かゆいできものの原因と対処法:医師が解説する皮膚トラブル完全ガイド

はじめに

皮膚に突然現れる「できもの」。それがかゆみを伴うと、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。気になって触ってしまったり、かきむしってしまったりして、症状が悪化することも少なくありません。

「このできものは何だろう」「病院に行くべきだろうか」「市販薬で治るだろうか」

こうした疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

皮膚にできるかゆみを伴うできものには、実に様々な種類があります。虫刺されのような一時的なものから、アレルギー反応、感染症、さらには慢性的な皮膚疾患まで、その原因は多岐にわたります。適切な対処をするためには、まずその原因を正しく理解することが重要です。

本記事では、皮膚科診療の現場でよく見られる「かゆいできもの」について、その種類、原因、症状の特徴、そして適切な対処法まで、専門的な観点から分かりやすく解説していきます。

かゆいできものができる仕組み

かゆみが生じるメカニズム

かゆみは、皮膚に存在する知覚神経の末端が刺激されることで生じます。この刺激は、ヒスタミンをはじめとする様々な化学物質によって引き起こされます。

皮膚に何らかの刺激が加わると、肥満細胞(マスト細胞)と呼ばれる細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。これらの物質が神経末端を刺激し、その信号が脳に伝わることで「かゆい」という感覚が生まれるのです。

できものができるプロセス

皮膚にできものができる過程は、その原因によって異なります。

炎症反応によるもの:外部からの刺激や体内の免疫反応により、患部に白血球などの免疫細胞が集まります。血管が拡張し、組織液が溜まることで腫れが生じ、できものとして認識されます。

感染によるもの:細菌、ウイルス、真菌などの病原体が皮膚に侵入すると、体の防御反応として炎症が起こり、膿や浸出液を含んだできものが形成されます。

増殖性のもの:皮膚の細胞が何らかの原因で異常に増殖することで、盛り上がったできものが形成されます。

かゆいできものの主な種類と原因

1. 虫刺され(虫刺症)

特徴

虫刺されは、最も一般的なかゆいできものの原因の一つです。蚊、ダニ、ノミ、ハチ、毛虫など、様々な虫による刺傷や咬傷により生じます。

症状

  • 刺された部位に赤い腫れができる
  • 強いかゆみ
  • 中心に刺し口が見られることがある
  • 大きさは数ミリから数センチまで様々
  • 症状は通常、数日から1週間程度で改善

蚊に刺された場合は比較的軽症ですが、ブユ(ブヨ)やダニに刺された場合は強い腫れとかゆみが長期間続くことがあります。

原因と発症機序

虫が皮膚を刺すときに注入する唾液成分や毒素に対して、体が反応することで症状が現れます。これはアレルギー反応の一種で、人によって反応の強さは異なります。

2. じんましん(蕁麻疹)

特徴

じんましんは、皮膚に突然現れる赤い膨らみで、強いかゆみを伴います。数時間以内に消えることが特徴ですが、繰り返し出現することもあります。

症状

  • 皮膚の一部が蚊に刺されたように赤く盛り上がる
  • 激しいかゆみ
  • 大きさや形は様々で、融合して広がることもある
  • 数時間以内に跡を残さず消える
  • 毎日のように繰り返す場合は慢性じんましん

原因

じんましんの原因は多岐にわたります。

  • 食物アレルギー:エビ、カニ、卵、小麦、そば、ピーナッツなど
  • 薬剤:抗生物質、鎮痛解熱剤など
  • 物理的刺激:寒冷、日光、圧迫、振動など
  • 感染症:風邪などの感染症に伴って出現
  • ストレス:精神的ストレスが誘因となることも
  • 原因不明:実は原因が特定できないケースが最も多い

