はじめに
陰茎にほくろができることに不安を感じている方は少なくありません。デリケートな部位であるため、人に相談しづらく、一人で悩んでしまうケースも多いでしょう。しかし、陰茎のほくろは決して珍しいものではなく、多くの場合は良性の色素性病変です。
本記事では、アイシークリニック上野院の専門医の知見をもとに、陰茎のほくろについて包括的に解説します。ほくろができる原因から、良性・悪性の見分け方、適切な治療法まで、医学的根拠に基づいた情報をわかりやすくお伝えします。

陰茎のほくろとは
ほくろの医学的定義
ほくろは医学用語で「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞性母斑」と呼ばれます。メラニン色素を産生する細胞(メラノサイト)が増殖し、皮膚に集まることで形成される良性の腫瘍です。
陰茎も他の部位の皮膚と同様に、メラノサイトが存在するため、ほくろができることがあります。陰茎のほくろは、亀頭、陰茎体部、包皮など、さまざまな箇所に現れる可能性があります。
陰茎のほくろの特徴
陰茎のほくろには以下のような特徴があります:
色の特徴
- 茶色から黒色まで、濃淡はさまざま
- 均一な色をしているものが多い
- まれに薄い茶色や赤みがかったものもある
形状の特徴
- 平坦なものから盛り上がったものまである
- 境界が比較的明瞭
- 円形または楕円形が一般的
大きさの特徴
- 数ミリ程度の小さなものが多い
- まれに1センチを超えるものもある
発生頻度
陰茎のほくろの正確な発生頻度に関する大規模な疫学調査は限られていますが、皮膚科や泌尿器科の臨床現場では決して珍しくない所見です。
一般的に、全身のほくろの数が多い人ほど、陰茎部にもほくろができやすい傾向があります。日本人を含むアジア人は、白人と比較してメラニン色素が多いため、陰茎部を含む全身にほくろができやすいとされています。
陰茎のほくろができる原因
先天性と後天性
陰茎のほくろは、生まれつき存在する「先天性母斑」と、生後に新たに出現する「後天性母斑」に分類されます。
先天性母斑 先天性母斑は、胎児期の発生過程でメラノサイトが異常に増殖することで形成されます。出生時または生後数か月以内に確認されることが多く、他の部位の先天性母斑と同様に、陰茎にも発生する可能性があります。
先天性母斑は一般的に後天性母斑よりもサイズが大きく、毛が生えていることもあります。ただし、陰茎部の先天性母斑は比較的まれで、全身の先天性母斑のごく一部を占めるにすぎません。
後天性母斑 後天性母斑は、思春期から成人期にかけて徐々に現れるものです。陰茎のほくろの多くは、この後天性母斑に分類されます。
遺伝的要因
ほくろのできやすさには遺伝的要因が関与していることが知られています。家族にほくろが多い人がいる場合、本人もほくろができやすい傾向があります。
特定の遺伝子変異がほくろの発生に関連していることが、近年の研究で明らかになってきています。ただし、陰茎部特有の遺伝的要因については、まだ十分に解明されていません。
紫外線の影響
紫外線はほくろの発生や増大に関与する重要な環境因子です。紫外線を浴びることで、メラノサイトが刺激され、メラニン色素の産生が増加します。
ただし、陰茎は通常、衣服に覆われており、紫外線に直接さらされることは少ないため、他の露出部位と比較すると紫外線の影響は限定的と考えられます。
しかし、ヌーディストビーチや日光浴の習慣がある場合、陰茎部も紫外線にさらされる可能性があり、ほくろの発生リスクが高まる可能性があります。
ホルモンの影響
性ホルモンがほくろの発生や変化に影響を与える可能性が示唆されています。
思春期には性ホルモンの分泌が急激に増加し、これに伴って陰茎を含む全身にほくろが新たに出現したり、既存のほくろが濃くなったりすることがあります。
また、妊娠中や経口避妊薬の使用時にほくろが変化することが知られており、女性ホルモンがメラノサイトに影響を与えることが示唆されています。男性においても、テストステロンなどの男性ホルモンが陰茎部のほくろに何らかの影響を与えている可能性がありますが、詳細なメカニズムは解明されていません。
摩擦や刺激
慢性的な摩擦や刺激が、ほくろの発生や変化に関与する可能性があります。
陰茎は下着や衣服との接触、性行為などによる摩擦にさらされやすい部位です。繰り返される機械的刺激がメラノサイトを活性化し、ほくろの形成につながる可能性が考えられています。
