこりが押すと痛い場合、すぐに病院へ行くべきですか?

押すと痛む場合でも、症状の緊急度はさまざまです。ただし、突然の強い痛み・吐き気・38℃以上の高熱・皮膚の赤紫色への変色・足全体のむくみを伴う場合は、鼠径ヘルニアの嵌頓や重篤な感染症の可能性があるため、その日のうちに救急外来を受診してください。

足の付け根のしこりが自然に治ることはありますか?

原因によって異なります。リンパ節腫脹は、もとになった感染症が治まれば自然に改善することがあります。一方、粉瘤や脂肪腫はほぼ自然に消えることはなく、鼠径ヘルニアは手術が唯一の根本的な治療法です。2週間以上続くしこりや徐々に大きくなるしこりは、自己判断で放置せず医師に相談することをおすすめします。

足の付け根のしこりが悪性かどうか、見分ける方法はありますか?

自己判断での見分けは難しいですが、いくつかの目安があります。悪性疾患では、しこりが硬く周囲と癒着して動きにくい、痛みが少ない、数週間以上かけてゆっくり大きくなる、体重減少・寝汗・倦怠感などの全身症状を伴うといった特徴が見られることがあります。ただし確定診断には医療機関での超音波検査や組織生検が必要です。

足の付け根のしこりを放置するとどうなりますか?

原因によってリスクが異なります。鼠径ヘルニアを放置すると腸が戻らなくなる「嵌頓」を起こし、緊急手術が必要になる場合があります。粉瘤は感染して強い炎症や膿が生じることがあります。悪性疾患であれば病状が進行するリスクもあります。痛みや炎症がなくても、2週間以上続くしこりは早めに医師の診察を受けることが大切です。

💡 まとめ

足の付け根(鼠径部)のできものや押すと痛いしこりは、リンパ節腫脹、鼠径ヘルニア、粉瘤、脂肪腫など、様々な原因によって生じます。それぞれの疾患によって症状の特徴が異なり、治療法も大きく違います。

重要なのは、自己判断で放置しないことです。足の付け根のしこりは、日常的によく見られるものから、緊急対応が必要なものまで幅広く存在します。特に、急激な強い痛み、高熱、しこりの急速な増大、足全体の腫れといった症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

また、痛みや明らかな炎症症状がなくても、2週間以上続くしこりや、徐々に大きくなるしこりは、一度医師に診てもらうことをおすすめします。早期に適切な診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、回復も早くなることが多いです。

アイシークリニック上野院では、皮膚のできもの(粉瘤・脂肪腫など)の診察・治療を行っています。足の付け根のしこりについてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。まずは専門医に診てもらい、正確な診断を受けることが、安心への第一歩となります。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 粉瘤(アテローム)や脂肪腫などの皮膚良性腫瘍の定義・診断・治療方針に関する情報として参照
  • 日本形成外科学会 – 粉瘤・脂肪腫の外科的摘出手術の適応や手術方法、再発予防に関する情報として参照
  • 厚生労働省 – 性感染症(梅毒・クラミジア・淋病など)によるリンパ節腫脹や感染症全般の診断・受診に関する情報として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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