3. アトピー性皮膚炎

特徴

アトピー性皮膚炎は、慢性的にかゆみを伴う湿疹が繰り返される疾患です。乳幼児期に発症することが多いですが、成人になってから発症するケースもあります。

症状

  • 強いかゆみ
  • 皮膚の乾燥
  • 赤い湿疹や小さなぶつぶつ
  • かき壊しによる傷やかさぶた
  • 慢性化すると皮膚が厚く硬くなる(苔癬化)
  • 好発部位:顔、首、肘の内側、膝の裏側など

原因と悪化因子

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因に環境因子が加わって発症すると考えられています。

  • 皮膚のバリア機能の低下
  • 免疫機能の異常
  • ダニ、ハウスダスト、花粉などのアレルゲン
  • 汗、乾燥、ストレス
  • 掻破による悪循環

4. 接触皮膚炎(かぶれ)

特徴

特定の物質に接触することで起こる皮膚の炎症です。原因物質に触れた部位に一致して症状が現れます。

症状

  • 接触した部位の赤み、腫れ
  • 小さな水ぶくれができることも
  • 強いかゆみ
  • 境界がはっきりしている
  • 原因物質との接触を避けると改善

主な原因物質

  • 金属アレルギー:ニッケル、コバルト、クロムなど(アクセサリー、時計、ベルトのバックルなど)
  • 植物:うるし、イチョウ、サクラソウなど
  • 化粧品・日用品:香料、防腐剤、界面活性剤など
  • ゴム製品:手袋、靴など
  • 外用薬:湿布薬、軟膏など

5. 毛嚢炎(もうのうえん)

特徴

毛穴に細菌が感染して起こる炎症です。「おでき」や「にきび」と似た見た目ですが、細菌感染が原因です。

症状

  • 毛穴を中心とした赤い腫れ
  • 中心に膿を持つことが多い
  • 軽いかゆみや痛み
  • 複数個できることもある
  • 好発部位:顔、首、背中、太もも、お尻など

原因

主に黄色ブドウ球菌などの細菌感染により発症します。以下の状況で起こりやすくなります。

  • 皮膚の不衛生
  • カミソリ負けや脱毛後
  • 皮膚の擦れや圧迫
  • 多汗
  • 免疫力の低下

6. 水虫(足白癬)・いんきんたむし(股部白癬)

特徴

白癬菌というカビの一種が皮膚に感染して起こる疾患です。足に起こるものを水虫、股間部に起こるものをいんきんたむしと呼びます。

症状

水虫の場合

  • 足の指の間の皮がむける、ジュクジュクする
  • 足の裏や側面に小さな水ぶくれ
  • かかとの皮膚が厚く硬くなる
  • かゆみ(ない場合もある)

いんきんたむしの場合

  • 股間部の赤い発疹
  • 環状に広がる特徴的な形
  • 強いかゆみ
  • 境界が明瞭

原因と感染経路

白癬菌は高温多湿の環境を好みます。

  • 公衆浴場、プール、ジムなどでの感染
  • 家族間での感染(タオルやマットの共有)
  • 靴の中の蒸れ
  • 免疫力の低下

7. 疥癬(かいせん)

特徴

ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる感染症です。人から人へ接触により感染します。

症状

  • 激しいかゆみ(特に夜間)
  • 指の間、手首、肘、脇の下、下腹部、太ももなどに赤いぶつぶつ
  • 線状の皮疹(ダニのトンネル)
  • 家族や施設内で集団発生することがある

原因と感染経路

ヒゼンダニは肉眼では見えないほど小さく、皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生します。

  • 長時間の皮膚接触による感染
  • 寝具の共有
  • 高齢者施設での集団感染が問題に

8. 湿疹・皮膚炎

特徴

湿疹は、皮膚に起こる炎症の総称で、様々な原因で発症します。かゆみを伴うことがほとんどです。

症状

  • 赤み、腫れ
  • 小さなぶつぶつや水ぶくれ
  • かゆみ
  • 慢性化すると皮膚が厚くなる
  • かき壊しによる傷や滲出液

主な種類

  • 貨幣状湿疹:コイン状の円形の湿疹が特徴
  • 自家感作性皮膚炎:一か所の湿疹が悪化し、離れた部位にも湿疹が広がる
  • 脂漏性皮膚炎:皮脂の多い部位(頭、顔、胸、背中)に起こる
  • 皮脂欠乏性湿疹:乾燥により皮膚のバリア機能が低下して起こる