ただし、摩擦だけがほくろの直接的な原因となるわけではなく、遺伝的素因を持つ人において、摩擦が誘因となってほくろが出現すると考えられています。
ほくろと間違えやすい陰茎の病変
陰茎にできる色素性病変は、ほくろ以外にもいくつか存在します。適切な診断と治療のために、これらを区別することが重要です。
フォアダイス斑(脂腺)
フォアダイス斑は、陰茎の皮膚表面に見られる黄白色の小さな粒状の隆起です。これは脂腺が肥大したもので、病的な意味はありません。
ほくろとの違い:
- 色が黄白色である(ほくろは茶色〜黒色)
- 複数個が集まって現れることが多い
- 思春期以降に目立つようになる
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により生じるイボ状の病変です。性感染症の一種であり、治療が必要です。
ほくろとの違い:
- カリフラワー状の突起がある
- 複数個が集まって現れることが多い
- かゆみや違和感を伴うことがある
- 性交渉後に出現する
血管腫
血管が増殖してできる良性腫瘍で、赤色から紫色を呈します。
ほくろとの違い:
- 色が赤色〜紫色である
- 圧迫すると一時的に色が薄くなる
- 表面が平滑で光沢がある
陰茎の色素沈着
炎症後や摩擦によって生じる色素沈着は、ほくろと見分けがつきにくいことがあります。
ほくろとの違い:
- 境界が不明瞭なことが多い
- 色が均一でないことがある
- 時間経過とともに薄くなることがある
悪性黒色腫(メラノーマ)
最も注意が必要な病変で、早期発見・早期治療が極めて重要です。詳細は後述します。
良性のほくろと悪性黒色腫の見分け方
陰茎のほくろで最も懸念されるのは、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別です。メラノーマは進行が速く、転移しやすい悪性腫瘍であるため、早期発見が生命予後に直結します。
ABCDEルール
メラノーマを疑うポイントとして、国際的に「ABCDEルール」が知られています。
A(Asymmetry:非対称性) 良性のほくろは左右対称であることが多いのに対し、メラノーマは非対称な形状を示すことが多いです。
B(Border:境界) 良性のほくろは境界が明瞭で滑らかですが、メラノーマは境界が不規則でギザギザしていることがあります。
C(Color:色調) 良性のほくろは均一な色をしていますが、メラノーマは複数の色(茶色、黒色、赤色、白色など)が混在することがあります。
D(Diameter:直径) 直径6mm以上の色素性病変は注意が必要です。ただし、それ以下のサイズでもメラノーマの可能性はあります。
E(Evolving:変化) 短期間(数週間から数か月)で大きさ、形、色が変化する病変は要注意です。
ダーモスコピー検査
ダーモスコピーは、特殊な拡大鏡を用いて皮膚病変を詳細に観察する検査法です。皮膚科専門医が使用することで、肉眼では見えない色素の分布パターンや血管構造を評価でき、良悪性の鑑別精度が向上します。
陰茎のほくろに対してもダーモスコピー検査は有用であり、非侵襲的に詳細な評価が可能です。
病理組織検査
最終的な確定診断は、病理組織検査によって行われます。疑わしい病変の一部または全部を切除し、顕微鏡で細胞の形態を観察することで、良性か悪性かを判断します。
陰茎のメラノーマは比較的まれですが、亀頭部に発生しやすいことが知られています。また、陰茎のメラノーマは発見が遅れやすく、進行した状態で診断されることが多いため、注意が必要です。
陰茎メラノーマの特徴
陰茎に発生するメラノーマには以下のような特徴があります:
- 亀頭部、特に亀頭冠に好発する
- 黒色〜褐色の色素斑として現れることが多い
- 表面が潰瘍化することがある
- 急速に増大する傾向がある
- 所属リンパ節(鼠径リンパ節)への転移が早期から起こりうる
陰茎のメラノーマは全メラノーマの1%未満と非常にまれですが、予後が悪いことが知られています。早期発見のためには、定期的なセルフチェックと、変化があった場合の速やかな医療機関受診が重要です。
診断方法
陰茎のほくろを適切に評価するためには、以下のような診断プロセスが行われます。
問診
医師は以下のような点について詳しく聞き取りを行います:
- いつ頃からほくろがあるか
- 最近、大きさや色に変化があったか
- かゆみ、痛み、出血などの症状があるか
