はじめに
世界的な人気歌手・女優として活躍するセレーナ・ゴメスさん。彼女の華やかなキャリアの裏側には、難病との長い闘いがありました。2015年に全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患を公表し、2017年には腎臓移植手術を受けたことをSNSで告白。その勇気ある行動は、世界中で同じ病気と闘う患者さんたちに大きな希望と勇気を与えました。
セレーナさんのケースは、全身性エリテマトーデスという病気が若い女性に多く発症すること、そして適切な治療とサポートがあれば、病気と共に生きていけることを私たちに教えてくれます。本記事では、セレーナ・ゴメスさんの経験を交えながら、全身性エリテマトーデスと自己免疫疾患について、一般の方にもわかりやすく解説していきます。

セレーナ・ゴメスと全身性エリテマトーデス
病気の公表と腎臓移植
セレーナ・ゴメスさんは、2015年に全身性エリテマトーデス(SLE)を患っていることを公表しました。当初、精神的な問題でツアーを休止したと報道されていましたが、実際にはSLEによる深刻な健康問題が背景にありました。その後、2017年には、SLEの合併症であるループス腎炎により腎臓機能が著しく低下し、友人の女優フランシア・ライサさんから腎臓の提供を受けて移植手術を行ったことを公表しました。
報道によれば、セレーナさんは2017年5月、当時交際していた歌手ザ・ウィークエンドのコンサートツアーを見にシカゴを訪れた際、突然腎臓の機能が低下し、緊急搬送されたとされています。この経験は、SLEが予測不可能で、突然重篤な状態に陥る可能性がある病気であることを示しています。
セレーナさんのメッセージ
Instagram上で1億2600万人のフォロワーに向けて病状を明かした際、セレーナさんは「この病気についてはまだ理解されていない部分が多いけど、それでも改善はしてきている」と述べ、ルーパス研究の重要性を訴えました。彼女の勇気ある告白は、この病気への認識を高め、多くの患者さんが孤独感から解放されるきっかけとなりました。
有名人が難病を公表することで、病気に対する社会的な理解が深まり、研究資金の獲得や患者支援の充実につながることがあります。セレーナさんのケースも、全身性エリテマトーデスという病気を広く知ってもらう大きな機会となりました。
全身性エリテマトーデス(SLE)とは
病気の概要
全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus、略してSLE)は、本来は細菌やウイルスなどの外敵から身を守るための免疫系が、何らかの原因で自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
「Systemic(全身性)」という名前が示すとおり、皮膚、関節、腎臓、肺、心臓、脳など、全身のさまざまな臓器に炎症や障害を引き起こす可能性があります。「Lupus(ループス)」はラテン語で「狼」を意味し、顔面に現れる特徴的な紅斑が、狼に噛まれた痕のように見えることから名付けられました。
日本では指定難病に分類されており、2013年時点で約6万人が難病申請を行っています。ただし、医療機関を受診していない方や未申請の方を含めると、実際には10〜12万人程度の患者さんがいると推定されています。
誰がかかりやすいのか
全身性エリテマトーデスには、顕著な特徴があります:
年齢と性別の偏り
- 圧倒的に女性に多い:男女比は約1対9〜10で、患者さんの約9割が女性です
- 若い世代に多発:特に20〜40歳代の妊娠可能な年齢の女性に多く発症します
- 小児や高齢者でも発症することがありますが、頻度は低くなります
人種による差 白人に比べて、黒人やアジア系の人々により多くみられることが報告されています。
この性別や年齢の偏りから、女性ホルモンが発症に何らかの関与をしていると考えられていますが、詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていません。
自己免疫疾患のメカニズム
免疫システムの正常な働き
私たちの体には、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体から身を守る「免疫システム」が備わっています。免疫システムは、体内に侵入してきた「自分ではないもの(非自己)」を認識し、これを攻撃・排除することで、私たちを病気から守っています。
