冬の感染リスクを高める「冬バテ」とは?インフルエンザ対策と体調管理の重要性

目次

  1. はじめに
  2. 冬バテとは何か
  3. 冬バテが起こるメカニズム
  4. 冬バテの主な症状
  5. なぜ冬にインフルエンザの感染リスクが高まるのか
  6. 冬バテと免疫力低下の関係
  7. インフルエンザの基礎知識
  8. インフルエンザと風邪の違い
  9. インフルエンザの予防接種について
  10. 冬バテを防ぐための日常対策
  11. 食事で免疫力を高める方法
  12. 運動と睡眠の重要性
  13. 医療機関への受診が必要なケース
  14. まとめ
  15. 参考文献

1. はじめに

寒さが厳しくなる冬の季節、「なんとなく体がだるい」「やる気が出ない」「朝起きるのがつらい」といった症状を感じている方は少なくないのではないでしょうか。このような冬特有の体調不良は「冬バテ」と呼ばれ、近年注目を集めています。

夏に起こる食欲不振や倦怠感などの体調不良である「夏バテ」は広く知られていますが、実は冬にも同様の体調不良が起こることがあります。冬バテは夏バテと比較して症状が深刻になるケースも少なくなく、さらに問題となるのは、この冬バテがインフルエンザをはじめとする感染症への感染リスクを高める要因となることです。

本記事では、冬バテのメカニズムや症状について詳しく解説するとともに、なぜ冬にインフルエンザの感染リスクが増加するのか、そして冬バテとインフルエンザの関連性について、医学的な観点からわかりやすくお伝えします。冬を健康に過ごすための具体的な対策もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。


2. 冬バテとは何か

冬バテとは、寒暖差や日照時間の減少によって生じる心身の不調の総称です。医学的な正式名称ではありませんが、「バテ」という言葉は「果てる」が語源で、ヘトヘトに疲れて精も根も尽き果てた状態を表しています。

夏バテが暑さによって引き起こされるのに対し、冬バテは主に以下の要因によって発生します。

まず、屋内外の寒暖差が挙げられます。冬は夏場に比べて昼夜の気温差が激しく、暖房の効いた室内と寒い屋外との温度差も大きくなります。この急激な温度変化に体が対応しようとすることで、体温調節を担う自律神経に大きな負担がかかります。

次に、日照時間の減少です。冬になると日の出が遅く日没が早まるため、太陽の光を浴びる時間が大幅に減少します。これにより、精神の安定に関わる神経伝達物質であるセロトニンの分泌が低下し、心身にさまざまな影響を及ぼします。

さらに、年末年始の多忙によるストレスや生活リズムの乱れ、忘年会や新年会などでの飲食による胃腸への負担なども、冬バテの原因となります。


3. 冬バテが起こるメカニズム

冬バテが起こるメカニズムを理解するためには、自律神経の働きについて知ることが重要です。

自律神経とは、呼吸や体温調節、血流、消化吸収など、体のバランスを整える神経のことです。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、この2つがバランスを取り合うことで体が正常に保たれています。

交感神経は緊張しているときや体を活発に動かしているときに優位になり、脈拍を早め、血圧を上昇させ、瞳孔を拡大させます。一方、副交感神経はリラックスしているときに優位になり、脈拍を遅くし、血圧を低下させ、腸管の動きを活発にします。

冬の寒暖差は、この自律神経のバランスを大きく乱す原因となります。暖かい室内から寒い屋外に出ると、体は急いで体温を維持しようと交感神経を活発化させ、末梢血管を収縮させます。逆に、寒い場所から暖かい室内に入ると、今度は副交感神経が働いて血管を拡張させます。

このような急激な切り替えが一日に何度も繰り返されることで、自律神経に大きな負担がかかり、やがてバランスが崩れてしまいます。その結果、だるさや疲れやすさ、睡眠障害、頭痛、肩こりなど、さまざまな不調が現れるのです。

また、日照時間の減少は脳内のセロトニン分泌に直接影響します。セロトニンは日光を浴びることで分泌が促進される神経伝達物質であり、精神の安定や自律神経のバランス調整、体内時計の調整などに関与しています。冬は日照時間が短いため、太陽の光を十分に浴びることができず、セロトニンが不足しやすくなります。

研究によれば、脳内でのセロトニン代謝回転速度は冬季に最も遅くなり、これが気候を構成する要素のうち日照時間のみと相関していることがわかっています。セロトニンが不足すると、気分の落ち込み、イライラ、不安感、過食、過眠といった症状が現れやすくなります。