9. 薬疹

特徴

薬剤の服用や使用により生じる皮膚の発疹です。軽症から重症まで様々なタイプがあります。

症状

  • 全身性の赤い発疹
  • かゆみ
  • 薬剤使用後数日から2週間程度で出現
  • 重症の場合は発熱、粘膜症状を伴うことも

原因となる薬剤

  • 抗生物質
  • 鎮痛解熱剤
  • 抗てんかん薬
  • 降圧剤
  • 痛風治療薬

10. その他のかゆいできもの

汗疹(あせも)

汗の出口が詰まり、皮膚内に汗が溜まって起こります。小さな赤いぶつぶつができ、かゆみを伴います。

日光皮膚炎

紫外線により皮膚が炎症を起こします。日焼け後に赤くなり、ヒリヒリとしたかゆみを感じます。

伝染性軟属腫(水いぼ)

ウイルス感染により起こります。光沢のある小さないぼが特徴で、軽いかゆみを伴うことがあります。

症状別の見分け方

かゆいできものを適切に対処するためには、その特徴を正しく観察することが重要です。

観察のポイント

1. できものの形状

  • 平らか、盛り上がっているか
  • 大きさ(数ミリ〜数センチ)
  • 単発か、複数か
  • 境界は明瞭か、不明瞭か

2. 色

  • 赤色、ピンク色
  • 白色、肌色
  • 褐色、黒色

3. 表面の状態

  • 滑らかか、ザラザラしているか
  • 水ぶくれや膿があるか
  • カサカサして皮がむけているか
  • ジュクジュクしているか

4. かゆみの程度

  • 軽度、中等度、激しい
  • 一日中か、特定の時間帯か
  • 増悪因子(入浴後、夜間など)

