冬になるとアトピー性皮膚炎の症状が悪化して、かゆみや肌荒れに悩まされる方は多いのではないでしょうか。空気の乾燥や寒暖差、暖房器具の使用など、冬特有の環境要因がアトピーの症状を引き起こしやすくする原因となっています。本記事では、冬にアトピーが悪化するメカニズムを詳しく解説するとともに、日常生活で実践できる具体的な対策方法をご紹介します。正しい知識を身につけて、つらい冬を乗り越えましょう。
目次
- 🎯 冬にアトピー性皮膚炎が悪化する原因
- 💊 冬のアトピー悪化を防ぐスキンケア対策
- 🏥 冬の生活環境を整えるポイント
- 🛁 冬の入浴で気をつけるべきこと
- 👕 冬の衣類選びと着こなしの工夫
- 🍽️ 冬の食事と栄養管理
- ⚠️ 冬に注意すべき悪化因子
- 🏥 医療機関への相談が必要なケース
- ❓ よくある質問
この記事のポイント
冬のアトピー悪化は乾燥・暖房・寒暖差・室内アレルゲンが主因。保湿剤の適切な使用、室内湿度50〜60%維持、ぬるめ入浴(38〜40℃)、綿素材の衣類選びが有効な対策。改善しない場合はアイシークリニックへの受診が推奨される。
🎯 冬にアトピー性皮膚炎が悪化する原因
冬はアトピー性皮膚炎の患者さんにとって、特に症状が悪化しやすい季節です。その原因は複合的で、空気の乾燥をはじめとするさまざまな環境要因が重なり合っています。ここでは、冬にアトピーが悪化する主な原因について詳しく解説します。
🔸 空気の乾燥による皮膚バリア機能の低下
冬の最も大きな特徴は空気の乾燥です。日本の冬は湿度が30〜40%程度まで下がることもあり、夏場の60〜70%と比較すると大幅に低下します。この乾燥した空気は、皮膚から水分を奪い、肌の乾燥を促進させます。
アトピー性皮膚炎の方は、もともと皮膚のバリア機能が低下している状態にあります。皮膚の最外層にある角質層は、外部刺激から体を守るバリアの役割を果たしていますが、アトピーの方はこの角質層に含まれるセラミドなどの細胞間脂質が不足しています。冬の乾燥がこの状態をさらに悪化させ、皮膚バリア機能の低下を招きます。
バリア機能が低下した皮膚は、アレルゲンや刺激物質が侵入しやすくなります。また、皮膚内部の水分も蒸発しやすくなり、さらなる乾燥を引き起こすという悪循環に陥ってしまいます。この状態が続くと、かゆみが増強し、掻くことでさらに皮膚が傷つき、炎症が悪化するという「イッチ・スクラッチサイクル」が形成されます。
🔸 暖房器具による室内環境の変化
冬場は暖房器具を使用する機会が増えますが、これもアトピー悪化の一因となります。エアコンやファンヒーター、ストーブなどの暖房器具は室内の空気を乾燥させます。特にエアコンは温風を直接肌に当てることで、皮膚表面の水分を急速に奪います。
また、石油ストーブやガスファンヒーターは燃焼時に二酸化炭素や窒素酸化物などの物質を放出し、これらが皮膚や気道を刺激することがあります。換気が不十分な室内では、これらの物質が蓄積し、アトピーの症状を悪化させる可能性があります。
さらに、暖房による室温の上昇は発汗を促します。汗は皮膚のpHバランスを崩し、刺激となってかゆみを引き起こすことがあります。特に就寝時に暖房をつけたまま眠ると、布団の中で体温が上がり、夜間のかゆみが増強することがあります。
🔸 寒暖差による皮膚への刺激
冬は屋外の寒さと室内の暖かさの差が大きくなります。この寒暖差は自律神経に影響を与え、皮膚の血管の収縮と拡張を繰り返させます。急激な温度変化に皮膚がさらされると、血管の調節機能に負担がかかり、皮膚のバリア機能にも悪影響を及ぼします。
寒い屋外から暖かい室内に移動した際に、急に顔がほてったり、かゆみを感じたりするのは、この血管の急激な拡張が原因です。また、寒さで皮膚が冷えると、皮脂の分泌が減少し、皮膚表面を保護する油分の膜が薄くなります。これにより、皮膚の保湿力が低下し、乾燥が進みやすくなります。
🔸 冬特有のアレルゲンの増加
冬は窓を閉め切って過ごすことが多くなるため、室内のアレルゲンが蓄積しやすくなります。代表的なものはダニやハウスダストです。暖房を使用することで、ダニの死骸や糞、ホコリが空気中に舞い上がりやすくなり、これらがアトピーの悪化因子となります。
また、冬はカビの発生にも注意が必要です。暖房と外気の温度差により、窓や壁に結露が発生しやすくなります。この結露をそのままにしておくと、カビが繁殖し、アレルゲンとなってアトピーを悪化させることがあります。
さらに、冬季にはウイルス性の風邪やインフルエンザが流行します。これらの感染症にかかると、免疫システムが活性化し、皮膚の炎症反応も強まることがあります。また、発熱や咳などの症状自体が体力を消耗させ、アトピーの管理が難しくなることもあります。
