クレーター肌を諦めない!原因から最新治療まで徹底解説

はじめに

鏡を見るたびに気になる肌の凹凸。「クレーター肌」と呼ばれるこの症状に悩んでいる方は少なくありません。ニキビ跡が月のクレーターのように凹んでしまった肌は、メイクでも隠しにくく、多くの方が「もう治らないのでは」と諦めかけています。

しかし、医療の進歩により、クレーター肌の治療は着実に進化しています。完全に元通りとはいかなくても、目立たなくすることは十分可能です。本コラムでは、クレーター肌の原因から予防法、最新の治療方法まで、皮膚科専門の視点から詳しく解説していきます。

クレーター肌とは

クレーター肌の定義

クレーター肌とは、肌表面に凹凸ができ、月面のクレーターのように見える状態を指します。医学的には「萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)」と呼ばれ、皮膚の一部が陥没して元に戻らなくなった状態です。

最も多い原因はニキビ跡ですが、水痘(水ぼうそう)の跡や外傷による瘢痕なども含まれます。特に思春期に重症なニキビを経験した方に多く見られ、20代以降も長く悩み続けるケースが少なくありません。

一般的なニキビ跡との違い

ニキビ跡には大きく分けて3つのタイプがあります。

1. 赤みや色素沈着 ニキビの炎症後に残る赤みや茶色いシミ。これらは時間とともに薄くなることが多く、適切なスキンケアやビタミンC誘導体などで改善が期待できます。

2. 肥厚性瘢痕・ケロイド ニキビ跡が盛り上がってしまう状態。赤く硬い隆起として残ります。

3. 萎縮性瘢痕(クレーター肌) 本コラムで扱う、肌が凹んでしまった状態です。色素沈着と異なり、皮膚の構造自体が変化しているため、スキンケアだけでの改善は困難です。

クレーター肌は、真皮層のコラーゲンやエラスチンが破壊・変性し、皮膚組織が失われた結果として生じます。そのため、表面的なケアではなく、真皮層へのアプローチが必要となります。

クレーター肌ができる原因

ニキビによる炎症

クレーター肌の原因として最も多いのが、ニキビによる炎症です。特に以下のようなケースでクレーターが形成されやすくなります。

炎症性ニキビの悪化 赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を伴うニキビが長期化・重症化すると、炎症が真皮層にまで達します。真皮層には肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンが存在しますが、強い炎症によってこれらが破壊されてしまいます。

繰り返すニキビ 同じ場所に何度もニキビができると、その部分の皮膚組織がダメージを蓄積し、クレーター化しやすくなります。特にフェイスラインや頬は繰り返しやすい部位です。

ニキビの自己処理 ニキビを潰したり、無理に芯を出そうとしたりすると、周囲の組織にまでダメージが及びます。爪や不衛生な器具での処理は、炎症を悪化させる最大の要因です。

皮膚組織の破壊メカニズム

クレーター肌が形成される過程を詳しく見ていきましょう。

1. 炎症の発生 毛穴に詰まった皮脂や角質を栄養源として、アクネ菌が増殖します。アクネ菌は炎症を引き起こす物質を産生し、周囲の組織に炎症が広がります。

2. 真皮層へのダメージ 炎症が表皮を超えて真皮層に達すると、コラーゲン繊維やエラスチン繊維が破壊されます。同時に、炎症細胞から放出される酵素が組織を溶かしていきます。

3. 異常な治癒過程 通常、傷は線維芽細胞が新しいコラーゲンを作り出すことで治癒します。しかし、広範囲のダメージや繰り返す炎症により、正常な修復が行われず、瘢痕組織として固まってしまいます。

4. 組織の収縮 瘢痕組織は硬く収縮する性質があり、周囲の正常な皮膚を引き込むことで陥没が生じます。これがクレーターの正体です。

その他の原因

水痘(水ぼうそう) 水痘のウイルス感染により、皮膚に水疱ができます。これを掻きむしったり、細菌感染を併発したりすると、クレーター状の瘢痕が残ることがあります。

外傷・熱傷 深い傷や火傷は、真皮層にダメージを与えるため、治癒後にクレーター状の瘢痕を残すことがあります。

毛孔性苔癬の合併症 二の腕や太ももにできやすい毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)を無理に剥がしたり掻いたりすると、クレーター状の跡が残る場合があります。

