夏になると蚊に刺される機会が増えますが、「かゆくて掻いていたら、なんだか傷が広がってきた」「赤みや湿疹がどんどん増えている」と感じたことはありませんか。これは「とびひ(伝染性膿痂疹)」と呼ばれる皮膚感染症が起きているサインかもしれません。蚊に刺されたことがきっかけでとびひに発展するケースは少なくなく、特に小さな子どもでは注意が必要です。この記事では、蚊に刺されとびひの関係性から、症状の見分け方、適切な治療法、家庭でできる予防策まで詳しく解説します。
目次
- とびひ(伝染性膿痂疹)とはどんな病気か
- 蚊に刺されがとびひのきっかけになる理由
- とびひの種類と症状の特徴
- 蚊に刺された後にとびひを疑うべきサイン
- とびひの診断と検査
- とびひの治療法
- 家庭でのケアと注意点
- とびひを広げないための予防策
- 受診の目安とアイシークリニック上野院について
この記事のポイント
蚊に刺されて掻くことで皮膚バリアが破れ、黄色ブドウ球菌などが侵入してとびひ(伝染性膿痂疹)に発展する。水疱や黄色いかさぶたが広がる場合は早期に皮膚科で抗菌薬治療を受けることが重要で、ステロイド軟膏の自己使用は禁忌。
🎯 とびひ(伝染性膿痂疹)とはどんな病気か
とびひの正式名称は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といいます。皮膚の表面に細菌が感染することで起こる、感染力の高い皮膚疾患です。「とびひ」という名前は、まるで火の粉が飛んで燃え広がるように、皮膚の症状が体のあちこちに次々と広がっていく様子から名付けられました。
この病気の原因となる主な細菌は、黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)とA群溶血性連鎖球菌(いわゆる溶連菌)の2種類です。どちらの菌が感染するかによって、症状の現れ方や重症度が異なります。
とびひは乳幼児から小学生の子どもに多い疾患で、特に夏場に流行しやすいとされています。子どもの皮膚はまだ未発達で外部からの刺激に弱く、バリア機能が十分でないため細菌が侵入しやすい状態にあります。また、汗をかきやすい夏は皮膚が蒸れて細菌が繁殖しやすく、集団生活を送る保育園や学校でのタオルや衣類などを介した感染も起こりやすい環境です。
成人でも発症することがありますが、アトピー性皮膚炎や糖尿病などで免疫機能が低下している場合、あるいは皮膚のバリア機能が損なわれている場合は感染リスクが高まります。普段から皮膚トラブルを抱えている方は特に注意が必要です。
Q. 蚊に刺されからとびひになる原因は何ですか?
蚊に刺されると強いかゆみが生じ、掻くことで皮膚に小さな傷ができます。その傷から皮膚のバリア機能が崩れ、爪の間に潜む黄色ブドウ球菌などが侵入することでとびひが発症します。夏は汗で皮膚が蒸れて細菌が繁殖しやすく、特に幼児は発症リスクが高い傾向があります。
📋 蚊に刺されがとびひのきっかけになる理由
「蚊に刺されただけでなぜとびひになるの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。蚊に刺されとびひの間には、実は密接な関係があります。
まず、蚊に刺されると強いかゆみが生じます。特に子どもはかゆみを我慢することが難しく、無意識のうちに何度も患部を掻いてしまいます。このとき、爪で皮膚に小さな傷ができ、皮膚バリアが破れた状態になります。私たちの皮膚は外部の細菌から体を守るバリアの役割を担っていますが、この傷によって皮膚バリアが破れた状態になります。
皮膚や鼻の粘膜には、黄色ブドウ球菌などの細菌が常在していることがよくあります。これらの細菌は通常、皮膚のバリアが正常であれば感染を引き起こしません。しかし、掻き傷ができてバリアが壊れると、細菌が皮膚内部に侵入しやすくなります。特に爪の間には多くの細菌が潜んでいるため、爪で皮膚を掻くことは細菌を傷口に押し込む行為と同じです。
