はじめに
わきの汗やにおいに悩む方にとって、ミラドライは画期的な治療法として注目を集めています。手術を必要とせず、マイクロ波のエネルギーを利用してわきの汗腺を破壊するこの治療は、多汗症や腋臭症(わきが)に悩む多くの方々に新しい選択肢を提供しています。
しかし、ミラドライは医療行為であり、施術を行う医師の技術や経験によって結果が大きく左右されます。「東京でミラドライを受けたいけれど、どの医師を選べばいいのかわからない」「名医と呼ばれる医師の特徴は何か」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、ミラドライの基礎知識から、名医を見つけるためのポイント、東京でのクリニック選びまで、包括的に解説していきます。

ミラドライとは:基本的な理解
ミラドライの仕組み
ミラドライは、マイクロ波エネルギーを利用した切らない多汗症・腋臭症治療です。2018年6月に厚生労働省から「原発性腋窩多汗症」の治療機器として正式に承認を受けています。
治療の仕組みは以下の通りです:
マイクロ波の照射:専用の機器から5.8GHz帯のマイクロ波を照射します。このマイクロ波は、水分に吸収されやすい性質を持っています。
汗腺の破壊:マイクロ波が皮膚の真皮層から皮下組織にかけて存在するエクリン汗腺とアポクリン汗腺に熱エネルギーを与え、汗腺を破壊します。
冷却システム:治療中は皮膚表面を冷却するシステムが作動し、表皮へのダメージを最小限に抑えます。
一度破壊された汗腺は再生しないため、効果が長期的に持続するのが大きな特徴です。
原発性腋窩多汗症とミラドライの適応
原発性腋窩多汗症は、明らかな原因がないにもかかわらず、わきに過剰な発汗が見られる状態です。日本皮膚科学会によれば、以下の診断基準が用いられます:
- 明らかな原因がなく、6ヶ月以上わきの過剰な発汗が持続している
- 以下の6項目のうち2項目以上を満たす:
- 最初の症状が25歳以下で出現
- 左右対称性に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 週に1回以上多汗のエピソードがある
- 家族歴がある
- それらにより日常生活に支障をきたしている
ミラドライは、この原発性腋窩多汗症に対して保険適用外(自由診療)で行われる治療ですが、厚生労働省の承認を受けている点で安全性と有効性が担保されています。
従来の治療法との比較
ミラドライ以前には、多汗症や腋臭症に対して以下のような治療法がありました:
制汗剤・デオドラント:最も手軽な方法ですが、効果は一時的で根本的な解決にはなりません。
ボトックス注射:神経伝達物質の働きを抑えて発汗を減少させます。効果は約4〜9ヶ月で、定期的な治療が必要です。
外科手術:剪除法(せんじょほう)などで汗腺を直接取り除く方法です。効果は高いものの、傷跡が残り、ダウンタイムも長くなります。
交感神経遮断術:胸部の交感神経を遮断する手術です。効果は高いですが、代償性発汗(他の部位での発汗増加)のリスクがあります。
これらと比較したミラドライの利点は:
- メスを使わないため傷跡が残らない
- ダウンタイムが比較的短い
- 1回の治療で長期的な効果が期待できる
- 重大な合併症のリスクが低い
という点にあります。
なぜ「名医」選びが重要なのか
技術の差が結果を左右する
ミラドライは厚生労働省承認の医療機器ですが、機械が自動的に最適な治療を行ってくれるわけではありません。医師の技術や経験によって、治療結果には以下のような差が生じます。
照射範囲の設定:わきの汗腺の分布は個人差があります。経験豊富な医師は、患者さんごとの発汗パターンを見極め、最適な照射範囲を設定します。範囲が不十分だと効果が限定的になり、逆に広すぎると不要な部位にも影響を与える可能性があります。
照射レベルの調整:皮膚の厚さや汗腺の深さは人によって異なります。名医と呼ばれる医師は、患者さんの体質や状態に応じて照射レベルを適切に調整し、効果と安全性のバランスを取ります。
麻酔の技術:ミラドライでは局所麻酔を使用しますが、麻酔の打ち方ひとつで患者さんの痛みや不安感が大きく変わります。丁寧な麻酔技術は、治療体験全体の満足度を高めます。
合併症リスクの最小化
ミラドライは比較的安全な治療ですが、以下のような合併症のリスクがあります:
- 治療部位の腫れや痛み
- 一時的な感覚異常
- 硬結(皮膚の硬い部分)の形成
- 色素沈着
- 稀に、腕や手の感覚異常
経験豊富な医師は、これらのリスクを最小限に抑えるための知識と技術を持っています。具体的には:
解剖学的知識:わきの周辺には重要な神経や血管が走行しています。これらの解剖学的構造を熟知していることで、神経損傷などのリスクを回避できます。