Q. 冬にアトピー性皮膚炎が悪化する主な原因は何ですか?
冬のアトピー悪化には主に4つの原因があります。①湿度30〜40%まで下がる空気の乾燥による皮膚バリア機能の低下、②エアコン等の暖房器具による室内乾燥、③屋外と室内の寒暖差による皮膚への刺激、④閉め切った室内へのダニ・ハウスダスト・カビなどのアレルゲン蓄積です。
💊 冬のアトピー悪化を防ぐスキンケア対策
冬のアトピー対策で最も重要なのは、適切なスキンケアです。乾燥した肌を保湿し、バリア機能を補強することで、症状の悪化を防ぐことができます。ここでは、効果的なスキンケアの方法を詳しく解説します。
💧 保湿剤の正しい選び方
保湿剤にはさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。冬のアトピー対策には、皮膚の状態や好みに合わせて適切な保湿剤を選ぶことが大切です。
ワセリンは、皮膚表面に油膜を形成して水分の蒸発を防ぐ「エモリエント」タイプの保湿剤です。低刺激で安全性が高く、ひどく乾燥した部位やひび割れのある部位に適しています。ただし、べたつきがあるため、広範囲への使用には向いていません。
ヘパリン類似物質を含む保湿剤は、水分を引き寄せて保持する「モイスチャライザー」タイプです。血行促進作用もあり、乾燥でごわついた肌を柔らかくする効果があります。軟膏、クリーム、ローションなどさまざまな剤形があり、使用部位や好みに合わせて選べます。
尿素配合の保湿剤は、角質を柔らかくする作用があります。かかとや肘など、角質が厚くなった部位に効果的ですが、傷があると刺激になることがあるため、炎症のある部位への使用は避けましょう。
セラミド配合の保湿剤は、皮膚バリア機能を補強する効果があります。アトピー性皮膚炎の方はセラミドが不足していることが多いため、セラミドを補給することでバリア機能の改善が期待できます。
💧 保湿剤の効果的な塗り方
保湿剤は、塗り方によって効果が大きく変わります。正しい方法で塗ることで、保湿効果を最大限に発揮させましょう。
保湿剤を塗るタイミングは、入浴後5分以内が理想的です。入浴後は皮膚が水分を含んでいる状態なので、この水分を逃がさないうちに保湿剤で蓋をすることが重要です。体を軽くタオルで押さえるように水気を取り、皮膚がまだしっとりしているうちに保湿剤を塗りましょう。
塗る量は「たっぷり」が基本です。目安として、大人の片腕には約2.5g(チューブから人差し指の先端から第一関節まで出した量を2本分)程度が必要とされています。薄く塗りすぎると十分な効果が得られないため、皮膚がしっとりテカるくらいの量を塗りましょう。
塗り方は、皮膚のしわに沿って優しく塗り広げます。こすらずに、手のひら全体で押さえるようにして塗ると、皮膚への刺激を最小限に抑えられます。特に乾燥しやすい部位(手足の先、関節の外側、顔など)は入念に塗りましょう。
冬場は入浴後だけでなく、1日に複数回保湿することが推奨されます。朝の洗顔後、外出前、帰宅後、就寝前など、乾燥を感じたタイミングで追加の保湿を行うと効果的です。
💧 薬物療法との併用のポイント
アトピー性皮膚炎の治療では、保湿剤だけでなく、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症薬を使用することがあります。これらの薬と保湿剤を併用する際には、正しい順番で塗ることが大切です。
一般的には、最初に保湿剤を塗り、その後に抗炎症薬を炎症のある部位に重ねて塗ります。保湿剤を先に塗ることで、皮膚全体の潤いを保ちながら、炎症部位には薬の効果を届けることができます。
ただし、医師から特別な指示がある場合は、その指示に従ってください。薬の種類や皮膚の状態によっては、塗る順番が異なることもあります。不安な点がある場合は、主治医や薬剤師に確認しましょう。

🏥 冬の生活環境を整えるポイント
スキンケアに加えて、生活環境を整えることもアトピー対策には欠かせません。室内の温度や湿度、清潔さを適切に保つことで、症状の悪化を防ぎましょう。
✨ 室内の湿度管理