- 家族歴(メラノーマや多数のほくろがある家族がいるか)
- 性感染症の既往や性行為の状況
- 日光浴やサンベッドの使用歴
視診
医師は肉眼でほくろの特徴を観察します:
- 大きさ、形状、色調
- 境界の明瞭さ
- 表面の性状(平坦か隆起しているか)
- 周囲の皮膚の状態
- 他の部位のほくろの状態
触診
必要に応じて、病変の硬さや可動性を確認します。良性のほくろは通常、周囲の皮膚と同じ柔らかさで、可動性があります。
ダーモスコピー検査
前述のとおり、ダーモスコピーは良悪性の鑑別に非常に有用です。ダーモスコピーで観察される特徴的なパターンには以下のようなものがあります:
良性のほくろに見られるパターン
- 均一な色素の分布
- 規則的な色素ネットワーク
- 中心部の均一な色素沈着
メラノーマを疑うパターン
- 不規則な色素の分布
- 多彩な色調
- 青白いベール構造
- 不規則な血管パターン
組織生検
ダーモスコピーや視診で悪性が疑われる場合、または診断が確定できない場合には、組織生検が推奨されます。
生検の方法
- 全切除生検:病変全体を切除する方法(最も推奨される)
- パンチ生検:円筒状の器具で病変の一部を採取する方法
- 切開生検:病変の一部をメスで切除する方法
陰茎のほくろの場合、機能や整容面を考慮しつつ、可能な限り全切除生検が推奨されます。部分生検では、メラノーマの最も悪性度の高い部分を見逃す可能性があるためです。
画像検査
メラノーマが疑われ、転移の可能性がある場合には、以下のような画像検査が行われることがあります:
- 超音波検査:鼠径部リンパ節の腫大を確認
- CT検査:遠隔転移の有無を評価
- MRI検査:局所の浸潤範囲を詳細に評価
- PET-CT検査:全身の転移巣を検索
治療方法
陰茎のほくろの治療方針は、病変の性質、患者の希望、整容面や機能面への影響などを総合的に考慮して決定されます。
経過観察
明らかに良性と判断され、美容上の問題もない場合は、経過観察が選択されることがあります。
経過観察が適している場合
- ダーモスコピーで典型的な良性所見を示す
- 長年変化がない
- 患者が治療を希望しない
- 小さく目立たない
ただし、経過観察を選択した場合でも、定期的なセルフチェックを継続し、変化があれば速やかに受診することが重要です。
外科的切除
確実にほくろを除去したい場合や、悪性の可能性が否定できない場合には、外科的切除が行われます。
切除の方法 陰茎のほくろの切除は、通常、局所麻酔下で行われます。病変の大きさや位置によって、以下のような方法が選択されます:
- 単純切除 ほくろを含む皮膚を紡錘形に切除し、縫合する方法です。小さなほくろに適しています。
- 円形切除 ほくろを円形に切除する方法で、縫合せずに自然治癒を待つ場合もあります。
- シェービング法 盛り上がったほくろを皮膚表面でメスやカミソリのような器具で削り取る方法です。ただし、再発の可能性があり、病理検査で十分な評価ができないことがあるため、悪性が疑われる場合には推奨されません。
切除範囲の決定 良性のほくろの場合、病変の辺縁から1〜2mm程度の正常皮膚を含めて切除することが一般的です。
メラノーマが疑われる場合や、組織検査でメラノーマと診断された場合には、腫瘍の厚さに応じてより広い範囲(5〜20mm以上)を切除する必要があります。
術後の管理 切除後は以下のようなケアが必要です:
- 創部の清潔保持
- 感染予防のための抗生物質の使用
- 痛みに対する鎮痛薬の使用
- 性行為の一時的な制限
- 定期的な創部チェック
陰茎は血流が豊富で治癒が比較的良好な部位ですが、勃起による創部への張力や、尿による汚染のリスクがあるため、適切な術後管理が重要です。
レーザー治療
レーザー治療は、特定の条件下で選択されることがあります。
レーザー治療の種類
- 炭酸ガスレーザー:ほくろを蒸散させる
- Qスイッチレーザー:メラニン色素を破壊する
レーザー治療の利点
- 出血が少ない
- 傷跡が比較的目立ちにくい
- 小さなほくろに適している
レーザー治療の欠点
- 病理検査ができない(診断確定できない)
- 再発の可能性がある
- 悪性病変には適さない
陰茎のほくろに対するレーザー治療は、明らかに良性と判断され、かつ美容目的で除去を希望する場合に限定されます。少しでも悪性の可能性がある場合には、病理検査が可能な外科的切除が推奨されます。
冷凍凝固療法
