粉瘤が赤くなったら要注意!炎症のサインと適切な対処法を専門医が解説

はじめに

「最近できた皮膚のしこりが赤くなってきた」「触ると痛みがあって、どんどん腫れてきている」――このような症状に心当たりはありませんか?

皮膚にできる良性腫瘍の一つである粉瘤(ふんりゅう、アテローム)は、通常は肌色や黄白色をしていますが、炎症を起こすと赤く腫れ上がり、強い痛みを伴うことがあります。粉瘤が赤くなるということは、多くの場合、炎症や感染が起きているサインです。

この記事では、粉瘤が赤くなる原因、症状の見分け方、放置した場合のリスク、そして適切な対処法について、皮膚科医の視点から詳しく解説します。粉瘤の赤みに気づいたら、早めの対応が重要です。

粉瘤(アテローム)とは?基本を理解する

粉瘤の定義と特徴

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まってできる良性の腫瘍です。医学用語では「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」や「アテローム(atheroma)」とも呼ばれます。

粉瘤の主な特徴は以下の通りです:

  • 皮膚の下にできる球状のしこり:触るとコロコロと動く感触があります
  • 中心に小さな開口部(ヘソ):黒い点のように見えることがあります
  • 大きさは数ミリから数センチ:放置すると徐々に大きくなることがあります
  • 全身どこにでもできる:特に顔、首、背中、耳の後ろなどに多く見られます
  • 悪臭を放つ内容物:袋の中身は白くてドロッとしており、独特の臭いがします

正常な粉瘤の見た目

炎症を起こしていない通常の粉瘤は、以下のような外観をしています:

  • :肌色、やや黄色がかった色、または白っぽい色
  • 質感:比較的柔らかく、押すと少し動く
  • 痛み:通常は痛みを伴わない
  • 大きさ:ゆっくりと成長するが、急激な変化はない

つまり、粉瘤が赤くなるということは、通常の状態から何らかの変化が起きているサインなのです。

粉瘤が赤くなる原因:炎症と感染のメカニズム

なぜ粉瘤は赤くなるのか?

粉瘤が赤くなる主な原因は、炎症です。炎症が起こると、以下のような身体の反応が現れます:

  1. 血管の拡張:炎症部位に免疫細胞を送り込むため、血管が広がります
  2. 血流の増加:患部への血液供給が増えるため、赤く見えます
  3. 腫れ:血管から液体成分が漏れ出し、組織が腫れます
  4. 熱感:血流増加により、患部が熱を持ちます
  5. 痛み:炎症性物質が神経を刺激します

炎症を引き起こす要因

粉瘤が炎症を起こす原因には、以下のようなものがあります:

1. 細菌感染

最も多い原因です。粉瘤の嚢腫内に細菌(特に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など)が侵入すると、感染を起こして炎症が生じます。

  • 開口部からの感染:粉瘤の中心にある小さな穴から細菌が入り込む
  • 外傷による感染:粉瘤を触ったり圧迫したりすることで細菌が侵入する
  • 皮膚常在菌の侵入:通常は無害な皮膚表面の細菌が内部に入り込む

2. 物理的刺激

  • 圧迫:衣服や下着による継続的な圧迫
  • 摩擦:日常動作による繰り返しの摩擦
  • 外傷:引っかいたり、ぶつけたりすることによる損傷

3. 嚢腫の破裂

粉瘤が大きくなりすぎたり、強い圧力がかかったりすると、袋が破れて内容物が周囲の組織に漏れ出すことがあります。これにより激しい炎症反応が起こります。

4. 自己処置の失敗

「潰してしまおう」と自分で粉瘤を押し出そうとすると、かえって細菌感染を引き起こしたり、嚢腫を破裂させたりして炎症を悪化させることがあります。

炎症性粉瘤と感染性粉瘤の違い

医学的には、炎症の程度によって以下のように分類されます:

炎症性粉瘤(炎症性アテローム)

  • 無菌性の炎症(細菌感染を伴わない)
  • 嚢腫内容物の漏出による化学的刺激
  • 比較的軽度から中等度の症状

感染性粉瘤(感染性アテローム)