クレーター肌の種類と特徴

クレーター肌は、その形状によって大きく3つのタイプに分類されます。治療法もタイプによって異なるため、自分のクレーターがどのタイプかを知ることが重要です。

アイスピック型

特徴

  • 直径2mm以下の非常に小さな穴
  • V字型で深く鋭い陥没
  • 針で刺したような見た目
  • 顔の中でも特に頬に多い

発生メカニズム 毛穴が深く炎症し、毛包全体が破壊されることで生じます。深さに対して開口部が狭いため、最も治療が難しいタイプです。

治療の難易度 高い。深部まで届く治療が必要となります。

ローリング型

特徴

  • 直径4~5mm以上の比較的大きな陥没
  • U字型またはM字型で、なだらかな凹み
  • 波打つような見た目
  • 光の当たり方で目立ち方が変わる

発生メカニズム 真皮深層と皮下組織の間に線維性の癒着(ゆちゃく)が生じ、皮膚を下方に引き込むことで発生します。広範囲のニキビ炎症の結果として生じることが多いです。

治療の難易度 中程度。皮下の癒着を解除することで改善が期待できます。

ボックスカー型

特徴

  • 直径1.5~4mm程度
  • U字型で、底が平らな箱型の陥没
  • 側面がほぼ垂直に切り立っている
  • 比較的浅いものから深いものまで様々

発生メカニズム 炎症によって真皮のコラーゲンが広範囲に失われ、陥没部分が瘢痕組織で埋められることで形成されます。

治療の難易度 中程度。深さによって治療法を選択します。

混合型

実際には、これら3つのタイプが混在しているケースが最も多く見られます。同じ顔の中でも、頬にアイスピック型、顎にボックスカー型といった具合に、部位によって異なるタイプが併存します。

治療においては、それぞれのクレーターのタイプを見極め、最適な方法を組み合わせることが重要となります。

クレーター肌を予防するには

クレーター肌は一度できてしまうと完全に元通りにすることは困難です。そのため、予防が何より重要となります。

ニキビを作らない・悪化させない

正しい洗顔

  • 1日2回(朝・夜)、泡立てた洗顔料で優しく洗う
  • 熱いお湯は避け、ぬるま湯(32~36度)で洗い流す
  • タオルでゴシゴシ拭かず、押さえるように水分を取る

適切な保湿 乾燥は皮脂の過剰分泌を招きます。ニキビ肌用のさっぱりした化粧水と乳液で、しっかり保湿しましょう。

生活習慣の改善

  • 十分な睡眠(7~8時間)を確保する
  • バランスの取れた食事を心がける
  • 糖質や脂質の過剰摂取を避ける
  • ストレスをため込まない
  • 適度な運動で代謝を促進する

ニキビを潰さない・触らない

これが最も重要です。ニキビを潰すことで得られるメリットは何もなく、クレーター化のリスクだけが高まります。

なぜ潰してはいけないのか

  • 炎症が周囲に広がる
  • 細菌感染のリスクが高まる
  • 真皮層へのダメージが深くなる
  • 治癒過程で異常な瘢痕が形成される

どうしても気になる場合 皮膚科で適切な処置を受けましょう。医療機関では、滅菌された器具を使い、適切な深さで内容物を排出することができます。

早期の皮膚科受診

受診のタイミング

  • ニキビが赤く腫れて痛みがある
  • 同じ場所に繰り返しできる
  • 市販薬で2週間経っても改善しない
  • ニキビが広範囲に広がっている

早期治療のメリット 炎症が軽いうちに適切な治療を受けることで、真皮層へのダメージを最小限に抑えられます。保険診療で受けられる治療も多くあります。

保険適用の治療例

  • 抗生物質の内服・外用
  • ビタミン剤の処方
  • 面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)
  • レチノイド外用薬