4. 冬バテの主な症状

冬バテでは、体と心の両方、あるいはいずれかに異変を感じるのが特徴です。以下に主な症状をご紹介します。

精神的な症状としては、気分が落ち込む、イライラしやすい、集中力が続かない、やる気が出ない、物事を楽しめないといったものがあります。これらはセロトニンの分泌が減少することで起こりやすくなります。

睡眠に関する症状も顕著です。眠気が強く朝にすっきり起きられない過眠の場合もあれば、夜に寝つきが悪い、夜中に目が覚めるといった不眠が生じる場合もあります。セロトニンは睡眠を促すホルモンであるメラトニンの原料となるため、セロトニンが減少するとメラトニンの合成にも影響し、睡眠の質が低下します。

身体的な症状としては、だるさや疲れやすさが代表的です。寒暖差によって自律神経が乱れると、常に体が緊張状態となり、疲労が蓄積しやすくなります。また、頭痛、肩こり、筋肉のこわばりなども起こりやすくなります。

食欲の変化も冬バテの特徴です。体が冷えて胃腸の働きが悪くなることで食欲不振になる場合もあれば、逆にセロトニン不足を補おうとして炭水化物や甘いものを過食してしまう場合もあります。これは、炭水化物がセロトニン合成を助ける働きがあるため、体が本能的に求めているとも考えられています。

冷えや低体温も冬バテでよく見られる症状です。自律神経の乱れにより末梢血管の調節がうまくいかなくなると、手足の先まで血液が十分に行き渡らず、冷えを感じやすくなります。

これらの症状が2シーズン以上繰り返す場合や、症状がひどい場合は、季節性感情障害(冬季うつ病)の可能性もあるため、医療機関への受診を検討することをお勧めします。


5. なぜ冬にインフルエンザの感染リスクが高まるのか

季節性インフルエンザは例年11月から12月頃に流行が始まり、1月から3月にピークを迎えます。特に1月下旬から2月上旬にかけて感染者が最も多くなる傾向があります。では、なぜインフルエンザは冬に流行するのでしょうか。

第一の理由は、冬の気候がウイルスにとって好都合な環境だからです。インフルエンザウイルスは低温・低湿度を好み、気温が低いと感染力を長く保つことができます。乾燥した空気の中では、ウイルスから水分が蒸発して軽くなり、長時間空気中を漂うことができます。湿度が高ければウイルスは水分を取り込んで重くなり、地面に落下しやすくなりますが、乾燥した冬の空気ではウイルスが浮遊しやすくなるのです。

第二の理由は、人間の防御機能が低下することです。冬の寒さで体温が下がると、免疫機能が低下します。また、乾燥した空気は鼻や喉の粘膜を乾燥させ、ウイルスの侵入を防ぐ粘膜バリア機能を弱めます。粘膜が正常に機能していればウイルスを捕らえて体外に排出できますが、乾燥して傷んだ粘膜ではウイルスが侵入しやすくなります。

第三の理由は、飛沫感染の範囲が広がることです。空気が乾燥していると、咳やくしゃみで飛び出した飛沫から水分が蒸発し、飛沫が小さく軽くなります。その結果、ウイルスを含んだ飛沫がより遠くまで飛散し、一度の咳やくしゃみによる感染範囲が拡大します。

さらに、冬は寒さのために換気を控える傾向があり、密閉された室内に多くの人が集まりやすくなります。このような環境では、感染者の咳やくしゃみ、あるいは会話からウイルスを含んだ飛沫が室内に拡散し、接触感染や飛沫感染が起こりやすくなります。


6. 冬バテと免疫力低下の関係

冬バテは単なる体調不良にとどまらず、免疫力を低下させることでインフルエンザなどの感染症にかかりやすくする要因となります。

自律神経と免疫機能には密接な関係があります。自律神経の交感神経が優位になると殺菌作用を持つ顆粒球が増え、副交感神経が優位になると病原体を攻撃する役割のリンパ球が増えます。この2つのバランスが保たれることで、免疫機能は正常に働きます。

しかし、冬バテによって自律神経のバランスが乱れると、このバランスも崩れてしまいます。常に緊張状態が続いて交感神経が優位になりすぎるとリンパ球の数が減少し、逆に副交感神経が優位になりすぎると顆粒球の働きが抑えられます。いずれの場合も、ウイルスに対する抵抗力が弱まることになります。

また、自律神経の乱れはIgA(免疫グロブリンA)の濃度を低下させます。IgAは目や口、鼻、腸などの粘膜で働く抗体で、免疫の最前線で体を守る役割を担っています。IgAの濃度が下がると、病気にかかりやすくなります。

