はじめに
「昼間は平熱なのに、夜になると急に発熱する」「夜だけ熱が出てつらいけれど、朝には下がっている」——このような症状に悩まされた経験はありませんか?特にインフルエンザが流行する季節になると、このような夜間の発熱パターンを訴える患者さんが増えてきます。
日中は元気に過ごせているのに、夜になると突然38度以上の高熱が出て、翌朝にはまた下がっている。こうした症状が続くと、「これは本当にインフルエンザなのか?」「病院に行くべきなのか?」と不安になる方も多いでしょう。
本記事では、インフルエンザで夜だけ熱が出る現象について、その医学的なメカニズムから具体的な対処法まで、アイシークリニック上野院の医療知見に基づいて詳しく解説していきます。

インフルエンザの基本知識
インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。一般的な風邪とは異なり、高熱や全身症状を伴うことが特徴で、毎年冬季を中心に流行します。
厚生労働省によると、日本では毎年約1,000万人がインフルエンザに罹患しており、特に高齢者や基礎疾患を持つ方では重症化のリスクが高いとされています。
インフルエンザの主な症状
インフルエンザの典型的な症状には以下のものがあります:
- 38度以上の高熱
- 悪寒・寒気
- 全身倦怠感
- 筋肉痛・関節痛
- 頭痛
- 咳・のどの痛み
- 鼻水・鼻づまり
これらの症状は通常、ウイルス感染後1〜3日の潜伏期間を経て突然出現します。風邪と比較して、全身症状が強く現れることが特徴的です。
インフルエンザの種類
インフルエンザウイルスには主にA型、B型、C型の3種類があり、流行を引き起こすのは主にA型とB型です。
A型インフルエンザは変異しやすく、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こす可能性があります。症状も比較的重症化しやすい傾向にあります。B型インフルエンザはA型ほど変異しませんが、やはり毎年流行を繰り返します。
国立感染症研究所の情報によれば、近年はA型とB型が混在して流行することも多く、シーズン中に複数回罹患する可能性もあります。
なぜ夜に熱が上がるのか?医学的メカニズム
体温の日内変動
人間の体温は1日の中で一定ではなく、自然な変動があります。これは体内時計(サーカディアンリズム)によって制御されており、健康な人でも以下のようなパターンを示します:
- 早朝(午前4〜6時頃): 最も体温が低い
- 午後(午後4〜6時頃): 最も体温が高い
- 夜間: 徐々に体温が低下
この日内変動の幅は通常0.5〜1.0度程度ですが、個人差があります。つまり、健康な状態でも夕方から夜にかけては体温がやや高めになる傾向があるのです。
感染時の免疫反応と体温調節
インフルエンザウイルスに感染すると、体の免疫システムが活性化します。この過程で重要な役割を果たすのが「サイトカイン」と呼ばれる物質です。
サイトカインは免疫細胞が産生する情報伝達物質で、炎症反応や発熱を引き起こします。興味深いことに、サイトカインの産生量にも日内リズムがあり、夜間に増加する傾向があることが研究で明らかになっています。
具体的には:
- 昼間は交感神経が優位で活動的な状態
- 夜間は副交感神経が優位になり、免疫機能が活性化
- 免疫細胞の活動が活発になると、サイトカイン産生が増加
- サイトカインが視床下部の体温調節中枢に作用
- 発熱が促進される
このメカニズムにより、感染症では夜間に発熱しやすくなるのです。
コルチゾールの日内変動の影響
副腎皮質から分泌されるホルモン「コルチゾール」も、夜間の発熱パターンに関係しています。
コルチゾールには抗炎症作用があり、日中(特に朝)に分泌量が多く、夜間には減少します。コルチゾールが減少する夜間は、相対的に炎症反応が強くなりやすく、発熱も起こりやすくなります。
つまり:
- 日中: コルチゾール高値 → 炎症抑制 → 発熱しにくい