この免疫システムには、生まれつき備わっている「自然免疫」と、一度感染した病原体を記憶して次回以降より効率的に対応できる「獲得免疫」があります。抗体を作るB細胞や、感染した細胞を攻撃するT細胞などが協調して働き、精密な防御網を構築しています。
自己免疫とは何か
通常、免疫システムは「自己」と「非自己」を厳密に区別し、自分自身の細胞や組織は攻撃しないようにできています。これを「免疫寛容」と呼びます。
しかし、何らかの原因でこの識別機能に異常が生じると、免疫システムが自分自身の正常な細胞や組織を「異物」と誤認識し、攻撃してしまうことがあります。この状態を「自己免疫」といい、それによって引き起こされる病気の総称が「自己免疫疾患」です。
なぜ自己免疫疾患が起こるのか
自己免疫疾患の発症メカニズムは複雑で、完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています:
遺伝的要因 一卵性双生児でSLEを発症する一致率は約25〜60%程度とされており、遺伝的素因が関与していることは明らかです。最近の研究では、SLEには50以上の遺伝子が関与していることがわかってきました。ただし、特定の遺伝子を持っているからといって必ず発症するわけではなく、「発症しやすい体質」が遺伝すると考えられています。
環境要因 遺伝的素因を持つ人が、以下のような環境要因に曝露されることで発症すると考えられています:
- 紫外線:日光曝露が症状悪化や発症の引き金になることがあります
- 感染症:特定のウイルス感染(EBウイルスなど)が自己免疫反応を引き起こす可能性
- 薬剤:一部の薬剤が薬剤性SLEを引き起こすことがあります
- 妊娠・出産:ホルモンバランスの変化が影響する可能性
- ストレス:精神的・身体的ストレスが症状を悪化させる要因に
最新の研究成果 2024年、大阪大学の研究グループが、SLEを含む全身性自己免疫疾患の発症機構を解明したと報告しました。この研究では、後天的に生じる変異した自己抗原(ネオセルフ)が、免疫細胞であるT細胞によって「非自己」として認識されることで自己免疫疾患が引き起こされることが明らかになりました。この発見は、根治的治療の開発につながる可能性があるとして期待されています。
自己免疫疾患の分類
自己免疫疾患は大きく2つに分類されます:
全身性自己免疫疾患 体中のどこにでもあるような抗原に対して免疫反応が起こり、全身の複数の臓器が影響を受けます。全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、全身性強皮症、多発性筋炎などの膠原病が含まれます。
臓器特異的自己免疫疾患 特定の臓器にある抗原に対して自己免疫反応が起こり、その臓器だけが影響を受けます。バセドウ病(甲状腺)、橋本病(甲状腺)、1型糖尿病(膵臓)、潰瘍性大腸炎(大腸)などが含まれます。
全身性エリテマトーデスの症状
SLEの症状は非常に多彩で、患者さんによって大きく異なります。また、同じ患者さんでも時期によって症状が変化します。
全身症状
発熱 37〜38度以上の発熱が続くことがあります。感染症との鑑別が重要です。
全身倦怠感 強い疲労感や倦怠感は、SLEの最も一般的な症状の一つです。日常生活に支障をきたすこともあります。
体重減少 病気の活動性が高い時期には、食欲不振や代謝の変化により体重が減少することがあります。
皮膚・粘膜の症状
蝶形紅斑(ちょうけいこうはん) SLEの最も特徴的な症状です。両頬から鼻にかけて、蝶が羽を広げたような形の赤い発疹が現れます。日光に当たることで悪化しやすい特徴があります。
円板状エリテマトーデス 顔面、耳介、頭部などに、紅斑、硬結、角化を伴う皮疹が現れます。治癒後に瘢痕や色素沈着を残すことがあります。
光線過敏症 日光に当たると皮膚に発疹が出やすくなります。紫外線対策が非常に重要です。
脱毛 病気の活動期には、頭髪が抜けやすくなることがあります。
口内炎 痛みを伴わない口腔内や鼻腔内の潰瘍ができることがあります。
関節・筋肉の症状
関節痛・関節炎 複数の関節に痛みや腫れが現れます。特に手や足の関節に多くみられます。関節リウマチと異なり、骨の破壊を伴わないことが特徴です。
筋肉痛 筋肉の痛みやこわばりを感じることがあります。
朝のこわばり 起床時や長時間動かさなかった後に、関節がこわばる感覚があります。
腎臓の症状(ループス腎炎)
腎臓の障害はSLEの重要な合併症で、患者さんの約60〜80%に何らかの腎症状が現れます。セレーナ・ゴメスさんも、このループス腎炎により腎臓移植が必要になりました。
症状
- 蛋白尿(尿にタンパク質が漏れ出る)