さらに、夏の暑い時期には汗で皮膚が湿った状態になりやすく、細菌の繁殖にとって好ましい環境が整います。蚊に刺されることで生じる炎症反応によっても局所的に皮膚のバリア機能が低下するため、細菌感染が起きやすい状態になります。
このように、蚊に刺される→かゆくて掻く→皮膚に傷ができる→細菌が侵入する→とびひが発症するという流れが成立します。特に乳幼児は皮膚が薄くてデリケートであり、かゆみのコントロールも難しいため、蚊に刺されからとびひへと発展しやすい傾向があります。
蚊に刺され以外でも、あせも、アトピー性皮膚炎、湿疹、すり傷、引っかき傷などがとびひのきっかけになることがあります。いずれも共通しているのは、「皮膚のバリアが傷ついている」という点です。
💊 とびひの種類と症状の特徴
とびひには大きく分けて2つの種類があります。それぞれ原因となる細菌が異なり、症状の現れ方も違います。
🦠 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
とびひの中で最も多いタイプが、黄色ブドウ球菌が原因となる水疱性膿痂疹です。全体のとびひの約80〜90%を占めるとされており、特に夏場に多く見られます。
症状としては、まず皮膚に小さな水ぶくれ(水疱)が現れます。この水疱は薄い膜で覆われており、時間が経つにつれて内容液が濁って膿疱になります。水疱は比較的破れやすく、破れると中の液体が周囲に広がり、その液体が触れた皮膚にも次々と感染が広がっていきます。破れた後は黄色いかさぶたが形成されます。
かゆみは比較的軽いことが多く、痛みはあまり伴いません。発熱やリンパ節の腫れなど全身症状が出ることは少ない傾向があります。顔や手足、体幹など皮膚のあちこちに病変が広がることがあります。
👴 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)が主な原因となるのが痂皮性膿痂疹です。黄色ブドウ球菌が混合感染することもあります。
このタイプは水疱性膿痂疹よりも症状が重い傾向にあります。最初に赤みや腫れが生じ、その後に膿疱が形成されます。膿疱はすぐに破れて厚いかさぶたになることが特徴で、はちみつ色や黄褐色のかさぶたが重なった状態になります。かゆみや痛みが強く、触れると痛みを感じることもあります。発熱やリンパ節の腫れといった全身症状が現れることもあり、水疱性膿痂疹に比べて重症になりやすいです。
また、溶連菌感染が適切に治療されないまま放置されると、急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)を引き起こすことがあるため、早期の診断と治療が特に重要です。
🔸 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
これはとびひの重症型で、黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって引き起こされます。主に乳幼児に発症し、広範囲に皮膚が赤くなり、水疱が形成されて皮膚がめくれてしまう状態になります。発熱も伴い、入院管理が必要となるケースもあります。
Q. とびひの水疱性と痂皮性の違いは何ですか?
水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌が原因で、とびひ全体の約80〜90%を占めます。薄い水ぶくれが破れて黄色いかさぶたになり、かゆみや痛みは比較的軽度です。一方、痂皮性膿痂疹は溶連菌が原因で症状が重く、発熱やリンパ節の腫れを伴うことがあり、放置すると急性糸球体腎炎を引き起こす危険があります。
🏥 蚊に刺された後にとびひを疑うべきサイン
蚊に刺されて普通の虫刺されの反応が続いているのか、それともとびひに発展しているのかを見極めることは重要です。以下のような変化が見られた場合は、とびひを疑って早めに医療機関を受診することをおすすめします。
まず、虫刺されの傷の周囲に小さな水ぶくれが現れてきた場合は要注意です。通常の虫刺されでは数日で症状が落ち着きますが、水疱が形成されてくる場合はとびひが始まっている可能性があります。