- 夜間: コルチゾール低値 → 炎症抑制が弱まる → 発熱しやすい
このホルモンの日内変動も、夜だけ熱が出る現象に関与していると考えられています。
自律神経系の切り替わり
自律神経系は交感神経と副交感神経のバランスで成り立っており、1日の中で優位性が切り替わります。
日中は交感神経が優位で:
- 活動的な状態
- 体温が上昇しやすい(筋肉活動による)
- しかし発熱反応は相対的に抑制
夜間は副交感神経が優位で:
- 休息・回復の状態
- 免疫機能が活性化
- 発熱反応が起こりやすい
この自律神経の切り替わりも、夜間の発熱パターンに影響を与えています。
「夜だけ熱が出る」パターンの特徴
典型的な経過
インフルエンザで夜だけ熱が出るパターンは、以下のような経過をたどることが多いです:
第1〜2日目:
- 日中は微熱程度(37度台)または平熱
- 夕方から夜にかけて急激に38〜40度の高熱
- 悪寒や関節痛、頭痛を伴う
- 翌朝には37度台まで下がる
第3〜4日目:
- 日中の微熱が続く
- 夜間の発熱のピークは徐々に低下
- 全身症状も軽減傾向
第5日目以降:
- 夜間の発熱も軽減
- 咳などの呼吸器症状が残ることがある
このような波状のパターンは、体の免疫反応とウイルスの増殖サイクルが関係していると考えられます。
他の症状との関連
夜だけ熱が出る場合でも、インフルエンザであれば他の症状も伴うことが一般的です:
夜間に現れやすい症状:
- 激しい悪寒(ガタガタと震えるような寒気)
- 発汗(解熱時)
- 筋肉痛・関節痛の増悪
- 頭痛の悪化
- 全身倦怠感
日中も続く症状:
- 咳(乾いた咳が多い)
- のどの痛み
- 軽度の鼻水
- 食欲不振
- だるさ
夜間だけ高熱が出ても、これらの症状が伴っていればインフルエンザの可能性が高いといえます。
子どもと大人での違い
夜間の発熱パターンには、年齢による違いも見られます。
子どもの場合:
- より高熱になりやすい(39〜40度も珍しくない)
- 発熱時の症状変化が顕著
- 朝になると元気に見えることも多い
- 熱性けいれんのリスクに注意が必要
大人の場合:
- 発熱のピークは子どもよりやや低めのことも
- 全身倦怠感が強く持続しやすい
- 仕事や日常生活への影響が大きい
- 基礎疾患がある場合は重症化リスク
高齢者の場合:
- 発熱反応が弱いこともある
- 夜間の発熱パターンが不明瞭なことも
- 肺炎などの合併症リスクが高い
- 早期の医療機関受診が重要
インフルエンザか他の病気か?見分け方
インフルエンザの可能性が高いケース
以下の条件が揃っている場合、インフルエンザの可能性が高いと考えられます:
- 流行時期である(通常11月〜3月頃)
- 周囲にインフルエンザ患者がいる
- 急激な発症(突然の高熱)
- 38度以上の高熱
- 全身症状が強い(筋肉痛、関節痛、倦怠感)
- 呼吸器症状がある
これらの特徴に加えて、夜間に発熱のピークがあるパターンを示す場合は、インフルエンザである可能性が非常に高いといえます。
他の病気との鑑別
夜だけ熱が出る症状は、インフルエンザ以外の疾患でも見られることがあります。
風邪(普通感冒):
- 発熱は通常37〜38度程度
- 全身症状は軽度
- 鼻水、くしゃみ、のどの痛みが主症状
- 徐々に発症することが多い
急性気管支炎:
- 咳が主症状
- 発熱は軽度〜中等度
- 痰を伴う咳が特徴的
扁桃炎:
- のどの強い痛み
- 扁桃の腫れや白苔
- 嚥下時の痛み
尿路感染症:
- 排尿時痛、頻尿
- 腰痛、背部痛
- 高齢者では発熱のみのこともある
結核:
- 微熱が数週間続く
- 夜間の盗汗(寝汗)
- 体重減少、食欲不振
- 慢性的な咳
自己免疫疾患:
- 発熱パターンが不規則
- 関節症状が持続
- 発疹などの皮膚症状
これらの疾患との鑑別には、症状の経過、随伴症状、身体所見などを総合的に評価する必要があります。
検査について