5. 発生部位

  • 全身性か、局所的か
  • 特定の部位に限定されるか
  • 左右対称か

6. 経過

  • 突然出現したか、徐々にか
  • 消長があるか、持続するか
  • いつから症状があるか

よくある間違いやすい症状の鑑別

虫刺され vs じんましん

  • 虫刺され:刺し口がある、数日間持続、局所的
  • じんましん:数時間で消える、広範囲、繰り返す

水虫 vs 湿疹

  • 水虫:片足から始まることが多い、指の間、カサカサ
  • 湿疹:両足に出やすい、ジュクジュクすることが多い

毛嚢炎 vs にきび

  • 毛嚢炎:細菌感染、膿を持つ、毛穴中心
  • にきび:皮脂詰まり、顔に多い、思春期に好発

かゆいできものができたときの対処法

自宅でできる応急処置

1. 患部を清潔に保つ

まず基本は清潔を保つことです。優しく洗い、清潔なタオルで水気を拭き取ります。ゴシゴシ洗うのは避けましょう。

2. 冷やす

かゆみが強い場合は、濡れタオルや保冷剤(タオルで包む)で患部を冷やすと、かゆみが一時的に和らぎます。

3. 刺激を避ける

  • かき壊さないようにする
  • 爪は短く切っておく
  • 通気性の良い衣類を着用
  • 入浴時は熱いお湯を避け、ぬるめのお湯で

4. 保湿ケア

乾燥が原因の場合は、適切な保湿剤を使用します。ただし、ジュクジュクした患部には使用を避けます。

5. 生活習慣の見直し

  • 十分な睡眠
  • バランスの取れた食事
  • ストレス管理
  • 過度の飲酒を避ける

市販薬の選び方と使用上の注意

抗ヒスタミン軟膏・クリーム

虫刺され、軽度のじんましん、湿疹に使用できます。かゆみを抑える効果があります。

ステロイド外用薬

炎症とかゆみを抑える効果があります。市販薬は弱いタイプから中程度の強さのものがあります。顔や陰部には弱いタイプを使用し、長期間の使用は避けます。

抗真菌薬

水虫、いんきんたむしには抗真菌成分を含む外用薬が有効です。ただし、湿疹に使用すると悪化することがあるため、水虫かどうか不明な場合は医療機関を受診しましょう。

使用上の注意点

  • 使用前に患部を清潔にする
  • 適量を守る
  • 症状が改善しても指示された期間使用する
  • 悪化した場合は使用を中止し受診する
  • 目や粘膜への使用は避ける
  • 妊娠中、授乳中の方は薬剤師に相談

してはいけないこと

1. 過度のかき壊し

かくことでさらに炎症が悪化し、二次感染のリスクも高まります。跡が残る原因にもなります。

2. 自己判断での長期間のステロイド使用

ステロイド外用薬を医師の指導なく長期間使用すると、皮膚萎縮などの副作用が生じる可能性があります。

3. 民間療法の安易な使用

根拠のない民間療法(塩を塗る、熱湯をかけるなど)は症状を悪化させることがあります。

4. 他人の処方薬を使用

同じように見える症状でも原因が異なることがあります。他人の処方薬は使用しないでください。

医療機関を受診すべきタイミング

以下のような場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

すぐに受診が必要な症状

1. 全身症状を伴う場合

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 呼吸困難
  • 意識がもうろうとする
  • じんましんが全身に広がり、喉が腫れている感じがする(アナフィラキシーの可能性)

2. 急速に症状が悪化する場合

  • 数時間で発疹が全身に広がる
  • 激しい痛みやかゆみ
  • 大きな水ぶくれができる

3. 二次感染の兆候

  • 患部から膿が出る
  • 赤みや腫れが急速に広がる
  • 強い痛みや熱感

早めの受診を検討すべき症状

1. 市販薬で改善しない

  • 1週間使用しても症状が改善しない
  • 一旦良くなってもすぐに再発する

2. 広範囲に広がる

  • 体の複数箇所に症状がある
  • 徐々に範囲が拡大している

3. 日常生活に支障

  • かゆみで眠れない
  • 集中できない
  • 人前に出るのが辛い

4. 原因が不明

  • 何が原因か全く分からない
  • 繰り返し症状が出る

5. 特定の状況

  • 妊娠中、授乳中
  • 乳幼児や高齢者
  • 糖尿病など基礎疾患がある

医療機関での診断と治療

診断方法

問診

症状の経過、発症時期、悪化因子、過去の病歴、家族歴、使用している薬剤、アレルギーの有無などを詳しく聞きます。

視診

発疹の形状、分布、色調などを詳しく観察します。

検査

必要に応じて以下の検査を行います。

  • 皮膚生検:組織を採取して顕微鏡で観察
  • 真菌検査:水虫などの診断
  • 血液検査:アレルギー検査、全身状態の評価
  • パッチテスト:接触皮膚炎の原因物質特定
  • ダーモスコピー検査:拡大して皮膚を観察

治療方法

外用療法

  • ステロイド外用薬:炎症を抑える
  • 抗ヒスタミン外用薬:かゆみを抑える
  • 抗真菌薬:水虫、いんきんたむしなど
  • 抗生物質軟膏:細菌感染を伴う場合
  • 保湿剤:皮膚のバリア機能を改善

内服療法

  • 抗ヒスタミン薬:かゆみやじんましんを抑える
  • ステロイド内服薬:重症の場合
  • 抗生物質:細菌感染を伴う場合
  • 抗真菌薬:広範囲の真菌感染
  • 免疫抑制剤:重症のアトピー性皮膚炎など