次に、傷の周りがじわじわと赤く広がっていたり、傷口から黄色っぽい液体が染み出してきたりする場合も注意が必要です。これは細菌感染が起きているサインです。液体が周囲の皮膚に触れることで、接触した部位にも同様の皮疹が現れてくることがあります。
また、黄色いかさぶたが形成されたり、かさぶたの範囲が広がったりする場合もとびひが疑われます。通常の掻き傷であれば、かさぶたの範囲は傷の大きさと一致しますが、とびひではかさぶたが周囲に広がっていきます。
さらに、刺された場所とは別の離れた部位にも同様の皮疹が現れてきた場合は、とびひの可能性が高いです。これはとびひの特徴的な性質である「飛び火」の状態です。子どもが体の違う場所を触ったり、タオルや衣類を介して感染が広がったりすることで起こります。
発熱やリンパ節の腫れ、倦怠感などの全身症状が出てきた場合は、より重症のとびひになっている可能性があります。このような場合は速やかに医療機関を受診してください。
通常の虫刺されと区別するために知っておきたいのは、蚊に刺された反応は刺された直後〜数時間でかゆみと赤みのピークを迎え、その後徐々に改善していく点です。一方で、とびひは時間が経つにつれて症状が変化・拡大し、新たな皮疹が出現してくるという点が大きく異なります。
⚠️ とびひの診断と検査
とびひの診断は、主に皮膚科または小児科での診察によって行われます。医師が皮膚の状態を直接観察し、症状の特徴からとびひかどうかを判断します。
基本的には視診(皮膚の見た目の観察)によって診断されることがほとんどです。とびひに特徴的な水疱・膿疱・かさぶたの状態や、病変の広がり方などを確認します。また、病変がいつ頃から始まり、どのように変化してきたかという経過も診断の重要な参考になります。
必要に応じて、水疱や膿疱の内容液や皮膚の擦過物を採取して細菌培養検査を行うことがあります。これにより原因となっている細菌の種類を特定し、どの抗菌薬が効果的かを調べることができます。ただし、培養検査の結果が出るまでに数日かかるため、結果を待たずに治療を開始することが一般的です。
溶連菌感染が疑われる場合は、迅速診断キットを使って短時間で溶連菌の有無を確認できることもあります。また、溶連菌感染後の合併症として急性糸球体腎炎が心配される場合は、尿検査で尿中の血液やタンパクの有無を確認することがあります。
アトピー性皮膚炎のある方では、とびひとアトピー性皮膚炎の湿疹が混在して見分けにくいことがあります。このような場合も専門の医師による診察が重要です。
Q. とびひにステロイド軟膏を使ってはいけない理由は?
ステロイド外用薬には免疫を抑制する作用があるため、細菌感染が原因のとびひに使用すると感染をかえって悪化させる危険性があります。とびひの治療には抗菌薬(フシジン酸・ムピロシンなどの塗り薬や、セフェム系などの飲み薬)が必要です。市販のステロイド含有薬の自己使用は避け、必ず医療機関を受診してください。
🔍 とびひの治療法
とびひの治療は、原因となっている細菌を死滅させるための抗菌薬(抗生物質)を使用することが基本となります。病変の範囲や重症度によって、外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)を使い分けます。
💧 外用抗菌薬(塗り薬)
病変が軽度で範囲が限られている場合は、外用の抗菌薬のみで治療することがあります。フシジン酸やムピロシン(バクトロバン)などの抗菌薬の軟膏を1日数回、病変部に塗布します。外用薬は病変部に直接作用するため、局所的な感染に対して効果的です。
塗り薬を塗る前には、患部をぬるま湯で優しく洗い、かさぶたを柔らかくして取り除いておくと薬の浸透が良くなります。ただし、無理にかさぶたを剥がすことは避け、自然に浮いてくる部分のみを洗い落とすようにしましょう。
✨ 内服抗菌薬(飲み薬)
病変が広範囲にわたる場合、全身症状がある場合、塗り薬だけでは改善しない場合などは、内服の抗菌薬が処方されます。セフェム系抗菌薬やペニシリン系抗菌薬などが一般的に使用されます。