冬の室内は暖房使用により乾燥しがちです。皮膚の健康を保つためには、室内の湿度を50〜60%程度に維持することが理想的です。湿度が低すぎると皮膚の乾燥が進み、逆に高すぎるとカビやダニの繁殖を招くため、適切な範囲を保つことが重要です。
加湿器の使用は最も効果的な方法です。加湿器にはスチーム式、気化式、超音波式などさまざまなタイプがあります。スチーム式は加熱するため衛生的ですが、電気代がかかります。気化式は省エネですが、加湿力がやや弱い傾向があります。超音波式は加湿力が高く省エネですが、水中の雑菌を放出する可能性があるため、こまめな手入れが必要です。
加湿器以外にも、📌 洗濯物を室内に干す、📌 観葉植物を置く、📌 浴室のドアを開けておくなどの方法で湿度を上げることができます。ただし、これらの方法は過加湿になりやすいため、湿度計で確認しながら調整しましょう。
✨ 室温の調整
室温は20〜23℃程度に設定するのが適切です。暑すぎると発汗によってかゆみが増し、寒すぎると皮膚の血行が悪くなって乾燥が進みます。就寝時は、少し低めの温度設定(18〜20℃程度)にすると、夜間のかゆみを軽減できることがあります。
暖房器具を選ぶ際は、空気を乾燥させにくいものを選びましょう。床暖房やオイルヒーターは温風を発生させないため、比較的乾燥しにくいとされています。エアコンを使用する場合は、風が直接肌に当たらないよう、風向きを調整しましょう。
こたつや電気毛布は直接肌を温めるため、皮膚の乾燥を促進させることがあります。使用する場合は、温度を低めに設定し、長時間の使用を避けましょう。また、こたつ血栓とは?深部静脈血栓症の原因・症状・予防法を医師が解説の記事でも解説しているように、長時間の使用は他の健康リスクもあるため注意が必要です。
✨ 室内の清掃とアレルゲン対策
冬は窓を閉め切ることが多いため、室内にホコリやダニなどのアレルゲンが蓄積しやすくなります。定期的な清掃でアレルゲンを除去することが大切です。
掃除は、ホコリを舞い上げないよう、まず床を拭き掃除してから掃除機をかけるのが効果的です。掃除機は排気のきれいなものを選び、HEPAフィルター付きのものがおすすめです。カーペットはダニの温床になりやすいため、できればフローリングにするか、こまめに掃除機をかけましょう。
寝具は週に1回程度、掃除機をかけてダニやホコリを除去しましょう。布団干しが難しい冬場は、布団乾燥機を使用するとダニ対策に効果的です。シーツや枕カバーは週に1〜2回洗濯し、清潔を保ちましょう。
結露はカビの原因となるため、こまめに拭き取りましょう。窓に断熱シートを貼る、結露防止スプレーを使用するなどの対策も有効です。また、1日に数回、短時間でも換気を行い、室内の空気を入れ替えることも重要です。
Q. 冬のアトピー対策に適した保湿剤の塗り方を教えてください。
保湿剤は入浴後5分以内に塗るのが最も効果的です。入浴後に皮膚に残った水分を逃がさないよう、タオルで押さえるように水気を取ってから塗ります。量は大人の片腕に約2.5g(チューブから人差し指の第一関節分を2本)を目安にたっぷり使用し、冬場は1日2〜3回以上の保湿が推奨されます。
🛁 冬の入浴で気をつけるべきこと
入浴は皮膚を清潔に保つために欠かせませんが、方法を誤ると皮膚の乾燥を悪化させることがあります。冬のアトピー対策として、入浴時のポイントを押さえましょう。
🔸 お湯の温度設定
入浴時のお湯の温度は、38〜40℃のぬるめが適切です。熱いお湯は皮脂を過剰に洗い流し、皮膚の乾燥を促進させます。また、熱い刺激がかゆみを引き起こすこともあります。冬は寒いため熱いお湯に浸かりたくなりますが、アトピーの悪化を防ぐためには我慢が必要です。
入浴時間も長すぎないようにしましょう。10〜15分程度を目安に、短めの入浴を心がけましょう。長時間お湯に浸かると、角質層が水分を吸って膨張し、その後の乾燥が激しくなります。
🔸 洗浄剤の選び方と使い方
洗浄剤は、低刺激で保湿成分配合のものを選びましょう。石鹸やボディソープに含まれる界面活性剤は、皮脂を落とす作用があります。洗浄力の強すぎるものは、必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚の乾燥を招きます。