その他の治療

  • 紫外線療法:慢性の湿疹など
  • 液体窒素凍結療法:いぼなど
  • 手術:必要に応じて切除

治療期間と経過

疾患や重症度により異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 虫刺され:数日〜1週間
  • 急性じんましん:数日〜数週間
  • 慢性じんましん:数か月〜数年
  • 接触皮膚炎:1〜2週間
  • 毛嚢炎:1〜2週間
  • 水虫:2〜3か月(完治には時間がかかる)
  • アトピー性皮膚炎:長期管理が必要

予防と再発防止

日常生活での予防対策

1. スキンケアの基本

  • 適切な洗浄:優しく洗い、しっかりすすぐ
  • 保湿:入浴後すぐに保湿剤を塗る
  • 日焼け対策:日焼け止めの使用、帽子や日傘の活用
  • 爪のケア:短く滑らかに整える

2. 環境整備

  • 室内の清潔を保つ:こまめな掃除、換気
  • ダニ対策:寝具の洗濯、布団の天日干し
  • 湿度管理:適度な湿度(40〜60%)を保つ
  • 温度管理:適切な室温(夏は涼しく、冬は適度に暖かく)

3. 衣類の選び方

  • 通気性の良い素材を選ぶ(綿、麻など)
  • 肌に優しい素材を選ぶ
  • きつすぎない衣類を選ぶ
  • 洗濯時は低刺激性の洗剤を使用

4. 生活習慣

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • ストレス管理
  • 過度の飲酒や喫煙を避ける

原因別の予防法

虫刺され予防

  • 虫除けスプレーの使用
  • 長袖長ズボンの着用
  • 網戸の設置と管理
  • 屋外での活動時の注意

アレルギー性疾患の予防

  • 原因物質(アレルゲン)の特定と回避
  • 環境整備によるアレルゲン除去
  • 規則正しい生活習慣
  • 適切なスキンケア

感染症の予防

  • 手洗い、うがいの励行
  • 皮膚の清潔を保つ
  • 共用品の使用に注意
  • 免疫力の維持

接触皮膚炎の予防

  • 原因物質の特定と回避
  • ゴム手袋の使用(家事など)
  • 金属アレルギーの場合は、金メッキや樹脂製のアクセサリーに変更
  • 新しい化粧品や日用品を使用する際はパッチテストを

よくある質問(Q&A)

Q1: かゆいできものをかいてはいけないのはなぜですか?

A1: かくことで皮膚のバリア機能が破壊され、炎症がさらに悪化します。また、爪に付着した細菌により二次感染を起こすリスクが高まります。かき壊した跡が色素沈着として残ることもあります。かゆみが我慢できない場合は、患部を冷やす、医療機関で適切な治療を受けるなどの対策をとりましょう。

Q2: 市販薬はどのくらいの期間使用しても大丈夫ですか?

A2: 一般的には、市販薬を1週間使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします。特にステロイド外用薬は、自己判断での長期使用は避けるべきです。症状が悪化した場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。

Q3: かゆいできものは感染しますか?

A3: 原因によります。疥癬、水虫、いんきんたむし、伝染性軟属腫(水いぼ)などは他人に感染する可能性があります。一方、じんましん、アトピー性皮膚炎、虫刺されなどは感染しません。感染性の疾患が疑われる場合は、タオルや寝具の共有を避け、早めに医療機関を受診しましょう。

Q4: 夜になるとかゆみが強くなるのはなぜですか?

A4: いくつかの理由があります。就寝時は体温が上昇し、血行が良くなるため、かゆみを感じやすくなります。また、日中は仕事や活動で気が紛れていますが、夜になると意識がかゆみに集中しやすくなります。さらに、疥癬などではダニの活動が夜間に活発になるため、夜間のかゆみが特徴的です。

Q5: 子どもがかゆいできものをかき壊してしまいます。どうすればよいですか?