内服薬は処方された期間、きちんと飲み続けることが大切です。症状が改善してきても自己判断で内服をやめてしまうと、細菌が完全に死滅せず再発したり、耐性菌が生まれたりするリスクがあります。医師から指示された期間(通常5〜7日程度)は必ず飲み続けましょう。
溶連菌が原因の場合は、急性糸球体腎炎の予防のために10〜14日間の内服が推奨されることがあります。
📌 かゆみ止め
とびひに伴うかゆみを和らげるために、抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)が一緒に処方されることがあります。かゆみを抑えることで掻くことを防ぎ、病変が広がったり悪化したりするのを予防できます。
▶️ ステロイド外用薬について
アトピー性皮膚炎の治療によく使われるステロイドの塗り薬は、とびひには使用しません。ステロイドには免疫を抑える作用があるため、細菌感染が起きているとびひの状態でステロイドを使用すると、感染をかえって悪化させてしまう可能性があります。市販のステロイド含有の塗り薬を自己判断で使用することは避けてください。
🔹 重症の場合
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)などの重症型の場合は、入院して点滴による抗菌薬治療や、皮膚のケアを行う必要があります。乳幼児では特に重症化するリスクがあるため、皮膚の広範な剥離や高熱が見られる場合は速やかに医療機関を受診してください。
📝 家庭でのケアと注意点
とびひの治療は医療機関での処方薬が中心ですが、家庭での適切なケアも治癒を早めるために大切です。以下のポイントを参考にしてください。
📍 患部を清潔に保つ
毎日入浴またはシャワーをして、皮膚を清潔に保つことが重要です。患部は石けんをよく泡立てて優しく洗い、ぬるま湯で丁寧に洗い流してください。この際、タオルで強くこすらず、清潔なガーゼや柔らかい布で優しく押さえるようにして水気を取ります。入浴後は処方された抗菌薬の塗り薬を塗布してください。
かつてはとびひを水に触れさせないように指導されることがありましたが、現在は患部を清潔にするために入浴が推奨されています。ただし、プールや公衆の場での入浴は他の人への感染を防ぐため、医師の許可が出るまで避けてください。
💫 患部を触らない、掻かない工夫
とびひは患部を触ることで病変が広がります。患部を手で触らないこと、掻かないことが感染の拡大を防ぐ上で非常に重要です。子どもの場合は難しいこともありますが、爪を短く切り、かゆみ止めを使用してかゆみを和らげることで掻く行為を減らしましょう。
患部を覆うために清潔なガーゼや包帯を使うことも効果的です。これにより直接触れることを防ぎ、病変部からの液体が周囲に広がることも防ぐことができます。ただし、密閉しすぎて蒸れるのも良くないため、通気性を確保しながら保護することが大切です。
🦠 手洗いを徹底する
患者本人はもちろん、介護する親御さんや家族も、患部に触れた後は必ず石けんで手を洗ってください。これにより家族内での感染拡大を防ぐことができます。爪の間も丁寧に洗うことが重要です。
👴 タオルや衣類の共用を避ける
とびひは病変部の液体や、それが付着したタオル・衣類・寝具などを介して感染します。家族内での感染を防ぐために、患者が使ったタオルや衣類は他の家族のものと分けて洗濯するようにしましょう。入浴後に使うタオルは毎回清潔なものを使用することが理想的です。
🔸 爪を短く切る
前述のように、爪の間には多くの細菌が存在します。爪を短く清潔に保つことで、掻いたときに傷口に細菌が入り込むリスクを減らすことができます。子どもの爪は定期的にチェックして短く切りそろえておきましょう。
💧 食事と生活環境の整備
感染症からの回復を助けるために、バランスの取れた食事で体の免疫力を維持することも大切です。十分な休息を取り、体に負担をかけすぎないようにしましょう。室内は適切な温度・湿度に保ち、汗をかきすぎないようにすることも皮膚環境の改善に役立ちます。