敏感肌用やアトピー肌用と表示されている製品は、比較的刺激が少なく作られています。ただし、個人差があるため、新しい製品を使う際は、まず腕の内側などで少量試してから全身に使用することをおすすめします。
体を洗う際は、ゴシゴシこすらないことが大切です。手や柔らかいタオルで優しく洗い、泡で汚れを浮かせるようにしましょう。硬いブラシやナイロンタオルは皮膚を傷つけるため、使用を避けましょう。
毎日全身を石鹸で洗う必要はありません。アトピーの方は皮脂が少ない傾向があるため、脇や股間など汚れやすい部位以外は、お湯で流すだけでも十分な場合があります。特に乾燥がひどい冬場は、洗浄剤の使用を控えめにすることも検討しましょう。
🔸 入浴後のケア
入浴後は、タオルでゴシゴシ拭かず、優しく押さえるように水気を取ります。その後、5分以内に保湿剤を全身に塗りましょう。皮膚が水分を含んでいるうちに保湿剤を塗ることで、その水分を閉じ込めることができます。
冬場は入浴後に体が冷えやすいため、素早く保湿を行い、すぐに服を着ましょう。脱衣所が寒い場合は、あらかじめ暖房で温めておくと良いでしょう。急激な温度変化は皮膚に刺激を与えるため、できるだけ避けることが大切です。
🔸 入浴剤の選び方
入浴剤を使用する場合は、保湿成分配合のものを選びましょう。セラミド、スクワラン、ホホバオイルなどの保湿成分が含まれた入浴剤は、入浴しながら肌に潤いを与えることができます。
一方、硫黄成分や塩分を多く含む入浴剤は、皮膚への刺激が強いことがあります。発泡タイプや着色料・香料の強いものも、敏感な肌には刺激となることがあるため、注意が必要です。新しい入浴剤を試す際は、少量から始め、皮膚の反応を確認しましょう。
👕 冬の衣類選びと着こなしの工夫
直接肌に触れる衣類は、アトピーの症状に大きく影響します。冬は重ね着をする機会が多いため、素材選びや着こなしに特に注意が必要です。
🔸 肌に優しい素材の選び方
肌着など直接肌に触れる衣類は、天然素材を選びましょう。綿100%の素材は、吸湿性・通気性に優れ、肌触りも柔らかいため、アトピーの方に適しています。絹(シルク)も肌に優しく、保温性と放湿性を兼ね備えた素材です。
ウールは保温性に優れますが、繊維のチクチク感が刺激になることがあります。ウールを着用する場合は、必ず綿やシルクの肌着を下に着て、直接肌に触れないようにしましょう。カシミヤなどの細い繊維のウールは比較的刺激が少ないとされています。
化学繊維(ポリエステル、アクリルなど)は、静電気を発生しやすく、皮膚への刺激となることがあります。また、吸湿性が低いため、汗をかいたときに蒸れやすく、かゆみの原因となることもあります。下着や肌着には化学繊維を避け、天然素材を選ぶことをおすすめします。
🔸 重ね着のコツ
冬の防寒対策として重ね着は効果的ですが、アトピーの方は着方に工夫が必要です。基本は「肌に優しい素材を内側に、保温性の高い素材を外側に」という順番です。
📌 1枚目(肌着)は綿やシルクなどの天然素材を選びます
📌 2枚目にはフリースや薄手のニットなど保温性のある素材を重ね
📌 3枚目に防風性のあるアウターを着ます
この順番で着ることで、肌への刺激を最小限にしながら、しっかり保温できます。
締め付けの強い衣類は血行を妨げ、かゆみを悪化させることがあります。ゴムのきついソックスや、体に密着したレギンスなどは、ゆったりとしたものに替えましょう。また、タグやレースなど、肌を刺激する装飾は避けるか、取り外して使用しましょう。
🔸 新しい衣類の取り扱い
新品の衣類には、製造過程で使用された糊や化学物質が残っていることがあります。これらが皮膚を刺激してアトピーを悪化させる可能性があるため、新しい衣類は着用前に必ず一度洗濯しましょう。
洗濯には、蛍光増白剤や香料を含まない低刺激の洗剤を使用します。柔軟剤も肌への刺激となることがあるため、使用を控えるか、敏感肌用のものを選びましょう。すすぎは十分に行い、洗剤が衣類に残らないようにします。