紫外線対策

紫外線は炎症を悪化させ、色素沈着を引き起こします。

日常的な対策

  • 日焼け止め(SPF30以上、PA+++以上)を毎日使用
  • 帽子や日傘も併用
  • ニキビ肌用のノンコメドジェニック処方を選ぶ
  • 2~3時間おきに塗り直す

クレーター肌の治療方法

クレーター肌の治療には、様々な選択肢があります。それぞれの方法には特徴があり、クレーターのタイプや深さ、患者さんの希望によって最適な治療法が異なります。

レーザー治療

レーザー治療は、クレーター肌治療の中心的な役割を果たしています。

フラクショナルレーザー

仕組み 皮膚に微細な穴を無数に開け、創傷治癒反応を利用して新しいコラーゲンの生成を促します。「点状」にレーザーを照射するため、治療していない正常な皮膚が残り、回復が早いのが特徴です。

種類

  1. 炭酸ガス(CO2)フラクショナルレーザー
    • 比較的深くまで作用
    • ダウンタイムは7~10日程度
    • 効果が実感しやすい
  2. エルビウムヤグレーザー
    • CO2より浅い層に作用
    • ダウンタイムが短い(3~5日程度)
    • より繊細な治療が可能

適応 アイスピック型以外のすべてのタイプに有効。特にボックスカー型、ローリング型に効果的です。

治療回数 通常3~5回程度。1~2ヶ月間隔で行います。

注意点

  • 照射後は赤みや腫れが生じる
  • かさぶたができることがある
  • 適切なアフターケアが必要

ピコフラクショナルレーザー

仕組み ピコ秒(1兆分の1秒)という超短時間でレーザーを照射します。熱ダメージが少なく、従来のレーザーよりもダウンタイムが短いのが特徴です。

メリット

  • ダウンタイムが短い(2~3日程度)
  • 痛みが少ない
  • 色素沈着のリスクが低い
  • クレーター改善と同時に美肌効果も

デメリット

  • 従来のフラクショナルレーザーより効果はマイルド
  • 複数回の治療が必要(5~10回程度)
  • 費用が比較的高額

ダーマペン

仕組み 極細の針で皮膚に無数の微細な穴を開け、創傷治癒反応を促進します。針の深さを調整できるため、クレーターの深さに応じた治療が可能です。

特徴

  • 針の深さ:0.2mm~3.0mm
  • ダウンタイムは3~7日程度
  • 痛みは麻酔クリームで軽減可能
  • 成長因子や薬剤を併用することで効果向上

ダーマペン4の進化 最新の「ダーマペン4」は、16本の極細針を搭載し、1秒間に1920個の穴を開けることができます。従来モデルより痛みが少なく、より均一な治療が可能になりました。

適応 すべてのタイプのクレーターに対応可能。特にボックスカー型、ローリング型に効果的です。

併用療法

  • 成長因子(グロースファクター):コラーゲン生成を強力に促進
  • マッサージピール(PRX-T33):TCA(トリクロロ酢酸)による真皮活性化
  • ヒアルロン酸:即効性のある陥没の改善

サブシジョン(皮下剥離術)

仕組み 特殊な針を用いて、皮膚と皮下組織の癒着を剥離します。癒着が解除されることで、引き込まれていた皮膚が持ち上がります。

適応 ローリング型クレーターに最も効果的です。皮下の線維性癒着が原因の陥没に対して根本的な治療となります。

手順

  1. 局所麻酔を行う
  2. 特殊な針をクレーターの下に挿入
  3. 針を前後に動かして癒着を剥離
  4. 剥離した空間に自然にコラーゲンが満たされる

治療後の経過

  • 内出血が生じる(1~2週間で消失)
  • 腫れは数日で引く
  • 効果は徐々に現れ、3ヶ月後に最大となる

他の治療との併用 サブシジョンで癒着を解除した後、ヒアルロン酸注入やフラクショナルレーザーを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