液体窒素を用いて病変を凍結壊死させる治療法です。脂漏性角化症などの良性病変によく用いられますが、陰茎のほくろに対してはあまり推奨されません。
理由:
- 病理検査ができない
- 色素が深部に残存し、再発しやすい
- 治療後の色素沈着や色素脱失が起こりやすい
メラノーマの治療
陰茎にメラノーマが発生した場合、以下のような治療が行われます。
外科的治療
- 広範囲切除:腫瘍の厚さに応じて、周囲の正常組織を十分に含めて切除
- センチネルリンパ節生検:最初に転移する可能性のあるリンパ節を同定し、生検
- リンパ節郭清:転移が確認された場合、所属リンパ節を広範囲に切除
- 陰茎部分切除または全切除:進行例では必要となることがある
薬物療法
- 免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブ、ペムブロリズマブなど
- 分子標的治療薬:BRAF変異陽性の場合、BRAF阻害薬やMEK阻害薬
- インターフェロン療法:術後の再発予防
放射線療法
- 手術が困難な場合や、術後の補助療法として
陰茎のメラノーマは比較的まれですが、予後が悪いことが知られています。5年生存率は病期によって大きく異なり、早期発見が極めて重要です。
予防とセルフケア
陰茎のほくろそのものを完全に予防することは困難ですが、以下のような対策により、悪性化のリスクを減らすことができます。
紫外線対策
陰茎は通常、衣服に覆われているため、紫外線への曝露は限定的です。しかし、以下のような状況では注意が必要です:
- ヌーディストビーチや裸で日光浴をする場合
- 屋外での露出の機会がある場合
これらの状況では、適切な衣服の着用や日焼け止めの使用を検討してください。
刺激の軽減
過度な摩擦や刺激を避けることが推奨されます:
- きつすぎる下着や衣服を避ける
- 柔らかい素材の下着を選ぶ
- 清潔を保ち、炎症を予防する
- 性行為時には適切な潤滑剤を使用する
定期的なセルフチェック
自分の陰茎の状態を定期的にチェックすることが、早期発見につながります。
セルフチェックのポイント
- 月に1回程度、明るい場所で観察する
- 既存のほくろの大きさ、色、形に変化がないか確認
- 新しいほくろや病変が出現していないか確認
- 出血、かゆみ、痛みなどの症状がないか確認
- 鼠径部のリンパ節の腫れがないか確認
スマートフォンのカメラで定期的に写真を撮影しておくと、変化の有無を客観的に評価しやすくなります。
早期受診
以下のような変化や症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- ほくろが急速に大きくなった
- 色が濃くなった、または複数の色が混在するようになった
- 形が非対称になった
- 境界が不明瞭になった
- 表面が潰瘍化した
- 出血した
- かゆみや痛みが出現した
- 鼠径部のリンパ節が腫れた
デリケートな部位であるため受診をためらう気持ちは理解できますが、早期発見・早期治療が最も重要です。皮膚科や泌尿器科の医師は、このような相談に日常的に対応していますので、遠慮なく受診してください。
性感染症の予防
尖圭コンジローマなどの性感染症は、陰茎に病変を形成し、ほくろと混同される可能性があります。性感染症の予防も重要です:
- コンドームの適切な使用
- 特定のパートナーとの関係
- HPVワクチンの接種(適応年齢の場合)

よくある質問
A: はい、陰茎のほくろは決して珍しいものではありません。他の部位と同様に、陰茎にもメラノサイトが存在するため、ほくろができることがあります。多くの場合、良性の色素性母斑であり、健康上の問題はありません。
ただし、急激な変化がある場合や、ABCDEルールに当てはまる特徴がある場合には、医療機関での評価が必要です。
A: いいえ、ほくろそのものは感染性の病変ではないため、性行為を通じて他者に感染することはありません。
ただし、性感染症である尖圭コンジローマなどの病変をほくろと誤認している可能性もあります。不安な場合は医療機関で正確な診断を受けることが大切です。
A: ほくろが自然に完全に消失することは非常にまれです。
一部のほくろは加齢とともに薄くなったり、平坦になったりすることがありますが、完全に消えることは期待できません。逆に、ほくろが急速に消失する場合は、何らかの病的な変化の可能性もあるため、注意が必要です。
Q4: 治療後に再発することはありますか?