Q. 冬の入浴時にアトピーを悪化させないための注意点は?
アトピー性皮膚炎の方の冬の入浴は、お湯の温度を38〜40℃のぬるめに設定し、入浴時間は10〜15分程度に抑えることが重要です。熱すぎるお湯や長時間の入浴は皮脂を過剰に洗い流し乾燥を悪化させます。洗浄剤は低刺激なものを選び、ゴシゴシこすらず泡で優しく洗い、入浴後は5分以内に保湿剤を塗ってください。
🍽️ 冬の食事と栄養管理
食事は皮膚の健康に直接影響を与えます。冬のアトピー対策として、バランスの取れた食事を心がけ、皮膚に良い栄養素を積極的に摂取しましょう。
🔸 皮膚の健康に必要な栄養素
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜や、レバー、うなぎなどに多く含まれています。冬が旬のかぼちゃは、ビタミンAを効率よく摂取できる食材です。
ビタミンEは抗酸化作用があり、皮膚の老化を防ぐ働きがあります。アーモンドなどのナッツ類、アボカド、植物油などに含まれています。また、血行を促進する作用もあり、冬の冷えから肌を守るのに役立ちます。
ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、皮膚の弾力を保ちます。柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなどに豊富です。冬のみかんは、ビタミンCを手軽に摂取できる果物です。
亜鉛は皮膚の新陳代謝に関わる重要なミネラルです。牡蠣、牛肉、豚レバー、卵黄などに含まれています。不足すると皮膚の修復力が低下するため、適切に摂取することが大切です。
🔸 腸内環境を整える食事
腸内環境と皮膚の状態には密接な関係があることが知られています。腸内の善玉菌を増やすことで、アレルギー反応を抑制する効果が期待できます。
発酵食品は善玉菌を増やすのに効果的です。ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などを日常的に摂取しましょう。特に冬は、味噌汁や鍋物など温かい料理に発酵食品を取り入れやすい季節です。
食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。野菜、きのこ、海藻、豆類などに豊富に含まれています。冬野菜の白菜、大根、ごぼうなどは食物繊維が豊富で、鍋や煮物で美味しく摂取できます。また、胃粘膜を修復する食べ物とは?胃を守る食事法と生活習慣を医師が解説の記事でも触れているように、体全体の健康に良い食事を心がけることが大切です。
🔸 避けたい食べ物と注意点
特定の食べ物がアトピーを悪化させる場合があります。個人差が大きいため、自分に合わない食べ物を把握しておくことが大切です。食事日記をつけて、何を食べたときに症状が悪化するかを記録しておくと参考になります。
一般的に、香辛料の強い食べ物、アルコール、カフェインなどは血行を促進し、かゆみを増強させることがあります。冬は辛い鍋料理や熱燗などを楽しむ機会が増えますが、症状が気になる方は控えめにしましょう。
加工食品や添加物の多い食品も、体への負担となることがあります。できるだけ新鮮な食材を使った手作りの料理を心がけましょう。ただし、過度な食事制限はストレスとなり、かえって症状を悪化させることもあるため、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
⚠️ 冬に注意すべき悪化因子
冬には特有の悪化因子があります。これらを認識し、適切に対処することで、症状の悪化を防ぎましょう。
⚡ 静電気対策
冬は空気が乾燥しているため、静電気が発生しやすくなります。静電気は皮膚に刺激を与え、かゆみを引き起こすことがあります。また、静電気によってホコリやアレルゲンが衣類に付着しやすくなります。
静電気を防ぐには、室内の湿度を適切に保つことが基本です。また、衣類の素材に注意し、化学繊維同士の組み合わせを避けましょう。静電気防止スプレーを使用するのも効果的です。静電気で髪が広がる原因と対策|すぐできるケア方法を医師が解説の記事でも詳しく対策方法を説明しています。
金属製のものに触れる前に、木やコンクリートの壁に触れて放電させると、静電気のショックを軽減できます。また、保湿をしっかり行い、皮膚の水分量を保つことで、静電気の発生を抑えることができます。