睡眠不足も免疫力低下の大きな要因です。研究によれば、平均睡眠時間が8時間以上の人に比べて、それ以下の人は風邪をひく確率が3倍以上も高いことがわかっています。免疫細胞は睡眠中に分泌される成長ホルモンによって強化されるため、十分な睡眠をとることは免疫力維持に不可欠です。

ストレスも免疫力を大きく低下させます。「悲しい」「怖い」「腹が立つ」といった心理的ストレスがかかると、交感神経が緊張し、自律神経のバランスが崩れます。年末年始の多忙や生活リズムの乱れによるストレスは、冬バテを悪化させるとともに免疫力を弱める要因となります。

このように、冬バテによる自律神経の乱れ、睡眠の質の低下、ストレスの蓄積は、すべて免疫力の低下につながり、インフルエンザへの感染リスクを高めることになるのです。


7. インフルエンザの基礎知識

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる気道感染症です。風邪(普通感冒)と混同されることもありますが、原因となるウイルスが異なり、症状の特徴や重症度にも大きな違いがあります。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型、D型の4種類があり、人に感染するのはA型、B型、C型の3種類です。このうち、季節性インフルエンザとして毎年流行を繰り返しているのはA型とB型です。

A型インフルエンザは感染力が強く、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こすことがあります。A型ウイルスには抗原性の組み合わせによって144種類もの亜型があり、同じ亜型の中でも常に少しずつ変化しているため、一度感染しても再び感染することがあります。

B型インフルエンザはA型に比べて症状が比較的穏やかで、流行も限定的ですが、子どもではお腹の症状(腹痛、下痢)が出やすい傾向があります。

インフルエンザウイルスの潜伏期間は通常1日から4日(平均2日)です。この間、症状は全くありませんが、体内ではウイルスが急速に増殖しており、発症の前日から周囲の人にウイルスをうつす可能性があります。

インフルエンザの主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」です。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び出したウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。接触感染は、ウイルスが付着した物(ドアノブ、手すり、電車のつり革など)に触れた手で目、鼻、口を触ることで感染します。


8. インフルエンザと風邪の違い

インフルエンザと風邪は、発症の仕方や症状の強さに明確な違いがあります。

風邪はさまざまなウイルス(ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなど)によって引き起こされ、喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳などの症状が中心です。発熱も37度から38度程度と比較的軽く、徐々に上昇して数日で解熱するパターンが一般的です。全身症状はあまり見られず、重症化することはまれです。

一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスへの感染によって発症し、38度以上の高熱が突然現れるのが特徴です。発熱に加えて、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状が比較的急速に現れます。これらの症状は風邪と比較して非常に強く、「体が重くて動けない」「関節や筋肉が痛い」といった訴えが多く聞かれます。

インフルエンザでは、風邪と同様に喉の痛み、鼻水、咳などの症状も見られますが、全身症状が強いことが大きな違いです。また、インフルエンザは重症化すると肺炎や脳症などの合併症を引き起こすことがあり、特に高齢者、小児、基礎疾患のある方、免疫力が低下している方では注意が必要です。

高齢者では免疫機能の低下から肺炎を併発しやすく、小児ではまれに急性脳症を引き起こすことがあります。インフルエンザ脳症は意識障害やけいれんなどの神経症状を伴う重篤な合併症であり、発症から急速に悪化することがあるため、早期の対応が重要です。


9. インフルエンザの予防接種について

インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症予防と重症化予防に効果がある科学的に裏付けられた予防策です。

インフルエンザワクチンには、ウイルスの感染そのものを完全に防ぐ効果はありませんが、感染後の発病を抑える効果が一定程度認められています。厚生労働省によると、健康な成人ではインフルエンザ予防接種により発病リスクをおおむね50パーセントから60パーセント程度減少させることができます。

ワクチンの最も重要な効果は、インフルエンザにかかった際の重症化を予防することです。国内の研究では、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者について、ワクチン接種により34パーセントから55パーセントの発病を阻止し、82パーセントの死亡を阻止する効果があったとされています。

ワクチンの効果が現れるまでには接種後約2週間かかります。これは、体の免疫システムがウイルスの情報を学習し、抗体を作るのに時間が必要だからです。効果の持続期間は約5か月とされており、流行期間をカバーするためには11月中の接種が望ましいとされています。