冷却システムの適切な使用:皮膚表面の冷却を適切に行うことで、熱傷や色素沈着のリスクを低減します。
アフターケアの指導:治療後の過ごし方やケア方法を適切に指導することで、腫れや痛みを最小限に抑え、回復を早めます。
患者満足度の向上
名医は技術面だけでなく、コミュニケーション能力も優れています:
十分な説明と同意:治療の効果やリスク、代替治療について丁寧に説明し、患者さんが納得した上で治療を受けられるようにします。
期待値の適切な設定:ミラドライの効果には個人差があります。過度な期待を抱かせず、現実的な結果について事前に伝えることで、治療後のギャップを防ぎます。
心理的サポート:多汗症や腋臭症は、患者さんのQOL(生活の質)に大きく影響します。悩みに寄り添い、心理的なサポートも提供することが重要です。
東京でミラドライの名医を見つけるポイント
医師の専門性と経験
皮膚科専門医の資格:日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医の資格を持っているかを確認しましょう。専門医は、皮膚に関する幅広い知識と経験を持ち、多汗症や腋臭症の治療にも精通しています。
ミラドライの施術経験:ミラドライの治療を何例行っているかを確認することが重要です。一般的に、100例以上の経験があれば、様々なケースに対応できる技術が身についていると考えられます。
継続的な学習:医療技術は日々進歩しています。学会への参加や論文発表など、継続的に学び、最新の知識を取り入れている医師を選びましょう。
クリニックの設備と体制
医療機器の管理:ミラドライの機器が適切にメンテナンスされているか、最新の機種を使用しているかを確認しましょう。
衛生管理:感染対策がしっかりしているクリニックを選びましょう。器具の滅菌、手指消毒、クリーンな治療環境などが整っていることが重要です。
アフターフォロー体制:治療後に何か問題が生じた際、すぐに相談できる体制が整っているかを確認しましょう。緊急連絡先の提供や、定期的なフォローアップの有無は重要なポイントです。
カウンセリングの質
初回のカウンセリングで以下の点をチェックしましょう:
丁寧な問診:発汗の状態、生活への影響、これまでの治療歴などを丁寧に聞いてくれるか。
視診・触診:実際にわきの状態を確認し、汗腺の分布や皮膚の状態を評価しているか。
治療計画の説明:なぜその治療が適しているのか、どのような結果が期待できるのかを具体的に説明してくれるか。
リスクの説明:起こりうる合併症やリスクについて、隠さずに説明してくれるか。
代替案の提示:ミラドライだけでなく、他の治療選択肢についても説明し、比較検討する機会を提供してくれるか。
口コミと評判の活用法
インターネット上の口コミは参考になりますが、以下の点に注意して活用しましょう:
複数の情報源を確認:一つのサイトだけでなく、複数の口コミサイトやSNSでの評判を確認しましょう。
具体的な内容を重視:「良かった」「悪かった」だけでなく、どの点が良かったのか、何が問題だったのかが具体的に書かれている口コミを参考にしましょう。
極端な評価に注意:あまりにも絶賛する口コミや、感情的に批判する口コミは、客観性に欠ける可能性があります。
返信の対応を確認:クリニックが口コミに対してどのように返信しているかも重要です。誠実な対応をしているクリニックは信頼できる傾向があります。
費用と治療内容の透明性
明確な料金設定:治療費用が明確に提示されているか確認しましょう。カウンセリング料、麻酔代、アフターケア費用など、追加費用の有無も確認が必要です。
費用対効果の説明:なぜその価格なのか、何が含まれているのかを説明してくれるクリニックを選びましょう。
保証制度の有無:万が一効果が不十分だった場合の保証や、再照射の条件などを確認しましょう。
東京でのクリニック選びのポイント
立地とアクセス
東京は広大で、クリニックの数も多いため、通いやすい立地を選ぶことが重要です。
主要駅からのアクセス:新宿、渋谷、池袋、上野、銀座など、主要駅から近いクリニックは通いやすいでしょう。特に、治療後は腫れや痛みがある可能性があるため、長時間の移動は避けたいところです。
職場や自宅からの距離:アフターフォローで複数回通院する可能性があるため、日常生活圏内にあるクリニックが便利です。
予約の取りやすさ
人気のある名医は予約が取りにくい場合があります。
待ち時間:初診から治療まで、どのくらいの期間がかかるかを確認しましょう。数ヶ月待ちという場合もあります。
予約システム:オンライン予約や電話予約など、予約しやすいシステムがあるかを確認しましょう。
キャンセルポリシー:やむを得ず予約を変更する場合の対応についても確認しておきましょう。
プライバシーへの配慮
多汗症や腋臭症の治療は、患者さんにとってデリケートな問題です。