Q. とびひの治療中に入浴させても大丈夫ですか?
現在はとびひの治療中も入浴が推奨されています。石けんをよく泡立てて患部を優しく洗い、タオルで強くこすらず押さえるように水気を取った後、処方された抗菌薬の塗り薬を使用してください。ただし、他者への感染を防ぐため、プールや公衆浴場は医師の許可が出るまで利用を控える必要があります。
💡 とびひを広げないための予防策

とびひの予防は、皮膚バリアを守ることと、細菌が侵入する機会を減らすことが基本です。蚊に刺されをきっかけとしたとびひを防ぐためにできることを紹介します。
✨ 蚊に刺されないようにする対策
そもそも蚊に刺されること自体を防ぐことが、蚊刺されからのとびひ予防の第一歩です。外出時は長袖・長ズボンを着用して肌の露出を減らす、虫除けスプレーを使用する、帽子や扇子を活用するなどの対策が有効です。屋内では網戸や蚊取り線香、電気式の蚊よけグッズを活用しましょう。
蚊は水がある場所に集まりやすいため、庭や家の周りに水たまりができないよう気をつけることも大切です。植木鉢の受け皿にたまった水、バケツの中の水なども定期的に捨てるようにしましょう。
📌 蚊に刺された後の適切な対処
蚊に刺されてしまった場合は、できるだけ掻かないことが重要です。しかし、かゆみを我慢するのは難しいため、市販の虫刺され用かゆみ止めを早めに使用してかゆみを和らげましょう。冷やすことでもかゆみが和らぐことがあります。
刺された直後に虫刺され用の薬を塗っておくことで、かゆみを早期に抑え、掻くことによる皮膚バリアへのダメージを最小限にできます。市販薬を使っても症状が強いときや、かゆみが強くて掻いてしまいがちな子どもには、皮膚科でより効果的な処方薬を出してもらうのも選択肢の一つです。
▶️ 皮膚の日常的なケア
皮膚のバリア機能を健全な状態に保つことが、細菌感染の予防につながります。毎日の入浴で皮膚を清潔に保ち、乾燥している場合は保湿剤を使用しましょう。特に乾燥しやすい季節には、お風呂上がりに保湿クリームやローションを塗る習慣をつけることが大切です。
アトピー性皮膚炎がある場合は、日常的なスキンケアと適切な治療でアトピーをコントロールすることが、とびひ予防にもつながります。アトピーがある皮膚は炎症でバリア機能が低下しており、細菌感染を起こしやすい状態にあるためです。
🔹 汗の管理
夏場は汗をかきやすいため、こまめに汗を拭く、通気性の良い衣類を着用するなどして、皮膚が蒸れた状態が続かないように注意しましょう。あせもができるとそこからもとびひに発展することがあるため、あせも予防も重要です。
📍 手洗い・衛生習慣の徹底
外から帰ったときやトイレの後など、こまめに手を洗う習慣は細菌感染全般の予防に役立ちます。子どもにも早い段階から正しい手洗いの習慣を身につけさせることが大切です。また、爪を短く切って清潔に保つことも引き続き重要です。
💫 保育園・学校での感染拡大を防ぐ
とびひは集団生活の場で広がりやすい疾患です。お子さんがとびひになった場合は、早めに医療機関を受診し、医師の許可が出るまでは保育園や学校を休ませることを検討しましょう。法律上の出席停止にはなりませんが、感染力が高い疾患のため、症状が出ている間は集団の場への参加を避けることが周囲への感染防止につながります。医師の判断に従って適切に対応してください。
✨ 受診の目安とアイシークリニック上野院について
蚊に刺された後の皮膚の変化に気づいたとき、どのタイミングで病院を受診すべきか迷うことがあるかもしれません。以下のような状況では、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
蚊に刺された部位から水ぶくれや膿疱が現れてきた場合、傷やかさぶたが広がっている場合、刺された場所とは別の部位にも同様の皮疹が出てきた場合は、とびひが疑われるため診察を受けてください。また、お子さんが発熱している場合や、ぐったりしていて元気がない場合は特に早期の受診が必要です。
「様子を見ているうちに広がってしまった」というケースは少なくありません。とびひは感染力が強く、時間が経つほど病変が広がり、治療に時間がかかるようになります。少しでもとびひが疑われる場合は、早め早めに受診することが大切です。
また、アトピー性皮膚炎や湿疹などの皮膚トラブルを抱えているお子さんは、定期的に皮膚科を受診してコンディションを管理することで、とびひを予防することにもつながります。かかりつけの皮膚科を持っておくことは、皮膚トラブルに素早く対応するためにも有益です。