  • 細菌感染を伴う炎症
  • 化膿して膿が溜まる(膿瘍形成)
  • より重症で、全身症状を伴うこともある

実際には、両者が混在していることも多く、厳密な区別は難しい場合があります。

赤い粉瘤の症状:段階別に見る変化

粉瘤の炎症は、段階的に進行していきます。それぞれの段階での症状を理解しましょう。

初期段階:軽度の炎症

外観の変化

  • 粉瘤の周囲がほんのり赤みを帯びる
  • わずかに腫れが見られる
  • まだ肌色に近い部分も残っている

触った感じ

  • 少し温かい感じがする
  • 軽く押すと違和感や軽い痛みがある
  • 硬さがやや増している

痛みのレベル

  • 日常生活にはほとんど支障がない
  • 触ったり圧迫したりすると痛む程度

この段階での対応 初期段階であれば、適切な対処により悪化を防げる可能性が高いです。早めに皮膚科を受診することをお勧めします。

中期段階:中等度の炎症

外観の変化

  • 粉瘤全体が鮮やかな赤色に変化
  • 明らかな腫れが見られる
  • 周囲の皮膚も赤くなることがある
  • 触れると熱感がはっきりと分かる

触った感じ

  • 硬く、張りがある
  • 圧痛(押すと痛い)が強くなる
  • 皮膚表面が緊張している

痛みのレベル

  • 何もしなくても痛みを感じることがある(自発痛)
  • 動かすと痛みが増す
  • 夜間に痛みで目が覚めることもある

追加症状

  • 患部が脈打つような感覚
  • 周囲の皮膚の違和感
  • 時に発熱を伴うこともある

この段階での対応 中等度の炎症になると、自然治癒は難しくなります。すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。

重症段階:高度の炎症・膿瘍形成

外観の変化

  • 濃い赤色、または赤紫色に変色
  • 著しい腫れ
  • 皮膚が光沢を帯びて薄くなる
  • 白い部分や黄色い部分が見える(膿が溜まっているサイン)
  • 時に自然に破れて膿が出ることもある

触った感じ

  • 非常に熱い
  • 硬い部分と柔らかい部分が混在(膿瘍形成)
  • 触れるだけで強い痛みがある

痛みのレベル

  • 常時強い痛みがある
  • 夜眠れないほどの痛み
  • 患部の動きや姿勢によって痛みが増強

全身症状

  • 発熱(37.5℃以上)
  • 倦怠感
  • リンパ節の腫れ(炎症が近くのリンパ節に波及)
  • 食欲不振

この段階での対応 重症化した粉瘤は緊急性が高い状態です。すぐに皮膚科または外科を受診してください。場合によっては緊急切開排膿が必要になります。

赤い粉瘤を放置するとどうなる?リスクと合併症

粉瘤が赤くなっているのに放置すると、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

1. 膿瘍の拡大

炎症が進行すると、粉瘤の嚢腫内だけでなく、周囲の組織にも炎症が広がり、大きな膿瘍(膿の塊)を形成します。

  • 広範囲の腫れ:当初の粉瘤よりもはるかに大きく腫れ上がる
  • 激しい痛み:日常生活に大きな支障をきたす
  • 治療の複雑化:単純な切除では対応できなくなる

2. 蜂窩織炎(ほうかしきえん)への進展

細菌感染が皮下組織に広がると、蜂窩織炎という状態になります。

蜂窩織炎の特徴

  • 広範囲にわたる赤み、腫れ、熱感
  • 境界が不明瞭な発赤
  • 高熱を伴うことが多い
  • 入院治療が必要になることもある

蜂窩織炎は迅速な抗生物質治療が必要な疾患であり、重症化すると生命に関わることもあります。

3. 瘻孔(ろうこう)の形成

炎症を繰り返すと、膿が排出されるトンネルのような通路(瘻孔)が皮膚の深部にできることがあります。

  • 慢性化:瘻孔ができると治りにくくなる
  • 再発を繰り返す:一時的に改善しても何度も炎症を起こす
  • 複雑な手術が必要:瘻孔を含めた広範囲の切除が必要になる