TCAクロス

仕組み 高濃度のTCA(トリクロロ酢酸)を、アイスピック型クレーターの底に直接塗布します。薬剤の化学的作用で表皮が破壊され、創傷治癒反応により新しい皮膚が再生します。

適応 主にアイスピック型クレーターに使用されます。他の治療では届きにくい、深く狭いクレーターに有効です。

濃度 通常、TCA 50~100%の高濃度を使用します。

治療の流れ

  1. クレーターの底を清潔にする
  2. つまようじなどでTCAをクレーター底にのみ塗布
  3. 薬剤が白く変色する(フロスティング)
  4. 自然に治癒するのを待つ

注意点

  • 施術者の技術が必要
  • 周囲の正常な皮膚に付着しないよう注意
  • 1回で改善は限定的で、複数回必要
  • 2~4週間間隔で繰り返す

ヒアルロン酸注入

仕組み クレーターの陥没部分にヒアルロン酸を直接注入し、物理的に凹みを持ち上げます。

適応 ボックスカー型、ローリング型の比較的浅いクレーターに効果的です。アイスピック型には不向きです。

メリット

  • 即効性がある
  • ダウンタイムがほとんどない
  • 治療時間が短い(15~30分程度)

デメリット

  • 効果は一時的(6~12ヶ月程度)
  • 深いクレーターには効果が限定的
  • 繰り返しの注入が必要
  • コストがかかる

使用されるヒアルロン酸 クレーター治療には、比較的硬めで持続期間の長いヒアルロン酸が使用されます。近年では、より長期間持続する製剤も登場しています。

PRP療法(多血小板血漿療法)

仕組み 患者さん自身の血液から血小板を高濃度に濃縮したPRP(多血小板血漿)を取り出し、クレーターに注入します。血小板に含まれる成長因子が組織修復を促進します。

メリット

  • 自己血液由来でアレルギーリスクが低い
  • 自然な仕上がり
  • 他の治療との併用で相乗効果

治療の流れ

  1. 採血(10~20ml程度)
  2. 遠心分離でPRPを抽出
  3. ダーマペンやマイクロニードリングと併用して注入
  4. または直接注射で注入

効果の発現 徐々に効果が現れ、3~6ヶ月かけて改善していきます。

ケミカルピーリング

仕組み 化学薬剤を用いて古い角質や表皮を剥離し、肌のターンオーバーを促進します。

使用される薬剤

  • グリコール酸:比較的マイルド
  • サリチル酸:毛穴の奥まで浸透
  • TCA(トリクロロ酢酸):深い層まで作用

クレーター肌への効果 ケミカルピーリング単独では、深いクレーターの改善は期待できません。しかし、浅いクレーターや凹凸の境界をなだらかにする効果があります。また、他の治療の補助として有効です。

治療頻度 2~4週間に1回、定期的に継続することが推奨されます。

治療の選び方と組み合わせ

クレーターのタイプ別推奨治療

アイスピック型

  1. TCAクロス
  2. レーザーアブレーション(部分的な削皮)
  3. パンチエクシジョン(切除術)
  4. フラクショナルレーザー

ローリング型

  1. サブシジョン
  2. ヒアルロン酸注入
  3. フラクショナルレーザー
  4. ダーマペン

ボックスカー型

  1. フラクショナルレーザー
  2. ダーマペン
  3. TCAクロス(深い場合)
  4. サブシジョン(深い場合)

併用療法の重要性

クレーター肌の治療では、単一の治療法よりも複数の方法を組み合わせることで、より高い効果が得られることが分かっています。

効果的な組み合わせ例

パターン1:サブシジョン + ヒアルロン酸注入 ローリング型クレーターに対して、まずサブシジョンで癒着を解除し、その直後にヒアルロン酸を注入します。剥離した空間にヒアルロン酸が入り込み、皮膚の持ち上がりが維持されます。