アイシークリニック上野院では、皮膚科の専門的な診療を提供しています。とびひをはじめとする皮膚感染症の診断・治療はもちろん、アトピー性皮膚炎や湿疹などの皮膚疾患全般の管理も行っております。「蚊に刺されたあとの皮膚が気になる」「子どもの皮膚の状態が心配」という場合は、お気軽にご相談ください。上野エリアにお住まいの方、通勤・通学でお近くを通られる方も、ぜひアイシークリニック上野院をご活用ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場になると蚊に刺されをきっかけとしたとびひのお子さんの受診が増える傾向にあり、「最初は虫刺されだと思っていた」というご家族からのお声をよく耳にします。とびひは早期に適切な抗菌薬治療を開始することで早く治すことができますが、放置すると病変が広がり治療が長引いてしまうため、水ぶくれや黄色いかさぶたが広がってきたと感じたら、迷わずお早めにご受診ください。お子さんの皮膚のことで少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談いただければと思います。」
📌 よくある質問
蚊に刺されると強いかゆみが生じ、掻くことで皮膚に小さな傷ができます。この傷から皮膚のバリアが崩れ、爪の間などに潜む黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入することでとびひが発症します。特に夏は汗で皮膚が蒸れて細菌が繁殖しやすく、発症リスクが高まります。
通常の虫刺されは数日で症状が落ち着きますが、とびひは時間とともに症状が悪化・拡大します。水ぶくれや黄色いかさぶたが広がる、傷口から黄色っぽい液体が出る、刺された場所と離れた部位にも同様の皮疹が現れるといった変化が見られた場合はとびひを疑い、早めにご受診ください。
とびひへのステロイド外用薬の使用は避けてください。ステロイドには免疫を抑える作用があるため、細菌感染が起きているとびひに使用すると、感染をかえって悪化させる危険性があります。自己判断での市販薬使用はせず、必ず医療機関を受診して適切な抗菌薬を処方してもらいましょう。
現在は患部を清潔にするために入浴が推奨されています。石けんをよく泡立てて優しく洗い、タオルで強くこすらず押さえるように水気を取ってください。ただし、プールや公衆浴場は他の人への感染を防ぐため、医師の許可が出るまで避けることが必要です。
適切な抗菌薬治療を早期に開始すれば、通常1〜2週間程度で改善が見込まれます。法律上の出席停止にはなりませんが、感染力が高いため症状がある間は集団生活の場への参加を控えることが推奨されます。登園・登校の再開については、必ず医師の判断に従ってください。
🎯 まとめ
蚊に刺されとびひの関係について、原因から症状・治療・予防まで幅広く解説しました。最後に重要なポイントをまとめます。
とびひは皮膚に細菌(主に黄色ブドウ球菌や溶連菌)が感染することで起こる皮膚疾患です。蚊に刺されてかゆくて掻くことで皮膚に傷ができ、そこから細菌が侵入してとびひに発展することがよくあります。特に子どもは皮膚バリアが未発達でかゆみのコントロールも難しいため、蚊に刺されとびひの発症リスクが高い存在です。
とびひには水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹の2種類があり、症状の重さや治療の内容が異なります。いずれも抗菌薬による治療が基本となります。症状が出たら早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始することが大切です。自己判断でステロイド軟膏を使用することは避け、処方された薬は指示された期間きちんと使い続けましょう。
予防のためには、まず蚊に刺されないようにすること、刺されてしまったら掻かないようにすることが基本です。日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿で皮膚バリアを守ることも重要な予防策です。もしとびひが疑われる症状が見られたら、早め早めにアイシークリニック上野院などの皮膚科を受診して、適切な治療を受けるようにしてください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – とびひ(伝染性膿痂疹)の定義・原因菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)・症状・治療法に関する公式見解および診療ガイドライン情報
- 国立感染症研究所 – 伝染性膿痂疹の感染経路・疫学・集団生活での感染拡大リスク・予防策に関する感染症サーベイランス情報
- 厚生労働省 – 保育園・学校などの集団生活における感染症対策・出席停止基準および子どもの感染症管理に関する公式ガイドライン
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務