インフルエンザの確定診断には、迅速抗原検査が広く用いられています。
迅速抗原検査の特徴:
- 鼻腔または咽頭を綿棒で拭って検体を採取
- 約15分程度で結果が判明
- 発症後12〜24時間以降の方が検出率が高い
- 感度は60〜90%程度(偽陰性もありうる)
検査のタイミングも重要です。発症直後(発熱から12時間以内)では、ウイルス量が少なく偽陰性になることがあります。夜間に発熱し、翌朝受診する場合は、適切な検査タイミングといえるでしょう。
日本感染症学会のガイドラインでも、臨床症状とあわせて総合的に判断することの重要性が強調されています。
夜間の発熱への対処法
自宅でできる対処法
夜間に発熱した際の基本的な対処法をご紹介します。
水分補給の徹底:
- 発熱時は体内の水分が失われやすい
- こまめに水分を摂取(経口補水液、スポーツドリンク、白湯など)
- 1時間ごとにコップ1杯程度が目安
- 吐き気がある場合は少量ずつ頻回に
体温管理:
- 解熱剤を適切に使用(後述)
- 寒気がある時は保温(毛布などで温める)
- 発汗後は衣服を交換し、快適な温度に保つ
- 部屋の温度は20〜24度程度、湿度50〜60%が理想的
安静と休息:
- 十分な睡眠をとる
- 無理に活動しない
- 体力の消耗を避ける
栄養補給:
- 食欲がなくても消化の良いものを少量ずつ
- おかゆ、うどん、スープなど
- ビタミンCを含む果物(みかん、いちごなど)
- 無理に食べる必要はないが、最低限の栄養は必要
環境整備:
- 部屋の換気を定期的に行う
- 加湿器で適度な湿度を保つ
- 安眠できる環境を整える
解熱剤の使用について
夜間の高熱は非常につらいものです。解熱剤の適切な使用について解説します。
使用の目安:
- 38.5度以上の発熱がある場合
- 全身倦怠感が強く、休息がとれない場合
- 頭痛や筋肉痛で苦痛が強い場合
推奨される解熱剤:
- アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)
- イブプロフェン(大人の場合)
- 小児にはアセトアミノフェンが推奨される
使用上の注意:
- 用法用量を守る
- 空腹時の服用は避ける(胃への負担軽減のため)
- アスピリンは小児に使用しない(ライ症候群のリスク)
- 授乳中、妊娠中は医師に相談
解熱剤の効果は一時的なものであり、根本的な治療ではありません。症状を和らげ、休息をとるための補助的な手段として位置づけましょう。
やってはいけないこと
夜間の発熱時に避けるべき行動もあります:
過度の冷却:
- 氷や冷たいタオルで急激に冷やしすぎない
- かえって悪寒を引き起こすことがある
- ぬるめの水で冷やす程度にとどめる
入浴:
- 高熱時の入浴は体力を消耗する
- シャワーも短時間で済ませる
- 発汗後の体を拭く程度にとどめる
飲酒:
- アルコールは免疫機能を低下させる
- 脱水を助長する
- 薬との相互作用の可能性
無理な活動:
- 発熱時に無理をすると回復が遅れる
- 仕事や学校を休み、安静にする
- 他者への感染を防ぐためにも外出は控える
医療機関を受診すべきタイミング
早急な受診が必要なケース
以下のような症状がある場合は、夜間であっても救急外来の受診を検討すべきです:
呼吸困難:
- 息切れが激しい
- 呼吸が苦しい
- 呼吸回数が異常に多い(成人で1分間に20回以上)
意識障害:
- 呼びかけに応じない
- もうろうとしている
- けいれんを起こしている
脱水症状:
- 尿が出ない(6時間以上)
- 口渇が強い
- 皮膚が乾燥している
小児の場合の危険サイン:
- ぐったりして反応が悪い
- 水分を全く受け付けない
- 異常な興奮状態
- 呼吸が速く苦しそう
高齢者や基礎疾患がある場合:
- 急激な体調悪化
- 持病の症状悪化
- 食事が全くとれない
これらの症状がある場合は、夜間でも速やかに医療機関に連絡し、受診の必要性を相談してください。
翌朝の受診で良いケース
