原発性腋窩多汗症とは?
原発性腋窩多汗症とは、明らかな原因がないにもかかわらず、腋の下に異常な量の汗をかく疾患です。思春期以降に発症することが多く、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。かつては単なる体質とされがちでしたが、現在では医療機関での診断と治療が可能です。
汗が出やすくなる場面とは
腋汗は、精神的な緊張やストレス、暑さ、運動といったさまざまな刺激によって増える傾向があります。原発性腋窩多汗症の特徴として、気温や運動に関係なく、人前や緊張する場面で汗が出ることが多く、左右対称に発汗することが多い点が挙げられます。
“汗っかき”と多汗症の違い
一般的な“汗っかき”は、暑さや運動などの外的要因で汗が増える現象ですが、原発性腋窩多汗症は、日常的に理由なく過剰な発汗が起こります。以下のような条件に当てはまる場合は、疾患としての診断対象となります:
– 6か月以上続く原因不明の多量の腋汗
– 週1回以上の頻度
– 日常生活への影響
– 左右対称に発汗する
早期発見の重要性
発症は思春期から20代に多く見られます。症状があっても「夏だけの一時的なもの」として我慢されやすいですが、「洋服に汗ジミが目立つ」「緊張すると必ず汗が出る」などの自覚がある場合は受診のサインかもしれません。慢性的な腋汗で悩んでいる場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
診断方法とチェック項目
診断は主に問診と視診で行われ、次のような基準が用いられます:
– 25歳以下での発症
– 左右対称の発汗
– 睡眠中には発汗がない
– 週1回以上の頻度で発汗する
– 家族に同様の症状がある
– 生活に支障が出ている
2つ以上当てはまる場合、原発性腋窩多汗症の可能性が高く、必要に応じてヨウ素デンプン反応試験などの検査も実施されます。
治療方法について
症状の重症度に応じて、以下のような治療法が選択されます:
– 外用薬(塩化アルミニウムなど)
– ボツリヌス注射(交感神経の伝達をブロック)
– 内服薬(抗コリン薬など)
– 手術療法(交感神経遮断術)
これらの治療の多くは保険が適用され、早期に治療を始めることでQOL(生活の質)の大幅な向上が期待されます。
気になったらまず皮膚科へ相談を
「自分は病気ではない」と思い込んで受診を控えている方も多いですが、専門医の診察を受けることで正しい診断と効果的な治療が可能になります。少しでも腋汗に悩みがある方は、恥ずかしがらずにまずは皮膚科へ相談してみましょう。