個室での診察:カウンセリングや診察が個室で行われるか確認しましょう。
待合室の配慮:他の患者さんと顔を合わせにくい配慮がされているか。
スタッフの対応:受付や看護師など、すべてのスタッフがプライバシーに配慮した対応をしているか。
ミラドライ治療の流れ
名医のもとでミラドライを受ける際の一般的な流れを理解しておきましょう。
カウンセリング(初診)
問診:発汗の程度、発症時期、生活への影響などを詳しく聞かれます。気になることは何でも相談しましょう。
診察:実際にわきの状態を確認します。発汗の範囲や程度、皮膚の状態などを評価します。
ヨードテスト:ヨウ素溶液とでんぷんを使って、発汗の範囲を可視化する検査を行うことがあります。これにより、照射範囲を正確に決定できます。
説明:治療の仕組み、期待できる効果、リスク、費用などについて詳しく説明を受けます。
治療日の決定:治療を受けることを決めたら、治療日を予約します。
治療前の準備
わき毛の処理:治療の数日前に、わき毛を剃っておく必要があります。抜くのではなく、カミソリやシェーバーで剃りましょう。
当日の服装:治療後は腕を上げる動作が辛くなる可能性があります。前開きの服や、ゆったりとした服装で来院しましょう。
飲食:特に制限はありませんが、リラックスして治療を受けられるよう、軽めの食事をしておくとよいでしょう。
治療当日
マーキング:治療範囲をペンでマーキングします。ヨードテストを再度行い、正確な照射範囲を決定します。
局所麻酔:わきに局所麻酔を注射します。この際、多少の痛みがありますが、名医は痛みを最小限にする技術を持っています。
治療:麻酔が効いたら、ミラドライの照射を開始します。治療時間は両わきで約60〜90分程度です。照射中は熱感を感じることがありますが、冷却システムが作動しているため、我慢できないほどの痛みはありません。
治療後の処置:治療部位を冷却し、必要に応じて圧迫を行います。
治療後の経過
当日:治療直後は腫れや軽い痛みがあります。処方された痛み止めを服用し、安静に過ごしましょう。
数日後:腫れや痛みは徐々に軽減します。多くの場合、3〜7日程度で日常生活に支障がない程度まで回復します。
2週間後:腫れがほぼ治まり、硬結(しこり)が残ることがあります。これは数週間から数ヶ月かけて徐々に改善します。
1〜3ヶ月後:治療効果が安定し、発汗の減少を実感できるようになります。
フォローアップ:治療後1ヶ月、3ヶ月などのタイミングで診察を受け、経過を確認します。
アイシークリニック上野院の特徴
東京でミラドライの名医を探している方にとって、アイシークリニック上野院は検討に値する選択肢の一つです。
アクセスの良さ
上野駅は東京の主要ターミナル駅の一つで、JR、東京メトロ、京成電鉄など複数の路線が乗り入れています。通勤や買い物のついでに立ち寄りやすい立地は、忙しい方にとって大きなメリットです。
皮膚科専門医による診療
アイシークリニック上野院では、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が診療を行っています。多汗症や腋臭症だけでなく、皮膚疾患全般に関する深い知識と経験を持つ医師が、一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提案します。
丁寧なカウンセリング
初診では十分な時間をかけてカウンセリングを行い、患者さんの悩みや希望を丁寧に聞き取ります。ミラドライの効果やリスクだけでなく、他の治療選択肢についても説明し、患者さんが納得した上で治療を選べるようサポートします。
充実したアフターフォロー
治療後の経過観察やトラブル時の対応など、アフターフォロー体制が整っています。何か心配なことがあれば、すぐに相談できる環境が整っています。
プライバシーへの配慮
デリケートな悩みを持つ患者さんに配慮し、プライバシーを守る体制を整えています。待合室での過ごしやすさや、個室でのカウンセリングなど、安心して通院できる環境づくりに努めています。

よくある質問
ミラドライで破壊された汗腺は再生しないため、効果は半永久的に持続すると考えられています。ただし、治療時に照射しなかった範囲の汗腺は残っているため、完全に発汗がなくなるわけではありません。多くの患者さんは、発汗量が約70〜80%減少したと報告しています。
多くの場合、1回の治療で満足できる効果が得られます。ただし、発汗の程度が重度の場合や、より高い効果を求める場合は、3ヶ月以上の間隔を空けて2回目の治療を行うことがあります。
個人差がありますが、多くの方は翌日から仕事や学校に行くことができます。ただし、激しい運動や重い物を持つなどの動作は、1〜2週間程度控えることが推奨されます。
わき以外の部位にも治療できますか?