以下のような状況であれば、無理に夜間受診せず、翌朝の受診で対応可能です:
- 38度台の発熱だが、水分摂取ができている
- 全身状態は比較的良好
- 意識はしっかりしている
- 呼吸は正常
- 他に気になる症状がない
ただし、夜間の状態を注意深く観察し、悪化傾向があれば判断を変更する必要があります。
受診時に伝えるべき情報
医療機関を受診する際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです:
発症の経過:
- いつから症状が始まったか
- 最初の症状は何だったか
- 夜間の発熱パターン(何時頃に何度まで上がるか)
体温の記録:
- 朝・昼・夜の体温測定値
- 解熱剤使用の有無とその効果
随伴症状:
- 咳、鼻水、のどの痛みなどの有無
- 嘔吐、下痢などの消化器症状
- 頭痛、筋肉痛などの全身症状
周囲の状況:
- 家族や職場でのインフルエンザ流行
- 最近の人混みへの外出
既往歴・内服薬:
- 持病の有無
- 現在服用している薬
- アレルギーの有無
これらの情報は診断の重要な手がかりとなります。
インフルエンザの治療
抗インフルエンザ薬について
インフルエンザと診断された場合、抗インフルエンザ薬が処方されることがあります。
主な抗インフルエンザ薬:
タミフル(オセルタミビル):
- 内服薬(カプセル、ドライシロップ)
- 1日2回、5日間服用
- 発症48時間以内の開始が効果的
リレンザ(ザナミビル):
- 吸入薬
- 1日2回、5日間使用
- 喘息患者には注意が必要
イナビル(ラニナミビル):
- 吸入薬
- 1回の吸入で治療完了
- 服薬アドヒアランスが良好
ゾフルーザ(バロキサビル):
- 内服薬(錠剤)
- 1回の服用で治療完了
- 新しいタイプの抗ウイルス薬
効果と使用のタイミング:
- 発症から48時間以内に使用開始することが重要
- 発熱期間を1〜2日短縮する効果
- 症状の重症化を予防
- ウイルスの排出期間を短縮
抗インフルエンザ薬は、特に高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方など、重症化リスクが高い場合に積極的に使用が推奨されます。
対症療法
抗インフルエンザ薬以外にも、症状を和らげるための治療が行われます:
解熱鎮痛剤:
- 発熱や痛みの緩和
- アセトアミノフェンが第一選択
咳止め:
- 激しい咳がある場合
- 去痰剤との併用も
点滴:
- 脱水が強い場合
- 経口摂取が困難な場合
漢方薬:
- 麻黄湯などの補助的使用
- 初期症状に効果的なことも
治療期間と回復の見通し
典型的な回復経過:
第1〜3日:
- 高熱と全身症状のピーク
- 夜間の発熱が顕著
- 最もつらい時期
第4〜5日:
- 発熱が徐々に軽減
- 夜間の熱も下がり始める
- 倦怠感は残る
第6〜7日:
- 解熱
- 咳などの呼吸器症状が残ることも
- 徐々に活動を再開
第2週以降:
- ほとんどの症状が消失
- 完全な体力回復にはさらに時間がかかることも
抗インフルエンザ薬を使用した場合、この経過が1〜2日短縮される傾向があります。
夜間発熱時の家族のケア
家族ができるサポート
家族がインフルエンザで夜間に発熱している場合、以下のようなサポートが有効です:
定期的な観察:
- 2〜3時間ごとに様子を確認
- 体温測定と記録
- 異常な症状がないかチェック
水分補給の援助:
- こまめな声かけ
- 飲みやすい温度の飲み物を準備
- 経口補水液の提供
快適な環境作り:
- 部屋の温度・湿度管理
- 衣服や寝具の調整
- 静かで休める環境
食事の準備:
- 消化の良い食事
- 食欲に応じた量
- 栄養バランスへの配慮
感染予防対策
家族内での感染を防ぐことも重要です:
隔離措置:
- 可能であれば別室で療養
- 共有スペースの利用を最小限に
- タオル、食器などは分ける
マスクの着用:
- 患者はマスクを着用