⚡ 風邪やインフルエンザへの対策
冬は感染症が流行しやすい季節です。風邪やインフルエンザにかかると、体力が消耗し、免疫システムが乱れることで、アトピーの症状が悪化することがあります。
予防のためには、📌 手洗い・うがいを徹底しましょう。📌 外出時のマスク着用も効果的です。📌 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動で免疫力を高めることも大切です。インフルエンザの看病でうつらないための対策|家族を守る予防法を解説の記事も参考になります。
インフルエンザの予防接種は、アトピー性皮膚炎の方でも基本的に接種可能です。ただし、卵アレルギーがある方は、事前に医師に相談してください。
⚡ ストレス管理
ストレスはアトピー性皮膚炎の悪化因子として知られています。冬は日照時間が短くなり、気分が落ち込みやすい季節でもあります。また、年末年始の忙しさや、寒さによる活動量の低下もストレスの原因となります。冬にやる気が出ない原因は病気?季節性うつ病の症状と対策を医師が解説の記事でも詳しく説明しています。
ストレスを感じたときは、自分なりのリラックス方法を持っておくことが大切です。📌 深呼吸やストレッチ、📌 趣味の時間を作る、📌 友人や家族と話すなど、気分転換の方法を見つけましょう。
睡眠の質を上げることもストレス対策に効果的です。就寝前にぬるめのお風呂に入る、カフェインを控える、スマートフォンの使用を控えるなどの工夫で、より良い睡眠が取れます。冬はかゆみで睡眠が妨げられがちですが、保湿をしっかり行い、寝具を清潔に保つことで、夜間のかゆみを軽減できます。睡眠リズムの戻し方|3日で生活リズムを整える具体的な方法と注意点の記事も参考にしてください。
⚡ 紫外線対策
冬は日差しが弱くなりますが、紫外線がなくなるわけではありません。特に雪が積もった場所では、雪面からの反射により紫外線量が増加します。スキーなどのウィンタースポーツを楽しむ際は、日焼け止めを忘れずに塗りましょう。
一方で、適度な紫外線は皮膚でのビタミンD生成に必要です。ビタミンDは免疫機能に関わるため、完全に紫外線を避けるのではなく、短時間の日光浴は健康に良いとされています。ただし、皮膚の状態が悪い時期は、紫外線が刺激となることもあるため、症状に応じて判断しましょう。
Q. 冬のアトピー対策に適した室内環境の整え方を教えてください。
冬の室内環境はアトピー管理に大きく影響します。室内湿度は加湿器を使って50〜60%に維持し、室温は20〜23℃を目安に設定しましょう。暖房はオイルヒーターや床暖房など乾燥しにくいタイプが適しています。また結露によるカビ防止のためこまめな換気と拭き取りを行い、寝具は週1回掃除機をかけてダニ・ハウスダストを除去することが大切です。
🏥 医療機関への相談が必要なケース
セルフケアだけでは症状が改善しない場合や、急激に悪化した場合は、医療機関を受診することが大切です。適切な治療を受けることで、症状をコントロールしやすくなります。
🚨 受診のタイミング
以下のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
保湿剤を塗っても乾燥やかゆみが改善しない場合は、処方薬による治療が必要かもしれません。また、皮膚がジュクジュクしている、滲出液が出ている、膿が出ているなどの症状がある場合は、細菌感染を起こしている可能性があり、抗菌薬による治療が必要なことがあります。
強いかゆみで夜眠れない、日常生活に支障が出ている場合も受診の目安です。かゆみを抑える内服薬や、より強力な外用薬が処方されることがあります。
全身に湿疹が広がっている、発熱を伴う、リンパ節が腫れているなどの症状がある場合は、カポジ水痘様発疹症などの合併症の可能性があり、緊急の受診が必要です。
🚨 皮膚科での治療
皮膚科では、症状の程度に応じて適切な治療が行われます。基本的な治療は、保湿剤による皮膚バリア機能の補強と、ステロイド外用薬などの抗炎症薬による炎症のコントロールです。
ステロイド外用薬は、強さによって5段階に分類されています。症状の程度や塗布する部位に応じて、適切な強さのものが処方されます。医師の指示通りに使用すれば、副作用のリスクを最小限に抑えながら、効果的に炎症を抑えることができます。