パターン2:フラクショナルレーザー + PRP フラクショナルレーザー照射後、すぐにPRPを塗布または注入します。レーザーで開いた微細な穴からPRPの成長因子が浸透し、コラーゲン生成がより促進されます。

パターン3:ダーマペン + マッサージピール ダーマペンで微細な穴を開けた後、マッサージピール(PRX-T33)を塗布します。TCAが真皮深層まで浸透し、線維芽細胞を強力に刺激します。

パターン4:TCAクロス + フラクショナルレーザー アイスピック型クレーターにTCAクロスを行い、全体的にフラクショナルレーザーを照射します。異なる深さにアプローチすることで、全体的な改善が期待できます。

治療計画の立て方

初回カウンセリングでの確認事項

  • クレーターのタイプと深さ
  • 範囲と数
  • 肌質(脂性、乾燥、混合)
  • 過去の治療歴
  • ダウンタイムの許容度
  • 予算

標準的な治療期間 クレーター肌の改善には、一般的に6ヶ月~2年程度の継続的な治療が必要です。

治療の進め方

  1. 初期段階(1~3ヶ月)
    • 比較的マイルドな治療から開始
    • 肌の反応を確認
    • ダーマペンやマイルドなフラクショナルレーザー
  2. 中期段階(4~12ヶ月)
    • より積極的な治療へ
    • サブシジョンやTCAクロスの導入
    • 複数の治療法の組み合わせ
  3. 維持期(12ヶ月以降)
    • 改善状態の維持
    • 定期的なメンテナンス治療
    • 3~6ヶ月に1回程度

ホームケアと日常生活での注意点

治療後のスキンケア

治療直後(当日~3日)

  • 洗顔は優しく行う(擦らない)
  • 処方された軟膏を塗布
  • 刺激のある化粧品は避ける
  • メイクは医師の許可が出てから

回復期(4日~2週間)

  • 保湿を徹底する
  • 日焼け止めは必須(SPF50+推奨)
  • ビタミンC誘導体美容液の使用
  • ピーリング作用のある化粧品は避ける

維持期

  • 引き続き保湿と紫外線対策
  • レチノール製品の使用検討
  • 定期的な肌診断

おすすめの成分

ビタミンC誘導体 コラーゲン生成を促進し、色素沈着も予防します。APPS(アプレシエ)やピュアビタミンCがおすすめです。

レチノール(ビタミンA) ターンオーバーを促進し、コラーゲン生成を助けます。ただし、刺激が強いため、治療直後は使用を避けましょう。

ナイアシンアミド(ビタミンB3) バリア機能を強化し、炎症を抑えます。敏感肌にも使いやすい成分です。

ペプチド コラーゲンやエラスチンの生成をサポートします。特にパルミトイルペンタペプチドが有効です。

避けるべき行動

治療期間中

  • 喫煙(血流が悪化し、治癒が遅れる)
  • 過度な飲酒(炎症を助長)
  • 激しい運動(直後1週間は避ける)
  • サウナ・温泉(感染リスク)
  • プールや海水浴(感染リスク)

日常的に避けるべきこと

  • 顔を触る癖
  • 頬杖をつく
  • うつ伏せで寝る
  • 不衛生な枕カバーやタオル

食事と生活習慣

積極的に摂りたい栄養素

タンパク質 コラーゲンの原料となります。肉、魚、卵、大豆製品を毎食取り入れましょう。

ビタミンC コラーゲン合成に必須です。野菜や果物から積極的に摂取しましょう。

  • 赤ピーマン、ブロッコリー
  • キウイフルーツ、いちご
  • レモン、オレンジ

ビタミンE 抗酸化作用があり、肌の老化を防ぎます。

  • ナッツ類
  • アボカド
  • 植物油

亜鉛 皮膚の新陳代謝を促進します。

  • 牡蠣、レバー
  • 赤身肉
  • かぼちゃの種

控えめにしたい食品

  • 精製糖質(白米、白パン、お菓子)
  • 揚げ物、ファストフード
  • 過度な乳製品(個人差あり)

生活習慣の改善

  • 質の良い睡眠(22~2時は成長ホルモン分泌のゴールデンタイム)
  • ストレス管理
  • 適度な運動(週3回、30分程度のウォーキングなど)
  • 禁煙

よくある質問

Q1. クレーター肌は完全に治りますか?