- 看病する家族もマスク着用
- 使用後のマスクは適切に廃棄
手洗いの徹底:
- 看病後は必ず手洗い
- アルコール消毒も併用
- ドアノブなど接触部分の消毒
換気:
- 定期的な換気(1〜2時間に1回)
- 空気の入れ替え
- ウイルス濃度の低減
予防投与の検討:
- 高リスク者(高齢者、基礎疾患のある方など)
- 医師と相談の上、抗インフルエンザ薬の予防投与も選択肢
子どもの夜間発熱時の特別な注意点
お子さんがインフルエンザで夜間に発熱している場合、特に以下の点に注意が必要です:
熱性けいれんへの備え:
- 5歳以下の子どもに多い
- けいれん時の対処法を知っておく
- 衣服をゆるめ、安全な体位に
- けいれんの時間を測定
- 5分以上続く場合は救急要請
異常行動の監視:
- インフルエンザ脳症の可能性
- 意味不明な言動
- 急に走り出すなどの行動
- 異常を感じたらすぐに医療機関へ
水分摂取の工夫:
- 好きな飲み物を用意
- 少量ずつ頻回に
- アイスキャンディーなども活用
- スプーンで一口ずつでも
薬の与え方:
- 体重に応じた適切な用量
- 粉薬が飲めない場合の工夫
- 座薬の使用も検討
インフルエンザの予防
ワクチン接種
インフルエンザ予防の最も効果的な方法は、ワクチン接種です。
接種時期:
- 流行前の10〜11月頃が推奨
- 効果が出るまで約2週間必要
- 効果は約5か月持続
効果:
- 発症リスクを40〜60%低減
- 重症化の予防効果も期待できる
- 完全に防げるわけではないが重要な予防手段
推奨される対象:
- 65歳以上の高齢者
- 6か月以上の乳幼児
- 妊婦
- 慢性疾患のある方
- 医療従事者
接種回数:
- 13歳以上は原則1回
- 13歳未満は2回(2〜4週間隔)
厚生労働省では、特に高齢者や基礎疾患のある方へのワクチン接種を推奨しています。
日常生活での予防
ワクチン以外の予防対策も重要です:
手洗いの励行:
- 外出後、食事前など
- 石鹸で30秒以上かけて丁寧に
- 手指消毒用アルコールも効果的
マスクの着用:
- 人混みでの着用
- 咳エチケットの実践
- 不織布マスクが推奨
うがい:
- 帰宅後のうがい
- 水うがいでも効果あり
- のどの粘膜を潤す
適度な湿度維持:
- 室内湿度50〜60%
- 乾燥はウイルスの生存を助ける
- 加湿器の使用
十分な休養:
- 睡眠不足は免疫力低下につながる
- 1日7〜8時間の睡眠
- 規則正しい生活リズム
バランスの良い食事:
- ビタミンC、D、Eなど
- タンパク質の摂取
- 免疫力を高める食材
人混みを避ける:
- 流行期は不要不急の外出を控える
- 特に高リスク者は注意
- 混雑時間を避ける
体調管理:
- 基礎疾患のコントロール
- 定期的な運動
- ストレス管理
流行期の注意点
インフルエンザの流行期には、以下のような点に特に注意しましょう:
職場・学校での対策:
- 体調不良時は無理をせず休む
- 周囲への感染拡大防止
- リモートワークの活用
公共交通機関利用時:
- マスク着用
- 混雑時は換気の良い場所に
- 手すりなどに触れた後は手洗い
高齢者施設での対策:
- 面会制限の遵守
- 訪問時の体調確認
- 持ち込みウイルスの防止

よくある質問(Q&A)
A: いいえ、夜だけ熱が出るパターンもインフルエンザの症状として十分にありえます。体内時計や免疫反応の日内リズムにより、夜間に発熱しやすいメカニズムがあります。他の症状(咳、のどの痛み、全身倦怠感など)を伴っていれば、インフルエンザの可能性は高いといえます。
A: いいえ、朝に解熱していても受診をお勧めします。夜間に高熱が出ている場合、検査や治療が必要な可能性があります。特に発症から48時間以内であれば、抗インフルエンザ薬の効果が期待できます。また、確定診断を受けることで、適切な療養期間を守ることができ、周囲への感染拡大も防げます。
Q3: 夜間に高熱が出たらすぐに救急病院に行くべきですか?