- 血尿
- 浮腫(むくみ)、特に足や顔のむくみ
- 高血圧
初期には自覚症状がないことも多く、尿検査で初めて発見されることもあります。進行すると、ネフローゼ症候群や腎不全に至り、透析や腎移植が必要になることがあります。
神経・精神症状
中枢神経症状
- けいれん発作
- 頭痛
- 脳血管障害(脳梗塞など)
- 認知機能障害
精神症状
- うつ状態
- 不安
- 妄想
- 精神病症状
セレーナさんも、SLEが原因で「不安やパニック障害、うつ状態」に悩まされたことを明かしています。
心臓・肺の症状
心臓
- 心膜炎(胸痛の原因になる)
- まれに心筋炎や冠動脈炎
- 心臓弁膜症
肺
- 胸膜炎(胸痛や呼吸困難)
- 間質性肺炎
血液の異常
- 白血球減少(特に多い)
- 赤血球減少(貧血)
- 血小板減少
これらの血液異常により、感染症にかかりやすくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。
その他の症状
レイノー現象 寒冷刺激やストレスで手指が白色や青紫色に変色し、しびれや痛みを伴う現象です。
リンパ節腫脹 首やわきの下、鼠径部などのリンパ節が腫れることがあります。
全身性エリテマトーデスの診断
診断の難しさ
SLEの診断は必ずしも容易ではありません。初期症状が風邪や他の病気と似ていること、症状が多彩で人によって大きく異なること、症状が時期によって変化することなどが、診断を難しくしています。
診断のプロセス
問診と身体診察 医師は詳しい問診と身体診察を行います。特に以下の点を確認します:
- 症状の種類と経過
- 家族歴(親族に自己免疫疾患の方がいるか)
- 日光過敏の有無
- 特徴的な皮膚症状の有無
血液検査 SLEの診断には血液検査が非常に重要です:
- 抗核抗体(ANA)
- ほぼすべてのSLE患者さんで陽性になります
- ただし、健康な人や他の病気でも陽性になることがあるため、これだけでは診断できません
- 抗DNA抗体(特に抗二本鎖DNA抗体)
- SLEに特異性が高い抗体です
- 病気の活動性を反映します
- 抗Sm抗体
- SLEに特異的な抗体です
- 補体(C3、C4)
- SLEが活動している時期には低下します
- 一般的な血液検査
- 白血球、赤血球、血小板の数
- 炎症マーカー(ただしCRPはSLEではあまり上昇しない特徴があります)
尿検査
- 蛋白尿の有無
- 血尿の有無
- 尿沈渣(顕微鏡で尿中の細胞や円柱を確認)
画像検査
- 胸部X線検査:心臓や肺の状態を確認
- 心電図:心臓の異常を検出
- 腎生検:ループス腎炎が疑われる場合、腎臓の組織を採取して顕微鏡で調べます
診断基準
国際的な分類基準を用いて診断を行います。複数の症状や検査所見を総合的に評価し、他の病気との鑑別を行った上で、SLEと診断されます。
専門医への受診
SLEが疑われる場合は、リウマチ科、腎臓内科、皮膚科などで膠原病の診療経験が豊富な専門医の診断を受けることが重要です。大学病院や総合病院の専門科での受診をお勧めします。
全身性エリテマトーデスの治療
治療の目標
SLEを完全に治癒させることは現時点では困難ですが、適切な治療により以下の状態を目指します:
- 寛解(かんかい):症状がほとんどない状態
- 低疾患活動性(LLDAS):病気の活動性を最小限に抑えた状態
- 臓器障害の進行を防ぐ
- 生活の質(QOL)を維持・向上させる
実際、治療の進歩により、SLEの5年生存率は1950年代の約50%から、現在では95%以上にまで改善しています。
薬物療法
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど) SLE治療の中心となる薬です。強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があります。
- 使用量:病気の重症度によって異なります
- 重症の場合:1日40〜60mg
- 軽症の場合:1日10mg程度
- 維持療法:徐々に減量して1日5〜10mg程度を継続
- ステロイドパルス療法:重症の場合、大量のステロイドを点滴で投与する治療法です。3日間連続で行い、その後内服に切り替えます。
- 副作用:長期使用により以下のような副作用が出ることがあります
- 感染症にかかりやすくなる
- 骨粗鬆症
- 糖尿病
- 高血圧
- 体重増加
- 顔が丸くなる(ムーンフェイス)
- 骨壊死