タクロリムス軟膏は、ステロイドとは異なる作用機序を持つ免疫抑制剤です。顔や首など、ステロイドの長期使用が難しい部位に使用されることがあります。また、デルゴシチニブ軟膏というJAK阻害薬の外用薬も使用できるようになっています。
かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服が処方されることがあります。また、重症例では、免疫抑制剤の内服や、生物学的製剤(デュピルマブなど)による治療が行われることもあります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
🩺 高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「冬季にはアトピー性皮膚炎の悪化で受診される患者さんが特に増加します。多くの方が適切な保湿ケアと環境管理により症状の改善を実感されており、早期の対応が症状コントロールの鍵となります。」
アイシークリニック上野院では、アトピー性皮膚炎の患者さん一人ひとりの症状に合わせた治療を提供しています。冬の乾燥対策や、適切な保湿剤・治療薬の選び方など、日常生活でのスキンケアについても丁寧にアドバイスいたします。
症状がなかなか改善しない場合や、セルフケアだけでは不安を感じる場合は、お気軽にご相談ください。専門的な知識を持った医師が、最適な治療法をご提案いたします。
❓ よくある質問
冬にアトピーが悪化する主な原因は、空気の乾燥、暖房による室内の乾燥、寒暖差による皮膚への刺激、室内アレルゲンの蓄積などです。乾燥した空気は皮膚から水分を奪い、皮膚バリア機能を低下させます。バリア機能が低下すると、アレルゲンや刺激物質が侵入しやすくなり、かゆみや炎症が起こりやすくなります。
保湿剤は1日に2〜3回以上塗ることが推奨されます。最も重要なのは入浴後5分以内の保湿です。それに加えて、朝の洗顔後、乾燥を感じたとき、就寝前などにも塗りましょう。冬場は空気が乾燥しているため、こまめに保湿することが大切です。保湿剤は十分な量をたっぷり塗り、皮膚がしっとりするまで保湿してください。
冬の入浴では、お湯の温度を38〜40℃のぬるめに設定し、入浴時間は10〜15分程度に抑えましょう。熱いお湯や長時間の入浴は皮脂を過剰に洗い流し、乾燥を悪化させます。洗浄剤は低刺激のものを選び、ゴシゴシこすらずに優しく洗います。入浴後は5分以内に保湿剤を塗ることが重要です。
肌に直接触れる肌着は、綿100%やシルクなどの天然素材がおすすめです。これらは吸湿性・通気性に優れ、肌への刺激が少ない特徴があります。ウールは保温性が高いですが、チクチクして刺激になることがあるため、必ず綿などの肌着の上に着用しましょう。化学繊維は静電気が発生しやすく、汗をかくと蒸れやすいため、肌着には避けた方が良いでしょう。
室内の湿度は50〜60%程度に保つのが理想的です。湿度が低すぎると皮膚の乾燥が進み、高すぎるとカビやダニの繁殖を招きます。加湿器を使用して湿度を調整し、湿度計で確認しながら管理しましょう。加湿器がない場合は、洗濯物を室内に干す、浴室のドアを開けておくなどの方法も効果的です。
ステロイド外用薬は、医師の指示に従って適切に使用すれば、冬に継続して使用しても問題ありません。冬は乾燥により炎症が起きやすいため、症状に応じた治療が必要です。自己判断で急に中止したり、使用量を変えたりせず、定期的に受診して医師と相談しながら使用しましょう。症状が安定すれば、医師の指導のもとで徐々に減量することもあります。
📚 参考文献
- 📌 厚生労働省「アトピー性皮膚炎」
- 📌 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」
- 📌 日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎」
- 📌 国立成育医療研究センター「アトピー性皮膚炎」
- 📌 九州大学医学部皮膚科「アトピー性皮膚炎」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務