予防接種の対象については、厚生労働省は生後6か月以上のすべての方に毎年のインフルエンザ予防接種を推奨しています。特に、65歳以上の高齢者、基礎疾患(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など)のある方、妊婦、乳幼児などは重症化リスクが高いため、積極的な接種が勧められています。

13歳以上は原則として1回接種で十分ですが、13歳未満の小児は免疫の記憶が少ないため、2回接種が推奨されています。

ワクチンの副反応については、接種者の約10パーセントから20パーセントに接種部位の腫れ、赤み、痛みが見られ、約5パーセントから10パーセントに発熱や頭痛、寒気、だるさといった症状が見られます。これらの副反応は通常2日から3日で自然に治まります。


10. 冬バテを防ぐための日常対策

冬バテを防ぐためには、自律神経のバランスを整え、免疫力を高める生活習慣を心がけることが大切です。漢方医学では「養生」という考え方があり、日々の生活に注意して健康の増進を目指すことが重要とされています。

まず、朝の過ごし方を見直しましょう。起床後はカーテンを開けて太陽の光を浴びることが重要です。朝日の照度は1万ルクス、曇りの日でも5000ルクスあり、セロトニンの分泌を促進するのに十分な量です。毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、自律神経のバランスが整いやすくなります。

入浴は自律神経を整えるのに効果的です。ぬるめのお湯(38度から40度程度)に10分程度つかることで、副交感神経が優位になりリラックスできます。熱すぎるお湯は交感神経を活発にしてしまうため注意が必要です。寝つきを良くするためには、就寝の2時間から3時間前に入浴することがお勧めです。シャワーだけで済ませず、湯船につかって体を芯から温めましょう。

室内環境の調整も重要です。暖房を適切に使用して室温を20度から25度に保つとともに、湿度は50パーセントから60パーセントを目安に加湿しましょう。加湿器がない場合は、洗濯物を部屋干ししたり、湿らせたタオルを干したりすることでも加湿できます。適切な温度と湿度を保つことで、インフルエンザウイルスが生存しにくい環境を作ることができます。

服装にも注意が必要です。屋外と屋内の寒暖差に対応できるよう、脱ぎ着しやすい重ね着を心がけましょう。体を冷やさないことが免疫力維持の基本です。特に首、手首、足首の「3つの首」を温めると効率よく体温を保つことができます。


11. 食事で免疫力を高める方法

栄養バランスの良い食事は、免疫力を高め、冬バテを予防するための基本です。特に冬は、セロトニンの合成に必要な栄養素と、体を温める食材を意識して摂取することが大切です。

セロトニンの材料となるのは、必須アミノ酸のトリプトファンです。トリプトファンは体内で作り出すことができないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンを多く含む食品には、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)、魚類(カツオ、マグロ、サンマなど)、乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳)、大豆製品(豆腐、納豆、味噌)、卵、ナッツ類、バナナなどがあります。

トリプトファンからセロトニンが合成されるためには、ビタミンB6も必要です。ビタミンB6を多く含む食品には、魚類(特にサンマやイワシ)、肉類、レバー、バナナ、カリフラワー、ナッツ類などがあります。

炭水化物も重要な役割を果たします。炭水化物は脳の唯一のエネルギー源であり、トリプトファンが脳内に取り込まれるのを助けます。ただし、砂糖や甘いものの摂りすぎには注意が必要です。穀類やいも類など、複合炭水化物から適切に摂取しましょう。

免疫力を高めるためには、ビタミンAやビタミンC、食物繊維も重要です。緑黄色野菜や柑橘類、根菜類などを積極的に取り入れましょう。

体を温める食材も冬の食事には欠かせません。生姜、ネギ、にんにく、唐辛子などの香辛料は体を内側から温める効果があります。また、根菜類(大根、にんじん、ごぼうなど)も体を温める作用があるとされています。

漢方の観点からは、冬は「閉蔵」の季節であり、内臓を養い、あたたかくして元気を逃がさないようにすることが大切です。冷たい飲み物や食べ物は控え、温かいスープや煮込み料理を積極的に取り入れましょう。忘年会や新年会の機会では、冷たいビールよりもホットワインや熱燗、お湯割りを選ぶのも一つの方法です。


12. 運動と睡眠の重要性

適度な運動と質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整え、免疫力を高めるために欠かせません。

運動には抗うつ効果があり、気分が明るくなりストレスも軽減されます。また、血行を良くすることで冷えの対策にもなります。研究によれば、週5日以上運動する習慣のある人は、運動する機会がほとんどない人に比べて、風邪やインフルエンザにかかりにくいことがわかっています。運動する人は筋肉量があり基礎代謝が高く、血液循環が良いため、免疫細胞が活性化するのです。