近年の国際的なガイドラインでは、ステロイドの初期投与量を以前より少なくし、より早期に減量する傾向にあります。副作用を最小限にするため、必要最小限の量を使用することが重要です。
免疫抑制薬 ステロイド単独では効果不十分な場合や、ステロイドを減量したい場合に併用します:
- ミコフェノール酸モフェチル
- ループス腎炎に対して高い効果が期待されます
- 欧米では第一選択薬とされています
- 日本でも2015年から使用可能になりました
- シクロホスファミド
- 重症のループス腎炎などに使用されます
- アザチオプリン
- 維持療法としてよく使用されます
- タクロリムス、シクロスポリン
- 腎炎などに効果があります
- ミゾリビン
ヒドロキシクロロキン もともとはマラリアの治療薬ですが、SLEの治療に非常に有効です:
- 皮膚症状、倦怠感、関節症状の改善効果
- 病気の再燃を予防
- 臓器障害の進行を抑制
- 欧米では全SLE患者さんに投与すべきとされています
- 日本では2015年から使用可能になりました
生物学的製剤 2017年から、リンパ球が抗体を作るのを抑える作用を持つ生物学的製剤(ベリムマブなど)が日本でも使用できるようになりました。従来の治療で効果不十分な場合に使用されます。
対症療法
皮膚症状に対して
- 遮光(紫外線対策)
- ステロイド外用薬
- 保湿剤
関節痛に対して
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 鎮痛薬
副作用の予防と管理
ステロイドや免疫抑制薬の副作用を予防・管理するため、以下の薬も処方されることがあります:
- 骨粗鬆症予防薬
- 胃薬
- 抗真菌薬(予防的)
- カルシウム・ビタミンD製剤
日常生活での注意点
SLEと上手に付き合っていくためには、日常生活での工夫が重要です。
紫外線対策
紫外線はSLEの症状を悪化させる大きな要因です:
- 帽子や日傘の使用:つばの広い帽子が理想的
- 長袖の衣服:できるだけ肌の露出を減らす
- 日焼け止め:SPF30以上のものを2〜3時間ごとに塗り直す
- 外出時間の工夫:紫外線の強い10時〜14時の外出を避ける
- UVカットガラス:車や窓にUVカットフィルムを貼る
感染症の予防
免疫抑制療法を受けている患者さんは、感染症にかかりやすくなります:
- 手洗い・うがいの徹底
- マスクの着用:人混みではマスクをする
- 予防接種:インフルエンザワクチンなど(主治医と相談)
- 生の食品に注意:食中毒予防
- 発熱時は早めに受診
適度な運動
運動は、ストレス解消、肥満予防、骨粗鬆症予防に役立ちます:
- 無理のない範囲で:翌日に疲れが残らない程度
- おすすめの運動:ウォーキング、水泳、ヨガ、ストレッチ
- 屋外運動時:紫外線対策を忘れずに
- 運動後は十分な休養
ストレス管理
ストレスは症状悪化の要因になります:
- 十分な睡眠:規則正しい生活リズム
- リラックスする時間:趣味や瞑想
- 無理をしない:できないことは断る勇気
- サポートネットワーク:家族や友人、患者会などとのつながり
食事
バランスの良い食事を心がけます:
- 減塩:ステロイドによる高血圧や浮腫を予防
- カルシウム摂取:骨粗鬆症予防
- タンパク質:適量を摂取(腎機能に応じて調整)
- 過食を避ける:ステロイドによる体重増加を防ぐ
妊娠・出産
SLE患者さんでも、病状が安定していれば妊娠・出産は可能です:
- 妊娠前の相談:主治医と産婦人科医に相談
- 病状の安定:妊娠前6ヶ月以上病状が安定していることが望ましい
- 薬の調整:妊娠中に使えない薬もあるため、事前に変更が必要
- ハイリスク妊娠:専門医のいる施設での管理が必要
定期受診と服薬の継続
- 自己判断で薬を中止しない:症状が改善しても継続が必要
- 定期的な受診:病状の変化を早期に発見
- 血液検査・尿検査:定期的なモニタリングが重要
- 症状日記:症状の変化を記録しておく
SLEと生きる:患者さんへのメッセージ
病気を受け入れる
SLEと診断されたとき、多くの方がショックを受けます。「なぜ自分が」という思いや、将来への不安を感じるのは当然のことです。しかし、セレーナ・ゴメスさんの例が示すように、適切な治療とサポートがあれば、SLEと共に充実した人生を送ることは十分に可能です。
自分のペースで
病気の症状や治療への反応は人それぞれです。他の患者さんと比較する必要はありません。自分のペースで、できることから始めていきましょう。
サポートを求める
一人で抱え込まず、以下のようなサポートを活用しましょう:
- 医療チーム:医師、看護師、薬剤師などに遠慮なく相談