ミラドライは、わき専用の治療機器です。手のひらや足の裏など、他の部位の多汗症には使用できません。他の部位の多汗症については、別の治療法を検討する必要があります。
治療は痛いですか?
局所麻酔を使用するため、治療中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時に多少の痛みがありますが、我慢できないほどではありません。治療後は腫れや痛みが出ることがありますが、痛み止めの服用で管理できる程度です。
保険は適用されますか?
ミラドライは、厚生労働省承認の医療機器ですが、現在のところ保険適用外(自由診療)です。費用は全額自己負担となります。クリニックによって料金設定が異なるため、事前に確認しましょう。
傷跡は残りますか?
ミラドライはメスを使わない治療のため、手術のような傷跡は残りません。治療部位に一時的な色素沈着が生じることがありますが、多くの場合、数ヶ月で目立たなくなります。
代償性発汗はありますか?
交感神経遮断術では、わきの発汗が減る代わりに背中や太もも、胸などで発汗が増える「代償性発汗」が問題になることがあります。しかし、ミラドライは局所的に汗腺を破壊する治療のため、代償性発汗のリスクは非常に低いとされています。
においにも効果がありますか?
ミラドライは、エクリン汗腺だけでなく、においの原因となるアポクリン汗腺も破壊します。そのため、多汗症だけでなく、腋臭症(わきが)にも効果が期待できます。
年齢制限はありますか?
基本的には成人を対象とした治療ですが、未成年の場合でも、保護者の同意があり、医師が適応と判断した場合は治療可能なことがあります。ただし、成長期の治療は、新たに汗腺が発達する可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
まとめ
ミラドライは、多汗症や腋臭症に悩む方にとって、効果的で安全性の高い治療選択肢です。しかし、その効果と安全性を最大限に引き出すためには、確かな技術と経験を持つ名医のもとで治療を受けることが重要です。
東京でミラドライの名医を見つけるためには:
- 医師の専門性と経験を確認する:皮膚科専門医の資格、ミラドライの施術経験、継続的な学習姿勢などをチェックしましょう。
- クリニックの設備と体制を評価する:最新の機器、衛生管理、アフターフォロー体制が整っているかを確認しましょう。
- 丁寧なカウンセリングを受ける:初回のカウンセリングで、医師やクリニックの姿勢を見極めましょう。
- 口コミと評判を参考にする:複数の情報源から、客観的な評価を確認しましょう。
- 費用と内容の透明性を確認する:明確な料金設定と、その内容を理解しましょう。
アイシークリニック上野院は、アクセスの良さ、専門医による診療、丁寧なカウンセリング、充実したアフターフォローなど、多くの点で患者さんのニーズに応える体制を整えています。
多汗症や腋臭症は、日常生活の質に大きく影響する問題です。適切な治療を受けることで、これまでの悩みから解放され、より自信を持って生活できるようになります。信頼できる医師のもとで、安心して治療を受けていただければと思います。
まずは気軽にカウンセリングを受け、自分に合った治療法を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の権威ある情報源を参照しました:
- 日本皮膚科学会
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン
- https://www.dermatol.or.jp/
- 厚生労働省
- 医療機器の承認情報
- https://www.mhlw.go.jp/
- 日本発汗学会
- 多汗症に関する診療指針
- http://www.hakkan.jp/
これらの信頼できる情報源に基づき、医学的に正確で最新の情報を提供するよう努めています。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務