A: 治療方法によって再発率は異なります。
外科的に完全切除した場合、再発のリスクは非常に低くなります。ただし、切除が不完全だった場合や、レーザー治療などで表層のみを除去した場合には、深部に残存したメラノサイトから再発する可能性があります。
メラノーマの場合は、適切な範囲を切除しても再発や転移のリスクがあるため、長期的な経過観察が必要です。
Q5: 治療の痛みはどの程度ですか?
A: 治療は通常、局所麻酔下で行われるため、治療中の痛みはほとんどありません。
麻酔の注射時にチクッとした痛みがありますが、麻酔が効いた後は無痛です。術後は数日間、軽い痛みや違和感がありますが、鎮痛薬で十分にコントロール可能です。
陰茎は感覚が敏感な部位ですが、適切な麻酔と疼痛管理により、快適に治療を受けることができます。
Q6: 治療後、性生活に影響はありますか?
A: 小さなほくろの切除であれば、治癒後の性生活への影響はほとんどありません。
ただし、治療直後は創部の保護のため、1〜2週間程度は性行為を控える必要があります。創部が完全に治癒し、医師の許可が出れば、通常の性生活を再開できます。
大きな病変の切除やメラノーマの治療で広範囲の切除が必要だった場合には、機能面や整容面への影響について、事前に医師とよく相談することが重要です。
Q7: 保険は適用されますか?
A: 医学的に必要な治療(悪性腫瘍の疑いがある場合や、機能障害を起こす可能性がある場合など)であれば、健康保険が適用されます。
一方、美容目的のみでの除去は自費診療となることが一般的です。治療前に、保険適用の有無について医療機関に確認することをお勧めします。
Q8: どの診療科を受診すればよいですか?
A: 陰茎のほくろについては、以下の診療科が適しています:
- 皮膚科:ほくろの診断と治療の専門家。ダーモスコピーなどの機器も充実しています。
- 泌尿器科:陰茎を含む泌尿生殖器の専門科。陰茎特有の問題にも対応できます。
- 形成外科:整容面を考慮した切除や再建が得意です。
どの科を受診すべきか迷う場合は、まず皮膚科を受診することをお勧めします。必要に応じて適切な診療科へ紹介してもらえます。
まとめ
陰茎のほくろは、多くの場合、良性の色素性母斑であり、健康上の問題はありません。しかし、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)などの重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、適切な評価と判断が重要です。
本記事の重要なポイント
- 陰茎のほくろは珍しくない 他の部位と同様に、陰茎にもほくろができることがあります。
- 原因は多因子性 遺伝、紫外線、ホルモン、摩擦などが関与しています。
- 良悪性の鑑別が重要 ABCDEルールを参考に、メラノーマの可能性を評価します。
- 早期発見が予後を左右する 定期的なセルフチェックと、変化があった場合の速やかな受診が重要です。
- 治療法は病変の性質によって選択 良性であれば経過観察も可能ですが、悪性の可能性がある場合は積極的な治療が必要です。
- 専門医への相談が大切 デリケートな部位であっても、遠慮せず専門医に相談することが最善の対策です。
陰茎のほくろについて不安を感じている方は、一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。アイシークリニック上野院では、豊富な経験を持つ専門医が、プライバシーに配慮しながら丁寧に診察・治療を行っています。
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の信頼できる情報源を参考にしました。
- 日本皮膚科学会「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」 https://www.dermatol.or.jp/
- 国立がん研究センター「がん情報サービス – メラノーマ(悪性黒色腫)」 https://ganjoho.jp/
- 日本皮膚悪性腫瘍学会「メラノーマの診断と治療」 https://www.skincancer.jp/
- 厚生労働省「がん対策情報」 https://www.mhlw.go.jp/
- 日本泌尿器科学会「泌尿器科疾患診療ガイドライン」 https://www.urol.or.jp/
※本記事は医学的情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や懸念がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診察を受けてください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務