4. 瘢痕(はんこん)・ケロイドの形成

炎症が強いと、治癒後に目立つ傷跡が残ります。

  • 陥凹性瘢痕:皮膚がくぼんだ傷跡
  • 肥厚性瘢痕:盛り上がった傷跡
  • ケロイド:特に体質によっては大きく盛り上がる
  • 色素沈着:茶色く跡が残る

5. 敗血症のリスク

極めて稀ですが、感染が血液中に入り込むと敗血症という重篤な状態になる可能性があります。

敗血症の初期症状

  • 高熱(38℃以上)
  • 悪寒・戦慄
  • 頻脈(心拍数が異常に速い)
  • 呼吸が速い
  • 意識レベルの低下

敗血症は命に関わる緊急事態です。上記のような症状が見られたら、すぐに救急外来を受診してください。

6. 悪性腫瘍との鑑別困難性

長年放置した粉瘤は、稀ですが悪性化することがあります。また、そもそも粉瘤だと思っていたものが別の疾患(悪性腫瘍など)である可能性もあります。

赤く腫れた状態では診断が困難になり、適切な治療が遅れるリスクがあります。

赤い粉瘤への対処法:やってはいけないこと

粉瘤が赤くなったとき、間違った対処をすると症状を悪化させてしまいます。以下のような行為は絶対に避けてください。

絶対にやってはいけないこと

1. 自分で潰す・押し出す

危険な理由

  • 感染の拡大:細菌を周囲に広げてしまう
  • 嚢腫の破裂:袋が破れて炎症が悪化する
  • 不完全な除去:内容物を出しても袋が残り再発する
  • 瘢痕形成:傷跡が残りやすくなる

粉瘤を完全に治すには、嚢腫の袋(嚢壁)ごと取り除く必要があります。自己処置では袋を除去できないため、根本的な解決にはなりません。

2. 針やピンで穴を開ける

  • 感染リスク:非衛生的な器具で感染を引き起こす
  • 深部への損傷:血管や神経を傷つける可能性
  • 効果がない:嚢壁が残るため再発する

3. 強く圧迫する、揉む、マッサージする

  • 炎症の悪化:刺激により炎症が増強する
  • 破裂のリスク:内圧が高まって破裂する
  • 痛みの増強:さらに痛みが強くなる

4. 市販の薬を自己判断で使用する

  • 軟膏やクリーム:粉瘤には効果が期待できない
  • 痛み止めの内服:痛みを一時的に和らげるだけで根本解決にならない
  • 消毒薬の多用:正常な皮膚を傷める可能性がある

5. 放置する

「そのうち治るだろう」と考えて放置することも危険です。炎症を起こした粉瘤は自然治癒しにくく、前述のような合併症のリスクが高まります。

応急処置として許容されること

医療機関を受診するまでの間、以下の対処は症状緩和に役立つことがあります:

冷却

  • 清潔なタオルで包んだ保冷剤や氷嚢で患部を冷やす
  • 15-20分程度、適度に冷やす
  • 長時間の冷却は避ける(凍傷のリスク)

安静

  • 患部への刺激を最小限にする
  • 衣服の摩擦を避ける
  • 可能な限り触らない

清潔を保つ

  • 患部を清潔に保つ
  • 汚れた手で触らない
  • 入浴時は石鹸で優しく洗う程度

これらはあくまで一時的な対症療法であり、早期の医療機関受診が最優先です。

医療機関での診断と治療

粉瘤が赤くなった場合、皮膚科または外科での専門的な治療が必要です。

診察の流れ

問診

医師は以下のような質問をします:

  • いつから赤くなったか
  • 痛みの程度や性質
  • 以前からしこりがあったか
  • 過去に同じような症状があったか
  • 触ったり圧迫したりしたか
  • 発熱などの全身症状はあるか

視診・触診

  • 赤みの範囲と程度を確認
  • 腫れの大きさを測定
  • 熱感の有無をチェック
  • 硬さや波動感(膿が溜まっている感触)を確認
  • 周囲のリンパ節の腫れを確認