A5: 子どもの場合、以下の対策が有効です。

  • 爪を短く切り、滑らかにやすりをかける
  • 就寝時はミトン型の手袋を着用させる
  • かゆみを抑える内服薬を使用する(医師に相談)
  • 患部を保護するガーゼや包帯を使用する
  • 患部を冷やす
  • 注意をそらす(遊びや読み聞かせなど)

Q6: アレルギー検査は受けた方がよいですか?

A6: 繰り返しかゆいできものができる場合、原因不明のじんましんが続く場合、特定の食物や物質との関連が疑われる場合などは、アレルギー検査を受けることで原因の特定に役立ちます。血液検査やパッチテストなどがあり、医師と相談して必要性を判断します。

Q7: 妊娠中にかゆいできものができました。薬を使っても大丈夫ですか?

A7: 妊娠中は使用できる薬剤が限られます。自己判断で市販薬を使用せず、必ず医師に相談してください。妊娠中でも安全に使用できる薬剤はありますので、適切な治療を受けることが可能です。我慢してストレスを溜めることも良くありません。

Q8: 食事でかゆみは改善しますか?

A8: バランスの取れた食事は、皮膚の健康維持に重要です。特に、ビタミンA、C、E、亜鉛などは皮膚の修復やバリア機能の維持に役立ちます。ただし、特定の食品がかゆみを直接改善するという科学的根拠は限られています。食物アレルギーが原因の場合は、原因食物を避けることが重要です。

Q9: かゆいできものの跡が残ってしまいました。消す方法はありますか?

A9: 炎症後色素沈着(かき壊しや炎症の跡)は、時間とともに徐々に薄くなることが多いです。完全に消えるまでには数か月から数年かかることもあります。予防が最も重要で、早期の適切な治療とかき壊さないことが大切です。跡が気になる場合は、皮膚科で美白剤の処方やレーザー治療などの相談ができます。

Q10: ストレスでかゆみが出ることはありますか?

A10: はい、ストレスはかゆみの原因や悪化因子になります。ストレスにより免疫バランスが乱れ、じんましんやアトピー性皮膚炎が悪化することがあります。また、心理的ストレスにより皮膚の知覚が過敏になり、かゆみを感じやすくなることも知られています。ストレス管理は皮膚疾患の治療においても重要な要素です。

まとめ

かゆいできものは、私たちの日常生活で非常に身近な症状です。その原因は虫刺されから感染症、アレルギー、慢性疾患まで多岐にわたります。

多くの場合、適切な自己ケアや市販薬で改善しますが、症状が長引く場合、広範囲に広がる場合、全身症状を伴う場合などは、速やかに医療機関を受診することが重要です。

早期の適切な診断と治療により、症状の悪化を防ぎ、跡を残さず治すことができます。また、原因を正しく理解し、予防対策を講じることで、再発を防ぐことも可能です。

かゆいできものに悩んでいる方は、我慢せず、専門家に相談することをお勧めします。専門医が、一人ひとりの症状に合わせた最適な治療を提供いたします。

アイシークリニック上野院からのメッセージ

当院では、専門医が丁寧な診察と適切な治療を行っています。かゆいできものでお困りの方は、お気軽にご相談ください。症状の改善だけでなく、再発予防や日常生活でのスキンケアについても、分かりやすくアドバイスいたします。

健やかな肌を保つために、私たちがサポートいたします。


参考文献

  1. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
    https://www.dermatol.or.jp/qa/
  2. 厚生労働省「アトピー性皮膚炎の診療について」
    https://www.mhlw.go.jp/
  3. 日本アレルギー学会「アレルギー疾患ガイドライン」
    https://www.jsaweb.jp/
  4. 国立感染症研究所「感染症情報」
    https://www.niid.go.jp/
  5. 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」
  6. 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン」
  7. 日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン」
  8. 公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科で扱う主な疾患」
    https://www.dermatol.or.jp/

※本記事は医療情報の提供を目的としており、自己診断や自己治療を推奨するものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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