- 家族・友人:理解してもらい、協力を得る
- 患者会:同じ病気の仲間との交流
- カウンセリング:精神的なサポートが必要な時は専門家に相談
希望を持って
治療法は日々進歩しています。新しい薬や治療法の開発が続けられており、将来的にはさらに良い治療が期待できます。2024年には自己免疫疾患の発症機構が解明されるなど、根治的治療への道も開かれつつあります。
セレーナ・ゴメスさんは、腎臓移植後も音楽活動を続け、俳優としても活躍しています。病気を公表することで、多くの人々に勇気を与え、難病への理解を深める活動も行っています。彼女の姿は、SLEと共に生きる多くの患者さんに、希望と勇気を与え続けています。
指定難病制度について
SLEは国の指定難病(指定難病49)に指定されています。重症度が一定以上の場合、医療費助成の対象となります:
- 申請先:お住まいの都道府県・指定都市の保健所
- 助成内容:医療費の自己負担額が軽減されます
- 申請に必要なもの:医師の診断書(臨床調査個人票)など
詳しくは主治医または保健所にお問い合わせください。
まとめ
全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫システムが自分自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患です。20〜40代の女性に多く発症し、全身のさまざまな臓器に症状が現れます。
セレーナ・ゴメスさんのケースは、この病気が若く活動的な人々にも影響を与えること、そして適切な治療とサポートがあれば、病気と共に充実した人生を送れることを示しています。
SLEの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与していると考えられています。診断には複数の検査が必要で、専門医による総合的な評価が重要です。
治療の中心は副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬ですが、近年では新しい治療薬も登場し、治療成績は大きく改善しています。日常生活では、紫外線対策、感染症予防、ストレス管理などが重要です。
SLEは慢性疾患ですが、適切な治療とケアにより、多くの患者さんが通常の生活を送ることができています。定期的な受診と服薬の継続、そして自分に合った生活スタイルを見つけることが、病気と上手に付き合っていく鍵となります。
もし、長引く発熱、関節痛、顔の紅斑などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。早期診断・早期治療が、より良い予後につながります。
参考文献
- 難病情報センター「全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/215 - 一般社団法人 日本リウマチ学会「全身性エリテマトーデス」
https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/sle/ - 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター「全身性エリテマトーデス (SLE)」
https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/kougenbyo/sle.html - 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「全身性エリテマトーデス」
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease02.html - 国立成育医療研究センター「自己免疫性疾患」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/touseki_ketsuekijyouka/jikomeneki.html - 大阪大学「全身性自己免疫疾患の発症機構を解明」(2024年)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240914_1 - 日本赤十字社医療センター「全身性エリテマトーデス」
https://www.med.jrc.or.jp/tabid/794/Default.aspx
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務