A: 必ずしもそうではありません。発熱以外に呼吸困難、意識障害、激しい嘔吐などの重篤な症状がなければ、翌朝の受診で問題ないことが多いです。ただし、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は早めの受診を検討してください。判断に迷う場合は、救急相談窓口(#7119など)に電話相談することもできます。
Q4: 解熱剤を使うとインフルエンザの検査が正確にできなくなりますか?
A: 解熱剤を使用しても、インフルエンザウイルスの検出には影響ありません。検査は鼻腔や咽頭のウイルスを検出するものなので、体温に関係なく実施できます。夜間の高熱がつらい場合は、我慢せずに解熱剤を使用し、翌朝受診する際にその旨を医師に伝えてください。
Q5: 何日間熱が続いたら別の病気を疑うべきですか?
A: 通常のインフルエンザであれば、適切な治療を受けた場合、5〜7日程度で解熱します。7日以上高熱が続く場合や、一旦解熱した後に再び発熱する場合は、肺炎などの合併症や別の疾患の可能性があります。このような場合は、再度医療機関を受診することをお勧めします。
Q6: インフルエンザ完治後、いつから普通の生活に戻れますか?
A: 厚生労働省の指針では、発症後5日間、かつ解熱後2日間(幼児は3日間)は外出を控えることが推奨されています。この期間を過ぎ、咳などの症状も軽減していれば、通常の生活に戻ることができます。ただし、完全な体力回復にはさらに数日かかることもあるため、無理は禁物です。
Q7: 家族がインフルエンザになりました。私も必ず感染しますか?
A: 必ずしもそうではありません。適切な感染予防対策(マスク着用、手洗い、隔離など)を行うことで、家族内感染のリススクを大きく減らすことができます。特に看病する方が予防対策を徹底することが重要です。また、ワクチン接種を受けていれば、感染リスクや重症化リスクが低減します。
Q8: インフルエンザの自然治癒は可能ですか?
A: はい、健康な成人であれば、特別な治療を受けなくても自然治癒することが多いです。ただし、症状が強く現れる期間が長くなる可能性があります。また、高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、医療機関での診断と治療が推奨されます。
まとめ
インフルエンザで夜だけ熱が出る現象は、決して珍しいことではありません。体内時計、免疫反応の日内リズム、ホルモン分泌のパターン、自律神経の切り替わりなど、さまざまな医学的メカニズムが関与しています。
重要なポイントをまとめると:
- 夜間の発熱パターンは医学的に説明できる現象
- インフルエンザの可能性は他の症状と合わせて総合的に判断
- 朝に解熱していても、受診して確定診断を受けることが重要
- 夜間の発熱時は適切な対処法で症状を和らげる
- 重篤な症状がある場合は、夜間でも医療機関へ
- 家族内感染予防も忘れずに
- 予防接種と日常の予防対策が最も重要
インフルエンザは適切に対処すれば、多くの場合1週間程度で回復します。しかし、油断は禁物です。特に高リスク群の方は、早期受診と適切な治療が重要です。
夜間の発熱で不安を感じたら、無理をせず、翌朝には医療機関を受診してください。
また、インフルエンザシーズンを迎える前に、ぜひワクチン接種をご検討ください。ご自身だけでなく、周囲の大切な人々を守ることにもつながります。
健康な日々を過ごすために、日頃からの予防対策と、体調変化への早めの対応を心がけましょう。
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の信頼できる情報源を参考にしました:
- 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html - 厚生労働省「インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html - 国立感染症研究所「インフルエンザとは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-about-flu.html - 日本感染症学会
http://www.kansensho.or.jp/ - 国立感染症研究所「インフルエンザ流行レベルマップ」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html
※本記事は医学的知見に基づいて作成していますが、個々の症状や治療については、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務