残念ながら、クレーター肌を完全に元通りにすることは現代の医療技術でも困難です。しかし、適切な治療を継続することで、目立たなくすることは十分可能です。
多くの患者さんが、50~80%程度の改善を実感されています。特に浅いクレーターや、ボックスカー型、ローリング型のクレーターは改善しやすい傾向にあります。

Q2. 治療費用はどのくらいかかりますか?

治療法によって大きく異なります。

単回あたりの目安(自由診療)

  • ダーマペン:2~5万円
  • フラクショナルレーザー:3~10万円
  • サブシジョン:5~15万円(範囲による)
  • TCAクロス:2~5万円
  • ヒアルロン酸注入:5~10万円

総額は、クレーターの範囲や深さ、選択する治療法によって数十万円~数百万円になることもあります。複数回の治療が必要なため、長期的な視点での予算計画が重要です。

Q3. ダウンタイムが短い治療はありますか?

はい、あります。

ダウンタイムが短い治療(3日以内)

  • ピコフラクショナルレーザー
  • マイルドなダーマペン(針の深さ0.5mm程度)
  • ケミカルピーリング

ダウンタイムが長い治療(7~14日)

  • 炭酸ガスフラクショナルレーザー
  • 深めのダーマペン(2.0mm以上)
  • TCAクロス(高濃度)

ダウンタイムが短い治療は、効果も比較的マイルドな傾向があります。即効性を求めるか、少しずつ改善していくかは、ライフスタイルに合わせて選択しましょう。

Q4. 痛みはありますか?

治療法によって異なりますが、多くの場合、麻酔クリームや局所麻酔を使用するため、痛みはコントロール可能です。

痛みの程度(麻酔あり)

  • ダーマペン:チクチクする程度
  • フラクショナルレーザー:ピリピリとした熱感
  • サブシジョン:圧迫感程度
  • ヒアルロン酸注入:注射のチクッとした痛み

痛みに敏感な方は、事前に医師に相談しましょう。麻酔の種類や量を調整することができます。

Q5. セルフケアで改善できますか?

深いクレーター肌をセルフケアのみで改善することは、残念ながら困難です。クレーターは真皮層の構造的な変化であるため、表面的なケアでは限界があります。

ただし、以下のセルフケアは有効です:

  • 新しいニキビを予防(新たなクレーター形成の防止)
  • 肌質の改善(クレーターが目立ちにくくなる)
  • 浅い色素沈着の改善
  • 治療効果の最大化とメンテナンス

医療機関での治療とホームケアを組み合わせることが、最も効果的なアプローチです。

Q6. どのくらいの期間で効果が出ますか?

治療法によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

即効性のある治療

  • ヒアルロン酸注入:施術直後から効果を実感
  • サブシジョン:2~4週間で徐々に改善

徐々に効果が現れる治療

  • フラクショナルレーザー:1ヶ月後から徐々に、3ヶ月で最大効果
  • ダーマペン:2~3週間後から改善、複数回で効果蓄積
  • TCAクロス:4~8週間で効果
  • PRP:3~6ヶ月かけて徐々に改善

焦らず、長期的な視点で治療に取り組むことが大切です。

Q7. 年齢制限はありますか?

基本的に年齢制限はありませんが、いくつかの考慮点があります。

若年層(10代) ニキビが活発な時期は、まずニキビ治療を優先します。炎症を抑えることが、新たなクレーター形成の予防になります。既存のクレーター治療は、ニキビが落ち着いてから開始するのが一般的です。

成人~中年(20~50代) 最も治療効果が期待できる年齢層です。肌の修復能力も保たれており、治療の選択肢も豊富です。

高齢者(60代以上) 創傷治癒能力がやや低下するため、治療計画を慎重に立てる必要があります。しかし、治療自体は可能です。

Q8. 妊娠中・授乳中でも治療できますか?