必要に応じた検査

血液検査

  • 炎症の程度(白血球数、CRP値)を評価
  • 全身的な感染の有無を確認

超音波検査(エコー)

  • 嚢腫の大きさと深さを評価
  • 膿瘍形成の有無を確認
  • 周囲組織への炎症の広がりを確認

細菌培養検査

  • 膿から細菌を同定
  • 適切な抗生物質を選択するため

治療方法

炎症を起こした粉瘤の治療は、炎症の程度によって異なります。

保存的治療(軽度の炎症の場合)

抗生物質の投与

内服薬または点滴による抗生物質投与が行われます。

一般的に使用される抗生物質:

  • セフェム系抗生物質
  • ペニシリン系抗生物質
  • マクロライド系抗生物質

投与期間は通常5-7日程度ですが、症状により調整されます。

抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で痛みと炎症を軽減します。

局所処置

  • 消毒
  • 抗生物質含有軟膏の塗布
  • 適切な被覆

経過観察

数日から1週間程度で炎症が軽減することが期待されます。改善が見られない場合は、次の段階の治療を検討します。

外科的治療

切開排膿術(せっかいはいのうじゅつ)

膿が溜まっている場合、切開して膿を排出します。

処置の流れ:

  1. 局所麻酔を行う
  2. 皮膚を小さく切開する
  3. 膿を排出する
  4. 洗浄する
  5. ドレーン(排膿管)を留置することもある
  6. ガーゼで覆う

切開排膿後は、抗生物質の投与を継続し、定期的に洗浄と処置を行います。

注意点 切開排膿は炎症を抑えるための緊急処置であり、粉瘤を根治する治療ではありません。嚢腫の袋は残っているため、炎症が落ち着いた後に根治手術が必要になります。

待機的摘出術

炎症が完全に治まった後(通常は1-3ヶ月後)、粉瘤を袋ごと完全に摘出する手術を行います。

くり抜き法(ミニマル・インシジョン法)

炎症の程度が比較的軽い場合や、炎症が治まった後に適用できる方法です。

手術の流れ:

  1. 局所麻酔
  2. 専用のパンチで小さな穴を開ける(4-8mm程度)
  3. 嚢腫の内容物を絞り出す
  4. 嚢壁を摘出
  5. 傷を縫合するか、そのまま治癒させる

利点:

  • 傷跡が小さい
  • 手術時間が短い(15-30分程度)
  • 日帰り手術が可能

全摘出術

大きな粉瘤や複雑な場合は、切開して袋ごと完全に摘出します。

手術の流れ:

  1. 局所麻酔(または必要に応じて全身麻酔)
  2. 粉瘤を含む皮膚を紡錘形に切開
  3. 嚢腫を周囲組織から剥離
  4. 完全に摘出
  5. 傷を縫合

利点:

  • 再発率が非常に低い
  • 確実に除去できる

欠点:

  • 傷跡が比較的大きい
  • 手術時間が長い(30分-1時間程度)

手術後のケア

創部の管理

  • 定期的なガーゼ交換
  • 抗生物質軟膏の塗布
  • 清潔を保つ

抜糸 縫合した場合、顔では5-7日後、体では10-14日後に抜糸します。

経過観察 術後数週間から数ヶ月、傷の治り具合を確認します。

日常生活の注意

  • 激しい運動は1-2週間控える
  • 患部を濡らさないようにする(または医師の指示に従う)
  • 処方された薬を指示通りに服用する

粉瘤の予防と再発防止

粉瘤の発生を完全に防ぐことは難しいですが、炎症を予防したり、早期発見したりすることは可能です。

炎症を予防するための日常ケア

1. 清潔を保つ

  • 毎日の入浴・シャワーで皮膚を清潔に保つ
  • 優しく洗う(強くこすらない)
  • 汗をかいたら早めに拭き取る

2. 刺激を避ける

  • きつい衣服や下着を避ける
  • 粉瘤がある部位への摩擦を減らす
  • 触らない、いじらない

3. 圧迫を避ける

  • 長時間の同じ姿勢を避ける
  • ベルトやカバンの紐が当たる部位に注意
  • 就寝時の体勢にも配慮

4. 保湿ケア

  • 乾燥は皮膚バリア機能を低下させる
  • 適度な保湿で皮膚を健康に保つ

5. 免疫力の維持

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理
  • 適度な運動

早期発見のためのセルフチェック

定期的に皮膚を観察し、以下の変化に気づいたら早めに受診しましょう:

チェックポイント

  • 新しいしこりができていないか
  • 既存のしこりが大きくなっていないか
  • 色の変化はないか(赤みなど)
  • 痛みや違和感はないか
  • 周囲の皮膚に変化はないか

再発を防ぐために

粉瘤の手術後も、別の場所に新たな粉瘤ができる可能性はあります。

再発予防のポイント

  • 術後の傷をしっかり治す
  • 医師の指示に従った生活を送る
  • 定期的な皮膚のセルフチェック
  • 気になる変化があれば早めに受診

嚢腫が残っている場合の再発 切開排膿だけで終わった場合や、不完全な摘出だった場合、同じ場所に再発する可能性があります。再発を繰り返す場合は、根治的な全摘出術を検討しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 粉瘤が赤くなったら、すぐに病院に行くべきですか?

A: はい、できるだけ早く皮膚科または外科を受診することをお勧めします。赤みは炎症のサインであり、放置すると悪化する可能性が高いです。特に以下の症状がある場合は緊急性が高いです:

  • 急速に腫れが大きくなっている
  • 強い痛みがある
  • 発熱がある
  • 赤みが広がっている

Q2: 休日や夜間に赤く腫れてきた場合はどうすればいいですか?

A: 以下の症状がある場合は、休日・夜間診療所や救急外来の受診を検討してください:

  • 高熱(38℃以上)
  • 耐えられないほどの痛み
  • 急速な腫れの拡大
  • 全身状態の悪化

軽度の場合は、患部を冷やして安静にし、翌診療日に受診しましょう。

Q3: 抗生物質を飲めば治りますか?手術は必要ないですか?

A: 抗生物質は炎症や感染を抑えるための治療であり、粉瘤そのものを治すものではありません。嚢腫の袋が残っている限り、炎症が治まっても再発する可能性があります。根治するためには、炎症が落ち着いた後に袋ごと摘出する手術が必要です。

Q4: 赤い粉瘤と、ニキビや他の皮膚疾患との見分け方は?

A: 以下の特徴があれば粉瘤の可能性が高いです:

  • 中心に小さな黒い点(開口部)がある
  • 触ると丸いしこりがある
  • 以前から同じ場所にしこりがあった
  • 押すと白っぽい内容物が出ることがある(臭いがある)

ただし、自己判断は危険です。確実な診断のために医療機関を受診してください。

Q5: 粉瘤は癌になることがありますか?

A: 粉瘤自体は良性の腫瘍であり、基本的には癌化しません。しかし、極めて稀に長年放置した粉瘤が悪性化する報告があります。また、粉瘤だと思っていたものが実は別の疾患(脂肪腫、線維腫、悪性腫瘍など)であることもあります。

心配な場合や、以下のような変化がある場合は必ず受診しましょう:

  • 急速に大きくなる
  • 硬くなる
  • 表面が潰瘍化する
  • 出血する

Q6: 保険は適用されますか?費用はどのくらいかかりますか?

A: 粉瘤の診察と治療は、基本的に健康保険が適用されます。

おおよその費用(3割負担の場合):

  • 初診・診察料:約1,000-2,000円
  • 抗生物質などの薬代:約1,000-3,000円(処方内容により異なる)
  • 切開排膿:約3,000-6,000円
  • 粉瘤摘出手術:約5,000-20,000円(大きさや方法により異なる)

正確な費用は、治療内容や医療機関によって異なりますので、受診時に確認してください。

Q7: 手術後の傷跡は残りますか?