セロトニンの分泌を促すためには、「リズム運動」が特に効果的です。リズム運動とは、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ダンスなど、一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返す運動のことです。セロトニンはリズム運動を開始して約5分で活性化し始め、20分から30分でピークに達します。

ただし、やりすぎは逆効果です。疲れすぎるとセロトニンが減ってしまうため、「気持ちが良い、またやりたい」と感じる程度の軽い負荷で行うことが大切です。また、リズム運動の効果を得るためには、テレビを見ながらなどの「ながら運動」ではなく、一定のリズムを意識しながら集中して行うことがポイントです。

睡眠については、量だけでなく質も重要です。免疫細胞は睡眠中に分泌される成長ホルモンによって強化されるため、できれば7時間から8時間の質の高い睡眠をとることが望ましいです。

質の良い睡眠をとるためには、就寝前の過ごし方に注意が必要です。テレビやスマートフォンなどの強い光を発する機器は、脳を緊張させる交感神経を活発にし、眠りを浅くする原因となります。就寝の1時間から2時間前には、これらの機器の使用を控えましょう。

また、毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することで体内時計が安定し、自律神経のバランスが整いやすくなります。冬は日照時間が短いため、特に意識して規則正しい生活リズムを維持することが大切です。


13. 医療機関への受診が必要なケース

冬バテの症状は日常生活の対策で軽減できることも多いですが、以下のような場合は医療機関への受診を検討してください。

冬バテの症状が長引く場合や、セルフケアで改善しない場合は、医師に相談することをお勧めします。特に、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続く場合、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合、同様の症状が2シーズン以上繰り返される場合は、季節性感情障害(冬季うつ病)の可能性も考慮する必要があります。

漢方内科では、「検査では異常が出ないが、漠然とした体調不良」を感じている方の診療を得意としています。患者さんの感覚と身体の特徴を重視して問診し、お腹に触れ、舌の状態を見て、脈をとるなど、それぞれの症状がどんなタイプかを判断し、適切な漢方薬を処方します。

インフルエンザについては、以下のような症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。

発熱が38度以上で全身倦怠感や関節痛、筋肉痛を伴う場合は、インフルエンザの可能性が高いため、早めの受診が望ましいです。抗インフルエンザウイルス薬は症状が出てから48時間以内に服用を開始すると、発熱期間を1日から2日短縮でき、ウイルスの排出量も減少させることができます。

また、以下のような危険なサインがある場合は、夜間や休日でもためらわず救急外来を受診するか、救急車を要請してください。

呼吸が速い、息苦しさがある、顔色が悪い(青白い、土気色)といった呼吸の異常がある場合、呼びかけに答えない、ぼーっとしている、意味不明な言動があるといった意識の異常がある場合、けいれんを起こした場合やけいれん後の意識がはっきりしない場合、水分がとれずぐったりしている場合、嘔吐が続いている場合などは、肺炎や脳症などの重篤な合併症の可能性があります。

高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児などは重症化リスクが高いため、症状が軽くても早めに医療機関を受診することをお勧めします。


14. まとめ

冬バテは、寒暖差や日照時間の減少によって自律神経のバランスが崩れることで起こる心身の不調です。だるさ、疲れやすさ、気分の落ち込み、睡眠の問題、食欲の変化など、さまざまな症状が現れます。

冬バテは単なる体調不良にとどまらず、免疫力を低下させることでインフルエンザなどの感染症への感染リスクを高める要因となります。冬は気温と湿度が低く、ウイルスが活発化しやすい環境であるうえ、人間の防御機能が低下しやすい季節です。冬バテによる自律神経の乱れや睡眠不足、ストレスの蓄積は、さらに免疫力を弱め、感染リスクを増大させます。

冬バテとインフルエンザから身を守るためには、以下の点を心がけましょう。

朝起きたら太陽の光を浴び、規則正しい生活リズムを維持する。栄養バランスの良い食事を心がけ、特にトリプトファンやビタミンB6を含む食品を積極的に摂取する。適度な運動を継続し、質の良い睡眠を確保する。室内の温度と湿度を適切に管理し、体を冷やさないようにする。手洗い、うがい、マスクの着用など基本的な感染対策を徹底する。インフルエンザワクチンの接種を検討する。

これらの対策を日常生活に取り入れることで、冬バテを予防し、免疫力を高め、インフルエンザへの感染リスクを減らすことができます。

症状が重い場合や長引く場合、また高熱や呼吸困難、意識障害などの危険なサインがある場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。


15. 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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