基本的に、妊娠中・授乳中の美容治療は推奨されません。

避けるべき理由

  • ホルモンバランスの変化で肌が敏感
  • 色素沈着のリスクが高い
  • 一部の薬剤や麻酔が胎児・乳児に影響を与える可能性
  • 治療後の炎症や痛みがストレスになる

妊娠・授乳期間が終了してから、治療を開始することをお勧めします。その間は、保湿や紫外線対策などのスキンケアに専念しましょう。

Q9. ケロイド体質でも治療できますか?

ケロイド体質の方は、治療によって症状が悪化するリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

リスクの高い治療

  • 深いフラクショナルレーザー
  • サブシジョン
  • パンチエクシジョン(切除術)

比較的安全な治療

  • マイルドなケミカルピーリング
  • ピコフラクショナル(低出力)
  • ヒアルロン酸注入

過去にケロイドができたことがある方は、必ず医師に申告してください。テスト照射を行うなど、慎重なアプローチが必要です。

Q10. 治療を中断するとどうなりますか?

クレーター肌の治療を中断しても、既に得られた改善効果がすぐに失われることはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。

注意点

  • 継続的な治療で得られるはずの追加改善が得られない
  • ヒアルロン酸などの一時的な治療は、効果が徐々に減退
  • メンテナンス治療を行わないと、加齢による肌質低下で目立ちやすくなる可能性

治療の中断が必要な場合(妊娠、転居、経済的理由など)は、医師に相談し、適切な中断方法やホームケアについてアドバイスを受けましょう。

まとめ

クレーター肌は、多くの方が「もう治らない」と諦めてしまう症状です。しかし、適切な治療と継続的なケアによって、目立たなくすることは十分に可能です。

重要なポイント

  1. 予防が最重要 ニキビを作らない、悪化させない、潰さないことが、クレーター肌予防の基本です。
  2. 早期治療が効果的 ニキビの炎症は早めに皮膚科で治療しましょう。炎症が深くなる前に適切な処置を受けることで、クレーター化を防げます。
  3. クレーターのタイプを知る アイスピック型、ローリング型、ボックスカー型など、自分のクレーターがどのタイプかを知ることが、適切な治療選択につながります。
  4. 複数の治療法を組み合わせる 単一の治療法よりも、サブシジョン+ヒアルロン酸、フラクショナルレーザー+PRPなど、複数の方法を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
  5. 長期的な視点を持つ クレーター肌の改善には、6ヶ月~2年程度の継続的な治療が必要です。焦らず、着実に治療を続けることが大切です。
  6. ホームケアも重要 医療機関での治療だけでなく、日々のスキンケア、紫外線対策、生活習慣の改善が、治療効果を高めます。
  7. 専門家に相談 クレーター肌の治療には専門的な知識と技術が必要です。自己判断せず、皮膚科専門医に相談しましょう。

アイシークリニック上野院からのメッセージ

当院では、患者さん一人ひとりの肌状態に合わせた、最適な治療プランをご提案しています。クレーター肌でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

最新の医療機器と豊富な経験を持つ医師が、あなたの肌の悩みに寄り添い、改善へと導きます。諦めていたクレーター肌も、適切な治療で必ず変化を実感していただけます。

まずは無料カウンセリングで、あなたの肌状態を詳しく診察させていただき、最適な治療計画を一緒に立てていきましょう。


参考文献

本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。

  1. 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン」 https://www.dermatol.or.jp/
  2. 日本美容皮膚科学会 https://www.aestheticderma.org/
  3. 日本形成外科学会「瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド治療ガイドライン」 https://www.jsprs.or.jp/
  4. 厚生労働省「eヘルスネット」- ニキビ(にきび) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  5. 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) https://www.amed.go.jp/

※本記事の内容は、2025年10月時点の医学的知見に基づいています。治療法や推奨事項は変更される可能性がありますので、最新の情報については専門医にご相談ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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