A: 手術の方法や部位、個人の体質によって異なります。

  • くり抜き法:比較的小さな傷跡(4-8mm程度)
  • 全摘出術:線状の傷跡(粉瘤の大きさにより異なる)

傷跡を最小限にするために:

  • 炎症を起こす前に手術を受ける
  • 熟練した医師に手術してもらう
  • 術後のケアをしっかり行う
  • ケロイド体質の場合は事前に医師に伝える

Q8: 再発することはありますか?

A: 再発の可能性は治療方法によって異なります:

  • 切開排膿のみ:嚢腫の袋が残っているため、高確率で再発
  • 不完全な摘出:袋の一部が残ると再発の可能性あり
  • 完全な摘出:再発率は非常に低い(5%未満)

ただし、同じ場所の再発でなくても、別の場所に新たな粉瘤ができることはあります。

Q9: 粉瘤ができやすい体質はありますか?

A: 粉瘤の明確な遺伝性は確立されていませんが、以下のような傾向が指摘されています:

  • 家族に粉瘤がある人
  • 男性(やや多い傾向)
  • 脂性肌の人
  • 思春期以降の成人

ただし、誰にでもできる可能性がある一般的な良性腫瘍です。

Q10: 粉瘤ができる場所に特徴はありますか?

A: 粉瘤は全身のどこにでもできますが、特に多い部位は:

  • 顔(特に頬、額、顎)
  • 背中
  • 耳の後ろ
  • 陰部周辺

毛包(毛穴)がある場所にできやすい傾向があります。

まとめ:赤い粉瘤は早期受診が重要

重要ポイントの再確認

  1. 粉瘤が赤くなるのは炎症・感染のサイン
    • 通常の粉瘤は肌色〜黄白色
    • 赤みは異常な状態を示している
  2. 赤い粉瘤を放置すると深刻な合併症のリスク
    • 膿瘍の拡大
    • 蜂窩織炎への進展
    • 瘢痕の形成
    • 極めて稀だが敗血症の可能性
  3. 自己処置は厳禁
    • 潰す、針で刺す、圧迫する行為は症状を悪化させる
    • 根治には嚢腫の袋ごと除去する必要がある
  4. 早期受診が最善の対策
    • 炎症の初期段階であれば保存的治療で改善可能
    • 重症化する前の治療が傷跡を最小限にする
    • 専門医による適切な診断と治療が不可欠
  5. 根治には手術が必要
    • 抗生物質は一時的な改善にすぎない
    • 炎症が治まった後の摘出手術で再発を防ぐ

受診のタイミング

以下の症状があれば、すぐに医療機関を受診してください:

緊急性が高い症状

  • 高熱(38℃以上)
  • 急速な腫れの拡大
  • 耐えられない痛み
  • 意識障害や全身状態の悪化

早めの受診が望ましい症状

  • 粉瘤が赤くなってきた
  • 痛みが出てきた
  • 熱感がある
  • 徐々に大きくなっている

最後に

粉瘤は非常に一般的な皮膚疾患であり、適切に対処すれば深刻な問題になることはほとんどありません。しかし、「たかが粉瘤」と軽視して炎症を放置すると、痛みや合併症のリスクが高まります。

赤くなった粉瘤は身体からの警告サインです。自己判断や民間療法に頼らず、早めに皮膚科または外科の専門医を受診しましょう。

当院(アイシークリニック上野院)では、粉瘤の診断から治療まで、患者様一人ひとりの状態に応じた適切な医療を提供しています。粉瘤でお悩みの方、赤く腫れて痛みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


参考文献

本記事の作成にあたり、以下の信頼できる医学的情報源を参照しました:

  1. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
    https://www.dermatol.or.jp/qa/
  2. 日本形成外科学会
    https://www.jsprs.or.jp/
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「表皮嚢腫」
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル
  4. 日本臨床皮膚科医会
    https://www.jocd.org/
  5. 厚生労働省「医療情報提供サービス」
    https://www.mhlw.go.jp/

※本記事の情報は執筆時点でのものです。医療情報は常に更新されていますので、最新の情報については医療機関でご確認ください。


※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の症状に対する診断や治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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